「シリアスゲーム(メディアテクノロジーシリーズ)」を出版しました

私が編著者として執筆した「シリアスゲーム(メディアテクノロジーシリーズ)」が先日、コロナ社より出版されました。しばらくぶりの更新となりだいぶ間が空いていましたが、当ブログでも皆さんにお知らせします。

印刷された著者見本が先日手元に届いて、先行して出版社ウェブサイトで販売開始しています。来週辺りからオンライン書店や一般書店にも並ぶとのことです。

藤本徹(編著), 池尻良平, 福山佑樹, 古市昌一, 松隈浩之, 小野憲史(著)(2024)シリアスゲーム(メディアテクノロジーシリーズ5). コロナ社.
https://www.coronasha.co.jp/np/isbn/9784339013757/

2007年に出版した拙著「シリアスゲーム: 教育・社会に役立つデジタルゲーム」以降のシリアスゲーム研究の動向を検討して、これまでのシリアスゲーム研究の節目となる著作となりました。各テーマでシリアスゲーム研究に取り組んでこられた先生方との共著で、その後の研究活動の蓄積や広がりが理解できる著作となりました。

2017年に出版した拙編著「ゲームと教育・学習(教育工学選書)」でゲーム学習が教育工学分野の一つの研究領域として位置付けられたことに続いて、今回はメディアテクノロジーシリーズの中でメディア学分野でシリアスゲームが一つの研究領域として位置付けられる成果となりました。

本作をシリアスゲームを学ぶ入門書として大学の授業などで長く使っていただけるように、引き続き関連研究の情報や研究成果を発信しつつ、この分野の活動をさらに盛り上げていければと考えています。

また、本書の内容をもとにして、先日開催された日本デジタルゲーム学会の年次大会で、これまでのシリアスゲームの成果と課題について発表しました。

藤本徹(2024)シリアスゲームの成果と今後の課題. 日本デジタルゲーム学会第14回年次大会予稿集. 126-129. 2024年2月25日

ここまで研究を進めてこれたのは、日本デジタルゲーム学会や日本教育工学会でご一緒している研究者の先生方との連携があってのことです。皆様に改めて感謝申し上げます。

最初の著作を出した頃は30代前半でしたが、気がつけば50代になっており、研究者としてのキャリアの捉え方も変わってきました。残りのキャリアで何ができるか模索しつつ、さらに良い研究活動を続けられるように励みたいと思います。

共同研究開始のプレスリリースを出しました

イオンファンタジーさんと東京大学藤本研究室との共同研究開始のプレスリリースを出しました。まずはこの共同研究の基軸となる成果をしっかり出して、プロジェクトを展開していきますのでご支援のほどよろしくお願いいたします。

https://ludixlab.net/?p=303

日本デジタルゲーム学会年次大会が開催されます(3月13-14日)

日本デジタルゲーム学会(DiGRA Japan)の第11回年次大会が、今週末の3月13日(土)-14日(日)にオンラインで開催されます。私は前回の夏季研究発表大会に続いて、今回も大会委員長を担当しています。

関係委員各位のご尽力により、運営体制の整備が進みまして、今回からEasyChairでの投稿受付システムを導入しました。参加登録システムもオンラインでの参加費支払いに対応できるようになりました。

プログラムも、昨年度から開始された「特選トラック(査読付き)」での発表枠を設置しました。私も「音楽教育のためのゲーム学習環境:音楽ゲーム「Rocksmith」の事例研究」と題した発表を行います。シリアスゲーム・ゲーミフィケーションの研究も、一般発表トラック、企画セッション、インタラクティブセッションで、それぞれ興味深い発表が予定されています。

基調講演セッションは、「ゲームの入力デバイスに関するゲームアクセシビリティへの取り組みについて」と、「ゲーム研究者のアカデミックキャリアを考える」の二つのセッションが予定されています。

年度末のこの時期に開催される学会の大会や研究会も多いようで(私の専門分野だとJSETの全国大会に参加された方は2週連続の学会になりますね)、ご多用のことと思いますが、多くの皆さまからの参加をお待ちしています(クレジットカード決済での参加申込は3月12日まで受け付けています!)。

