MMOG(多人数参加型オンラインゲーム)の研究を始めて数ヶ月がたった。メインの研究の舞台はA Tale in the Desertというプレイヤー数2000人ほどのマイナーなMMOGである。このゲームは戦闘がまったくなくて、プレイヤーは古代エジプトのゲーム世界でひたすら農作業や土木工事や料理や花火作りなど、ひたすら労働をする。人と交わらずにソロでやると、もともと周りに人がいないゲームなので孤独であり、作業量が膨大なので投げ出したくなるのだが、いったんギルドに入れてもらうと、長老や先輩メンバー達が蓄積した資源や設備を使わせてもらえて、ギルドチャットの交流の輪にも入れてもらえるので、モチベーションを持続できて、もうちょっと続けようかという気になってくる。
もともと研究のためにやっていたので、私のキャラクター、Kinjiroを育てるつもりもなくやっていたのだが、ある程度やりこんで世界を理解しないと、集めたデータの意味も深く理解できないことに気づいて、プレイヤーとして参加する時間を増やした。この間は、ギルドメンバーで石の掘り出し(10人とかで分業しないといけない)をやっていたので手伝った。自分の住むエリアで獲れる魚(ティラピアとナマズ)が物々交換所で他の魚よりもずいぶん高く売れるというのに気づいて、魚を売って花火の材料を買い込んだ。ゲームクリアのための試練の一つであるアート制作(下記画像)もやってみた。そうこうしていてある日、ギルドの長老がKinjiroを新入りからアソシエートに格上げしてくれた。最近私から知識をシェアする機会も出てきたりして、それがギルドへの貢献として認められたらしい。チャットで仲間がみな祝福してくれた。なんかちょっとうれしかった。
ヒストリーチャンネル
遅めの晩飯を食べてて、いいテレビをやってないので久々にヒストリーチャンネルを見てみたら、「Modern Marvels(現代の驚異)」で、」日本のロケット技術の始まりの話をやっていた。日本産ロケットの父である糸川英夫博士が紹介され、糸川博士が第二次大戦期に設計した戦闘機の話、そこから日本が大戦末期に開発していたジェット戦闘機、オートジャイロの話に展開して、戦後のロケット開発に至るまでの日本の航空技術の歴史が紹介されていた。もし原爆投下で戦争が終結していなければ、1946年に米軍による本州上陸作戦が実施され、その際には日本のジェット機は実戦投入されていたはずで、そうすると米空母と戦闘機は太刀打ちできずに大損害を受けていたであろう、という話は興味深かった。
TVドラマ制作の技術力
質的データ分析の授業で、題材にDesperate Housewives (デスパレート・ハウスワイブス、意味は「堪えきれない主婦たち」という感じ)を見た。このドラマは今一番人気のあるTVドラマの一つで、郊外の住宅地に住む主婦たちの恋愛や不倫や家族問題をちょっとサスペンスっぽく、かつ皮肉な視線で描いたドラマだ。昼にやっているソープオペラの脚本をしっかり書いて夜にやっているようなイメージであり、アメリカの中流家庭の閉塞感あふれる日常を描いた映画「アメリカンビューティ」が醸し出す雰囲気によく似ている。あの映画もそうだったが、見終わった後味が悪いことこの上ないTVドラマである。このドラマを授業で題材に使うという発想もすごいのだが、今日はその話ではなくて、TVドラマについての話。
子育てお助け番組の教育的効果
書こうと思ってたテレビネタがたまっているので、ここしばらくはテレビネタ。アメリカのテレビはほんとにくだらないものは徹底的にくだらないし、面白いものはほんとに面白いなといつも感心させられる。最近見ている中でもお気に入りなのが、「Nanny 911(訳すと子守り110番という感じ)」と「Super Nanny」という子育てお助け番組である。二つの番組は別の局なのだが、どちらも同じコンセプトで、フォーマットもほぼ同じ構成である。子どものしつけが下手で子どもが手に負えなくなった両親が助けを求め、イギリス人乳母が一週間でその家をハッピーにする、そのプロセスを見せるリアリティショーである。
5/29(日) 32歳
3日前に32歳になって、あまりピンと来ないので、今日まで32歳どうよ?と考えてみたけれど、やっぱりあまりピンと来ない。30歳になった時はおー30かー、という気がしたのだが、実は31から34までは、自分の中ではたいした差を認識してないことに気づいた。35になったら少し違うんだろうなという気はしている。
子どもの頃は、自分の親の年代以上はみんなおっさんやおばさんに見えたし、大人というのは、子どもが抱えているような不安や迷いもなくて、みんな成熟して安定した、「立派な大人」なんだろうな、と思ったものだが、それは違うんだなというのは自分が大人になってみてわかった。夏休みの宿題で簡単な書き取りとか計算の部分だけ先に終わらせて、一番面倒な自由研究とか作文を面倒がって、結局最後のぎりぎりまで残してしまうところは、基本的に20数年たった今でも変わっていない。
