MOT教育プログラムの調査

 2年ほど前に、三菱総研の技術経営コンソーシアムから受注して手がけた調査の報告書が公開されているのをさっきふと見かけた。ちゃんと世の中の役に立っているようでよかったよかった。
米国大学院における技術経営教育プログラムに関する調査報告書(PDF)
2003年の秋は、まだこっちに来て収入のあてが確保できてなかった頃のことなので、たいへんありがたい仕事でありました。調査期間の3ヶ月ほどはこれにかかりっきりだった気がするが、この調査をやりきった頃は、アシスタントの職が確保できたりしながら生活が軌道に乗り始めた時期で、今思えば一つの節目だったような気がする。今読み返してみると、他の調査者には盛り込めないであろう視点で書こうと努力しているのがにじみでている。この仕事にかける気合、役に立ついいものを書こうという意欲が、知識の少なさやスキルの甘さをカバーしているような印象を受ける。当時は英語もまだぜんぜんダメだったし。
 米国のインストラクショナルデザイン教育について同じような調査をやるとしたら、誰がやるよりもいい調査をする自信があるので、どなたかたっぷり予算を用意して、私に発注してください。

使えるスキルの教え方と身に付け方

 ここ2週間の忙しい時期に、自分がどういう風に仕事をさばいたかを振り返ると、ここぞという時に頼りにしているのは、いずれも自分が積み上げてきた経験やスキルだった。それがどうやって積み上げられたかというと、自分のできるレベルよりも難しいものを締切に迫られながら、半べそかいて必死になってやったものほど血となり肉となっている。筋肉をつけるのと一緒で、軽いものをいくら持ち上げても力はつかなくて、逆に自分の力量からかけ離れているものは持ち上がらないし、下手をすると筋を痛める。つまり、楽な仕事からは新たなスキルは身につかず、難しすぎる仕事は無理をしてやっても、次につながるスキルは身につかない。楽な仕事ばかりやってると、飽きるのでモチベーションが下がる。同様に、無理な仕事をやりすぎると、その仕事に対する拒否感が植えつけられてモチベーションが下がる。

続きを読む

潮目の一日

 昨夜から明け方近くまでかかって、ようやくオンラインゲーム研究のペーパーを書き終えた。ペーパーと並行して、今日はID理論の授業の最終課題で、デザインコンペ形式のプレゼンがあって、それも無事に終わった。この二つの課題と、先週までかかりっきりだったゲームデザインの授業の作品もよい具合に仕上がった。ここ二週間ほどは、資料の山に囲まれて生活していて、紙束が積まれたベッドの上に倒れこんでそのまま寝るような毎日だったが、ようやくそれも一息ついた。いつもなら途中で妥協して手抜きして、7割くらいの出来で終わるのだけれども、今回は最後まで粘って、持っている力の9割、ほぼ全力を出し切った。きっちりやりきって、今朝ペーパーを出し終えたところで、何かのスイッチが切り替わったようで、自分を取り巻く状況が変わる節目というか、潮目の変化が見えたような一日だった。

続きを読む

古代エジプトに家を建てる

 マルチプレイヤーオンラインゲーム「A Tale in the Desert」の世界のフィールドワークもだいぶ進んできた。もうあと1週間でペーパーをまとめないといけないのだが、データが十分集まってなくて、なかなか分析に入れない。データを集めるには自分のキャラも育てないとわからないことが多いし、プレイヤー向けのWebにある資料を読み込んで、いろいろ手順を理解しないと前に進めない。
myhome.jpg

続きを読む

ゲームが子どもに与えるよい影響

 今日はオンラインゲームのリサーチのインタビューで、ペンステートのオンライン大学、ワールドキャンパスで働くインストラクショナルデザイナーのおばちゃんを訪問。オンラインゲームで遊ぶ息子の様子を取材してきた。すごい面白いインタビューになった。その子はワールドオブウォークラフトという150万ユーザーを誇る超人気MMORPGにはまりまくっている中学生で、最近は何かというとゲームばかりやっているそうだ。

続きを読む

4/8(金) バーチャル釣り

 今週に入ってすっかり暖かくなり、今日は晴天、初夏の趣である。スケボー野郎たちが出没しだして、キャンパス内でもビーチバレーしながらバーベキューやっている若者たちの姿が目に付く。こちらはいい気候を楽しむゆとりも移動の時くらいで、大詰めとなった学期末をいかに乗り切るかで頭を悩ます日々である。まあ、毎度のことなのだが、どのプロジェクトもかなりかつかつのスケジュールで、どいつもこいつも最緊急、最重要の顔をして立ちはだかってくる。帰ったらまずこれからやろう、これからやろう、とそれぞれのミーティングが終わったあとに思うのだが、帰って一息つくと、パワーが出ずに、今研究しているオンラインゲームの世界でなんとなく釣りを始めていた。

続きを読む

プリングルズ食べて学習

 日本で売ってるのかどうか知らないが、「プリングルズプリンツ」というのをこの間買ってみた。「エジプトのミイラがミイラになる前はなんだった? 答:ファラオ」なんていうトリビアクイズが書いてあるプリングルズのポテチである。これを見て、みんなまず思い出すのはドラえもんの「暗記パン」だと思うが、残念ながら食べただけで記憶に残ることはない。

続きを読む

3/30(水) ゲームデザインのちID

 今日はゲームデザインのクラスでプレゼン。周辺機器を使ったゲームを紹介して、クラスで議論するという内容。初期のファミコンのバーコードワールドやパワーグローブなどを紹介しつつ、音ゲーやマイクを使ったゲームなどをカバー。グループのメンバーがEyeToyやDDRについて触れた。ファミコンの光線銃シリーズ(ダックハントやワイルドガンマン)やファミリートレーナーがアメリカでも売ってて、子ども達に人気があったというのは知らなかった。ファミリートレーナーはクラスの半分くらいはやったことがあって、やたら歓声があがっていた。この辺は住宅事情の違いで、アメリカの子ども達はこういううるさいゲームも思う存分楽しめるのだろう。騒音問題への配慮で開発が止められた日本の様子などあまりイメージがわかないんじゃないだろうか。

続きを読む

Radical Thinkers with Dr. Merrill

 今日はインターンの出勤日だったが、Radical Thinkersのセッションがあったので、オフィスを抜け出して参加。今日のスピーカーはインストラクショナルデザイン研究の大家、デビッド・メリル博士。司会のJoshがMonumental, Elder Merrill (記念碑的な大長老メリル)と紹介していたが、まさしくこの分野では並ぶもののいない大学者であり、大実践家のメリル博士である。Instructional Transaction TheoryやFirst Principlesなどのインストラクショナルデザイン理論を編み出すばかりでなく、自分で教育ソフト開発の会社をやったり、大手企業の教育コンサルを数々手がけたりと、たいへんな人である。

続きを読む

アメリカンアイドルでロッカーが健闘している件

 Foxチャンネルで人気の大衆娯楽歌手オーディション番組「アメリカンアイドル」は、4シーズン目の決勝ラウンドに入っている。十数万人だかが参加した全米の地方予選から勝ち上がってきたベスト12の出場者達が、毎週出されるお題で選曲して歌い、視聴者投票で一番ビリの人が脱落していくという構成である。3シーズン目があまり盛り上がらなかったため、今回ももうネタ切れかな、と思っていたが、出場者のレベルが大変に高く、今までにない盛り上がりとなっている。大学院生はこんな大衆娯楽番組を見ないのだが、私はこの番組はとても教育的な意味が大きい番組だと思っているので毎週楽しんでみている。

続きを読む