【参加者募集】Ludix Lab「ゲーム学習研究者トークセッション」開催のお知らせ

9月3日・4日開催の「LudixLabオンラインデザインキャンプ」の一環で、ゲーム学習関連の研究テーマで博士号を取得した若手研究者をゲストにお招きしたトークセッションを行います。

環境問題における社会的ジレンマを体験するカードゲーム教材の研究で早稲田大学大学院博士課程を修了した福山佑樹氏(関西学院大学准教授)、歴史的事象を現代の問題解決に応用する力を育成するゲーム教材の研究で東京大学大学院博士課程を修了した池尻良平氏(東京大学特任講師)、高齢者向けエクサゲームを用いた運動介入に関する研究で九州大学大学院博士課程を修了した財津康輔氏に、それぞれ取り組まれた博士研究の内容や大学院時代の経験についてお話しいただきます。ゲーム学習研究事例として、音楽ゲームを取り上げたトークセッションも行います。

このテーマに関心のある方はzoomで接続して参加できる環境があればどなたでも参加できます。

Day1:9月3日(木)
16:00-17:00 ゲーム学習研究者ゲストトークセッション(1)ゲスト:福山佑樹氏
17:15-18:00 ゲーム学習研究事例トーク:音楽ゲーム(講演者:藤本徹)

Day2:9月4日(金)
14:00-15:00 ゲーム学習研究者ゲストトークセッション(2)ゲスト:池尻良平氏
15:15-16:15 ゲーム学習研究者ゲストトークセッション(3)ゲスト:財津康輔氏

※本イベントは、主催者の研究活動の一環で行うものです。研究室の広報活動と研究のためのデータ収集、成果発表のための資料として、撮影、録画を行います。これらの点について同意の上でご参加ください。

参加費:無料
主催:Ludix Lab(NPO法人Educe Technologies)&東京大学 大学院情報学環 藤本研究室

参加申込方法:
参加ご希望の方は、下記のサイトからお申し込みください。
https://forms.gle/HYoFi6dVq7GXzQcy6

ゲストプロフィール:
福山 佑樹(ふくやま ゆうき)
関西学院大学 教務機構ライティングセンター 准教授。東京大学大学院学際情報学府修士課程・早稲田大学人間科学研究科博士課程修了。博士(人間科学)。東京大学大学院総合文化研究科・教養学部附属教養教育高度化機構 特任助教・明星大学明星教育センター特任准教授を経て現職。専門分野は教育工学。ゲームを利用した社会問題の学習手法など、ゲームと教育・学習の関係性について研究しているほか、民間企業や行政と共同で研修や教育用のゲーム開発にも携わっている。共著書に「ゲームと教育・学習(教育工学選書Ⅱ)」(ミネルヴァ書房)、「残された酸素ボンベ-主体的・対話的で深い学びのための科学と社会をつなぐ推理ゲームの使い方」(ナカニシヤ出版)など。

池尻 良平(いけじり りょうへい)
東京大学大学院情報学環 特任講師。東京大学大学院学際情報学府博士課程を修了(学際情報学博士)。専門は歴史学習、教育工学、転移、ゲームデザイン。社会の問題解決に応用できる歴史教材を開発し、効果検証を行っている。2009年度東京大学大学院学際情報学府優秀論文受賞。2013年日本教育メディア学会井内賞(優秀論文賞)受賞。

財津康輔(ざいつこうすけ)
九州大学統合新領域学府博士課程修了。博士(学術)。ルールを学びルールを創造するボードゲーム教室サイコロ塾主宰、専門は心理学、教育学。現在はボードゲーム教室体験後の子どもの創造性(mini-c)の変化の測定、探究学習の効果測定(企業の委託研究)を行っている。

【参加者募集】Ludix Lab「オンラインデザインキャンプ(9/3-4)」【プログラム詳細追加】

開催日時:2020年9月3日(木)~4日(金)
開催場所:zoomによるオンライン開催

開催趣旨:
シリアスゲームやゲーミフィケーションの研究や教育実践の取り組みについて、関連学会での発表も少しずつ増えており、教育分野での取り組みとして定着してきた感があります。しかし、国内でこの分野の研究指導や教育を受ける機会は少なく、開発途中で有用なフィードバックを受けられる機会も多くありません。