IDとeラーニングの専門大学院
熊本大学にeラーニングの専門家を養成する専門大学院ができるという話が出ている。日本のインストラクショナルデザイン研究の第一人者である岩手県立大の鈴木先生が関わっているので、インストラクショナルデザイン教育をしっかりやるプログラムになることと期待している。この話題をブログに書いてる中原さんと北村さんにトラックバックなど打ってみたりして、ちょっと挨拶をしてみるテストも兼ねてみた。お元気ですか、こんにちは。
おそらく多くの人の反応と同じように、私も熊本大学と聞いて、へぇーーーという感じで驚いた。きっと旧帝大のどこかが最初に手をつけるのだろうと思っていたが、さにあらず、意外なところから日本最初のeラーニングとインストラクショナルデザインの専門大学院ができるということらしい。公にアンケートをとったりしているということは、実現のめどが立ったということなのだろうか。熊本といえば熊本ラーメン、辛子レンコン、陣太鼓、馬刺しもうまい。最近、九州新幹線も通った。・・というか、自分が育った地元のお隣の県なのに、あまりよく知らなくて申し訳ない。熊本と大分の間は山深くて交通の便が悪いので行き来が少ないのですよ。
大学の世界はいろいろな思惑がうずまいていて、一つのプログラムが立ち上がるとなると、その周りではいろんな政治的なことが起こっているんだろうと思うけれども、ここまでしっかり教育工学系の色のついた旗を立てた大学院課程というのは日本にはあるようで実はなかったりするので、ぜひうまく離陸して成功してほしいと願うばかりである。でも、願うばかりでもしょうがないので、自分がこういう仕事をやるとしたらどんなことに気を遣うかなと、ざっくり考えてみた。
最近飯がうまい
夏休みに入り、仕事の方もだいぶマイペースでやれるようになったので、飯をちゃんと作る回数が増えた。厚揚げと椎茸の煮物、大根と鶏肉の煮物、カレー、焼きハンバーグ、最近作った料理はいずれも出来がよく、やたらと食が進む。たいして運動しない日でも快調に腹が減るし、運動不足はいかんと思って中途半端に運動するとなお腹が減って食が進む。このままの調子で行けば結果は言うまでもないので、気をつけようかというところ。
異常犯罪はゲームのせいでは起きない
この間監禁事件でつかまった男が、監禁もののエロゲーを多数所持していたことがマスコミで取りざたされている。例によって、ゲームをやり過ぎて現実の世界でやってみたくなって犯罪に走った、こいつをおかしくしたのはゲームのせいだ、というような感じで書かれているが、そんなはずはないだろう。ゲームに影響されてほんとに犯罪に手を染めてしまう人は、ゲームをやる前からすでにおかしいのである。ゲームでなくても、ビデオなりドラッグなり、別の形で問題が生じているはずである。ゲームの異常性を指摘する前に、なぜこの男の父親の異常な行動を叩かないのか。高校生に月10万も小遣いをやって放置し、ろくでもない大人に育ったのが明らかなのに、まだ月40万も仕送りし続けるような親が異常でなくて何なのか?
「IDやってます」の有効期限
最近、「インストラクショナルデザイン」という言葉もだいぶ普及してきたようで、「IDやってます」を売り文句に掲げる教育会社や、「高等教育でもIDを導入しよう」と声高に主張される大学人の方も増えてきた感がある。ロジャースのイノベーション普及過程の概念を借りれば、アーリーアダプター(初期採用者)からアーリーマジョリティ(初期多数採用者)の段階に入りつつあるところだろうか。Web上で得られる日本語のID関連情報も私が日本にいた3年前と比べて量的にはずいぶん増えてきたし、教科書類も、片手で数えても指があまるくらいだったのが、今では両手が必要になるほどに増えた。ID学習者の基礎本であるDick & Careyの The Systematic Design of Instructionの訳書もいつの間にか出ていた。こういうのが何冊か出揃うことで、ようやく日本でもIDを学習できる環境が整いつつあると言えるようになる。
知の源泉
夏学期のコースは、「定性データ分析」と「イノベーションの普及」の二つを取っていて、この週末から「定性データ分析」の方が始まった。毎週金曜夕方と土曜終日の授業を3週にわたって行なう短期集中コースである。このコースのインストラクターはDr. イアン・バプティスト。うちの学部のお隣の成人教育学科の学科長である。カリブ系の黒人で、見た目は完全にレゲエ兄ちゃんといった雰囲気であまり教授っぽくない定性的研究者である。うちの学部、ラーニング&パフォーマンスシステムズは、定性的研究の研究者の方が勢いがあるのだが、その勢いの源の一人がこのイアンである。