そこで今回は、この分野で活動する方々のために、取り組んでいる研究や実践活動でデザインした学習ゲーム・シリアスゲーム・ゲーミフィケーションコンテンツへのフィードバックを受けて、研究や実践を前進させる機会として公開オンラインワークショップを企画しました。

プロトタイプ段階のデモや、デザイン計画書の段階の題材をお持ちで、zoomで接続して参加できる環境がある方はどなたでも参加できます。

主な対象者:
開発した学習ゲームやゲーム教材を取り入れた授業デザイン計画にフィードバックを受けたい方、プロトタイプ段階でテストプレイをしたい学生、教員、実践者

日程:
9月3日(木)14:00-18:00
14:00-14:15 オリエンテーション、参加者自己紹介
14:15-15:45 参加者デザイン案・デモ発表~フィードバック
16:00-17:00 ゲーム学習研究者トークセッション(1)ゲスト:福山佑樹氏
17:15-18:00 ゲーム学習研究事例トーク:音楽ゲーム(藤本徹)(~初日ラップアップ)
(2日目開始時間まで:参加者デザインブラッシュアップ時間)

9月4日(金)14:00-19:00
14:00-15:00 ゲーム学習研究者トークセッション(2)ゲスト:池尻良平氏
15:15-16:15 ゲーム学習研究者トークセッション(3)ゲスト:財津康輔氏
16:30-17:30 参加者個人ワーク時間
17:30-18:30 参加者デザイン案・デモ案発表~フィードバック
18:30-19:00 ラップアップ(~本編終了後)オンライン交流会

参加条件:
・デザイン計画書や制作物のデモ(ペーパープロトタイプレベルでOK)を準備して、初日のデザイン発表の時間にプレゼンができ、2日目の成果発表時間までフル参加してデザインのブラッシュアップの時間を取れること

・自分の開発テーマを持ち、ある程度開発を進めていること(またはアイデア段階のものでも開催日までに開発を進められる方)。※入門レベルからデザイン方法を学びたい方や、他の方のプロジェクトに参加したい方は対象外です(また別の参加機会をご提供します)。

・ゲストトークセッションのみの参加枠も設定しました。

参加費:無料
定員:最大15名程度
主催:
Ludix Lab(NPO法人Educe Technologies)&東京大学 大学院情報学環 藤本研究室

参加申込方法:参加ご希望の方は、下記のサイトからお申し込みください。
https://forms.gle/sLRHQuenXByxuXcg9

【追記】ゲストトークセッションのみ参加希望の方は下記からお申し込みください。
https://forms.gle/couqZg5LPqudNFCZ8

備考:
・同じグループから複数名参加も可能ですが、参加者各自で参加登録をお願いします。
・営利企業で開発されているゲームや教材については対象外です(別途、共同研究やアドバイザー契約のご相談を承ります)。所属先と関係なく個人の立場で参加される方は、その旨参加申し込みの際にお知らせください。
・本イベントは、主催者の研究活動の一環で行うものです。研究室の広報活動と研究のためのデータ収集、成果発表のための資料として、撮影、録画を行います。これらの点について同意の上でご参加ください。

MOOC「学びのゲーミフィケーション」gaccoで受講登録開始!

連日リリースのお知らせが続きますが,今度は藤本が講師を担当するMOOC開講のお知らせです。教育にゲーミフィケーションを取り入れるための知識を実践的に学べるオンライン講座「学びのゲーミフィケーション:ゲームフルな学習デザイン方法論」を「gacco(ガッコ)」で1月8日(水)開講します。本日12月3日から募集ページを公開して,受講登録開始しました!

この講座では,教育にゲーミフィケーションを取り入れるためのゲームデザインの概要や事例を学んで,実際にゲーム教材やゲーム要素を取り入れた学習活動の計画を立てるための基本的な知識を身に付ける内容です。

構成は,レベル1から4までの全4回で,毎回ミニレクチャー数本の視聴とミニワーク,教育現場のさまざまな問題状況でのゲーミフィケーションデザインのクエスト課題(ゲーミフィケーションデザイン演習の相互評価レポート)に取り組む内容で,実践的な知識を学べるようになっています。

講座の構成:
レベル1:ゲームと学びの接点に目を向ける 
レベル2:学習活動のゲーミフィケーション 
レベル3:教育システムのゲーミフィケーション 
レベル4:ファイナルチャレンジ(総合演習) 

前回5月にこの講座のプロトタイプ版「教育のゲーミフィケーション」を東大の運営するedX edgeで独自配信した際には,私一人でほぼワンオペMOOC状態で運営したのでかなり大変でしたが,今回は前回の修了者の皆さんがTAやコミュニティTAとして運営を手伝ってくださるので,とてもありがたいです(ガイド役のイワタニさんも前回より出番が増えて活躍してます)。 このテーマに関心のある方はどなたでも無料で受講できますので,どうぞご登録ください!

音楽ゲーム「Rocksmith」でギターが弾けるようになる学習環境

ここしばらく,いくつかのプロジェクトでリリース前の追い込みが重なりつつ,所属部局のあれこれの対応もあってだいぶ立て込んでいますが,その合間を縫って新たなプロジェクトを進めています。

藤本研究室の研究テーマの一つ「遊びの中の学び研究」の新規プロジェクトとして,音楽ゲーム「Rocksmith」を使ってギターが弾けるようになる学習環境の事例研究をしています。先日は「Rocksmith」だけで高度なギター演奏スキルを身につけたことで知られる,Audrey & Kate姉妹の志田さん一家を訪問してきました。

私の講演などで以前からたびたび紹介していましたし,テレビ番組にもちょくちょく出演されているので,この分野の研究に関心のある方はご記憶にあるかもしれません。志田さん一家が運営している「audrey123talks」のYouTubeチャンネルは,登録者数27万人超,最近はライブ配信もよく行なっていて,音楽系YouTuberとして活発に活動しています。Rocksmithを開発したUbisoftの主催ライブやYouTube番組に招待されて姉妹で演奏したり,Rocksmithコミュニティでは知らない人はいない著名Rocksmithプレイヤー姉妹です。

Ubisoftのライブ番組でDreamtheaterやDragonforceを披露する二人の様子

オードリーさんは,8歳からRocksmithをプレイし始めて,もう16歳。お姉さんが演奏する横で遊んでいた妹のケイトさんも,だんだんと一緒にギターやベースを弾くようになり,まだ10歳ですが,ケイトさんの方が幼い頃からこの環境で育っている分,上達も早い様子です。

今回の訪問では,これまでの活動を振り返ってその時々の様子について語っていただきつつ,ご両親の教育方針や地域の学校教育との関係の話,YouTubeやTwitchでのファンとの交流の話など,様々な側面から話を伺うことができました(訪問の様子をオードリーさんがブログに書いてくれてます。「ねこあつめ」を紹介する東大の講師さん・・・笑)。どんな環境で活動しているかを楽しく拝見しつつ,姉妹の演奏するドリームシアターの「メトロポリスパート1」とRushの「YYZ」を生で観せてもらいました。オードリーさんは普通に弾くだけでは飽き足らず,左利き用で弾いたり,足でベースを弾きながら普通にスコア95%以上で弾きこなし(もはや曲芸の域),ケイトさんのベースはRushのYYZを普通に弾けるほどの腕前(指引きがカッコいい)。最近はオリジナル曲を作曲して音楽ビデオも自分たちで制作していたり,制作したオリジナル曲がRocksmithのダウンロードコンテンツ化されたりと,既にRocksmithのプレイヤーだけにとどまらない音楽活動を展開しています。

普通にRocksmithを子どもたちに買い与えただけではここまでのレベルになることはまず無いので,なぜ志田姉妹がここまで上達したのか,どのような支援環境や関係性の中で継続してきたかを学習環境的な観点から探る事例研究です。YouTube上にその成長の過程が掲載されていることも貴重ですが,今回お話を伺ったことでとても多くの興味深い知見を得ることができました(志田家の皆さんに大変感謝しています)。多分このような研究は私しかやらないだろうというニッチな題材ですが,そういうテーマだからこそやりがいがあります。これから資料整理やデータ分析を進めて,成果発表したいと思います。

オンラインコース「教育のゲーミフィケーション」受講者募集のお知らせ

昨年度から時間をかけて準備していた公開オンラインコース「教育のゲーミフィケーション:プレイフル/ゲームフルな学習デザイン方法論」の受講者募集を開始しました。

このコースでは、教育にゲーミフィケーションを取り入れるためのゲームデザインの概要や事例を学び、ゲームを教育に取り入れる方法や、実際にゲーム教材やゲーム要素を取り入れた学習活動の計画を立てるための基本的な知識を身に付けることができます。

毎回の講義ビデオの視聴と、教育現場のさまざまな問題状況でゲーミフィケーションデザインのクエスト課題に取り組む内容で、実践的な知識を学べるように構成しています。修了基準をクリアした方へコース修了証を発行します。

あまり勉強っぽくなく楽しんで学べるように、通常のMOOCとは異なる仕掛けを用意しました。このテーマに関心のある方は経験の有無に関わらず、どなたでも無料で受講できます。受講ご希望の方は、下記の受講登録フォームからお申し込みください。

【↓受講登録はこちらのフォームから↓】
https://forms.gle/eoSiDF9vyd8J6kX57

このコースで学べること:
このコースを受講することで、次のようなことを学べます。
* 教育技法や学習理論についての基礎的な知識
* 学びの場のデザイン方法についての基礎的な知識
* ゲームやゲームデザインについての基礎的な知識
* ゲームと学びの接点に目を向ける考え方
* 教育分野のゲーミフィケーションの事例やデザイン方法
* 教育分野のゲーミフィケーションの実践方法

コースアウトライン:
レベル1:ゲームと学びの接点に目を向ける
レベル2:教室のゲーミフィケーション
レベル3:学校のゲーミフィケーション
レベル4:ファイナルチャレンジ(総合演習)

受講に要する時間:
標準的な学習時間として週2-3時間を想定していますが、経験や知識の差によって必要時間は異なるところがあります。

受講に必要な環境:
このコースは、MOOCプラットフォームのedX edge(エデックス・エッジ)で配信します。ネットに繋がったパソコンまたはスマートフォンのブラウザ環境があれば受講できます。
開講期間:2019年5月10日から開講(全4回)
受講登録締切:5月7日(火)
※受講に関する詳細は、登録締切後にご連絡します。
主な対象者(受講をお勧めしたい方):
ゲームやゲーミフィケーションの手法を導入したい教育者、教材開発者、教育の場でゲームデザインの経験を生かしたいゲーム開発者。教育経験やゲーム開発経験があると理解が進みますが、前提知識がなくても受講できます。

受講料:無料です!

受講方法:
東京大学が提供するコースページ上で学習します(受講方法の詳細は、コースページ公開後にご登録頂いたメールアドレスにお送りします)。

講師:藤本 徹(東京大学 大学総合教育研究センター 講師)

このコースについて:
このコースは、東京大学の研究者グループ(研究プロジェクト責任者:藤本 徹)がオンラインコースの学習効果に関する研究のために提供するものです(2017年度JSPS 科研費17H00824(研究代表者:山内祐平)、2018年度JSPS科研費18K02855(研究代表者:藤本徹)の助成を受けて実施しています)。
授業で収集された学習履歴データは、個人情報が特定されない形で慎重に取り扱い、論文や研究発表などのための研究用途で統計的に処理して使用します。授業への参加は研究データの提供に同意されたこととして取り扱います。
【↓受講登録はこちらのフォームから↓】
https://forms.gle/eoSiDF9vyd8J6kX57

変容を起こすゲームデザイン解説書「The Transformational Framework」

9月にETC Pressから出版されたSabrina Culyba著「The Transformational Framework」がとても良い文献ですので紹介します。本書は多くのシリアスゲーム開発を手掛けたゲーム開発会社Schell Games(カーネギーメロン大学ETC教授でゲームデザイナーのJesse Schell氏が設立)でゲームデザイナーとして活動する著者が、同社のこれまでに蓄積してきた開発ノウハウを体系的に整理した解説書です。

教育/学習ゲーム、研修ゲーム、教育シミュレーション、シリアスゲーム、アプライドゲーム、ゲーミフィケーション、ゲームズ・フォー・ヘルス、ゲームズ・フォー・チェンジなど、さまざまな呼び方で広がってきた、娯楽を超えた用途や効果のためのゲームのことを「トランスフォーメーショナルゲーム」(変容を起こすゲーム)と総称して、そのデザインフレームワークとして8つの要素に整理して解説しています。

・上位目的:そのゲームの目指す変容
・オーディエンスとコンテクスト:そのゲームの対象者と利用される状況
・プレイヤーの変容:そのゲームを通して生じる変容
・障壁:なぜその変容が起きにくいのか
・領域概念:変容を起こすためにゲームが扱う知識
・専門知識源:ゲームに取り入れる知識をどこで手に入れるか
・先行事例:関連する先行事例から学ぶ
・効果測定:ゲームが起こした変容の測り方

ゲーム開発の基礎知識から、企画段階の心得的な留意点、ターゲットの絞り込み方、扱う知識の選び方、領域専門家との付き合い方、先行事例の調べ方や効果測定の方法の選び方など、シリアスゲームや学習ゲームの開発において役に立つ実用的なアドバイスが豊富に盛り込まれています。

これまでにも同様の開発ガイドブック的な文献は出てますが、「シリアスゲーム開発の参考書のおすすめはないでしょうか」と聞かれた時に、ちょうどよく勧められる文献は多くありませんでした。本書は、この分野の開発に着手したい方からそういう質問が来た時に、まずこれを読んでください、と力強くお勧めできます。

本書のPDF版は無料でダウンロードできますので、シリアスゲームやゲーミフィケーションデザインを扱う授業で参考文献にしたり、本書で輪読会をやってみんなで議論したり、ゲームジャム参加前の予習文献にしたりと、さまざまな用途で活用できると思います。

11/25 追記:”transformational” の訳語を教育学分野の定訳に合わせて”変容”に修正しました。

日本教育工学会全国大会@東北大学での発表予定

明日9月28日から東北大学で開催される日本教育工学会 第34回全国大会参加のために仙台へ向かっています。

今年は東大でMOOC開発を担当している荒さんの発表と、担当しているPAGEプロジェクト特任研究員の下山田さんの発表に連名で参加しています。

それと毎年恒例で第4号目の発行になった「SIGレポート2018」の会場配布を行いますので、大会参加される方はSIGブースへお立ち寄りください(PDF版も公開しました。こちらからダウンロードしてご覧ください> https://goo.gl/e1R75g )。私は「学習ゲームデザイン・導入支援ツールの開発」を執筆しました。現在開発中のゲーム学習導入支援ツールについての論文です。最終日の30日のSIG-05「ゲーム学習・オープンエデュケーション」のSIGセッションでゲーム要素を取り入れた授業デザイン体験ミニワークショップを行います。オープンエデュケーション、ゲーム学習それぞれ体験ワークを用意してお待ちしてますので、是非SIGセッションの方もお越しください。


日本教育工学会 会場:東北大学 川内キャンパス
第34回全国大会 2018年9月28日(金)~30日(日)

教育評価 (2) 9 月 30 日(日)9:00 ~ 11:00 会場:講義棟 B 棟 B204
3a-B204-01 複雑な構造の MOOC における学習軌跡の可視化手法の提案, 荒 優,藤本 徹,山内 祐平(東京大学) 789-790.

International Session(3) 9/28 (Fri.) 14:00 ~ 15:20 Place: Lecture Rooms A: A101
I1p-A101-04 Implementation and evaluation of blended workshops on EMI, SHIMOYAMADA, Sho.,KINOSHITA, Shin.,NAKAZAWA, Akiko. FUJIMOTO, Toru.(The University of Tokyo), 943-944.

教育評価 (2) 9 月 30 日(日)9:00 ~ 11:00 会場:講義棟 B 棟 B204
SIG-05: ゲーム学習・オープンエデュケーション
9月30日(日) 14:10〜16:10 会場:講義棟A棟 A102
コーディネーター:重田 勝介(北海道大学),池尻 良平(東京大学),福山 佑樹(明星大学),藤本 徹(東京大学),永嶋 知紘(カーネギーメロン大学),石井 雄隆(早稲田大学)

藤本徹(2018)学習ゲームデザイン・導入支援ツールの開発. 日本教育工学会 SIG-05レポート2018. 3-7.

SIG-05レポート2018
https://goo.gl/e1R75g