遅めの晩飯を食べてて、いいテレビをやってないので久々にヒストリーチャンネルを見てみたら、「Modern Marvels(現代の驚異)」で、」日本のロケット技術の始まりの話をやっていた。日本産ロケットの父である糸川英夫博士が紹介され、糸川博士が第二次大戦期に設計した戦闘機の話、そこから日本が大戦末期に開発していたジェット戦闘機、オートジャイロの話に展開して、戦後のロケット開発に至るまでの日本の航空技術の歴史が紹介されていた。もし原爆投下で戦争が終結していなければ、1946年に米軍による本州上陸作戦が実施され、その際には日本のジェット機は実戦投入されていたはずで、そうすると米空母と戦闘機は太刀打ちできずに大損害を受けていたであろう、という話は興味深かった。
日本の航空技術史の番組が終わったあと、次の番組は「Inside the Great Battles」という戦史紹介の番組で、太平洋戦争の硫黄島の激戦の話だった。栗林中将率いる日本軍が島内に地下壕を張り巡らして、戦力で圧倒的に勝る米軍を相手にいかに戦ったかを解説していた。
どちらの番組で触れられていた話も、初めて聞くことばかりで、学ぶことが多かった。アメリカのTV番組で日本の技術力や戦史を学ぶというのも皮肉な話である。太平洋戦争の話は、学校で扱われるのは原爆の話や疎開の話ばかりで、戦争は悲惨でした、もうしません、という話で終始する。日本の技術の高さや無茶な戦争をいかに戦ったかという話は、もっと教育すべきだと思う。いかに無茶だったか、なんでそんな無茶な戦争を始めることになったのか、不利な戦局の中でどんな戦い方をして終戦に至ったのか、というようなことをしっかり教えた方が、いざという時に極端に走ったり、絶望したりせずに、粘り強く最善の道を選ぼうとする人間が育つと思う。今の日本の学校教育では、こうした教材を全部無駄にしているのは残念なことだと思った。
あと、ヒストリーチャンネルで触れておきたいのは、「映画に見る歴史」というシリーズで戦争映画をやって、CMに入るところでそのテーマが専門の歴史学者が出てきて30秒くらい解説を入れる形式を取っている。ニコラスケイジの「ウィンドトーカーズ」の合間には、ナバホ族の言語を暗号に使って、それがいかに強固な暗号だったか、ナバホ出身の兵隊達がどのように活躍したかを解説していた。そして映画の後に、より詳しいナバホ族の暗号の話の番組をやっていた。映画で興味を持った人はそのままその番組を見て、さらに詳しく学べるという構成になっていた。映画の合間の解説は簡潔で邪魔にならないし、映画の後に関連の教育番組を入れるというのは、番組編成にも教育的配慮がなされていてとてもよいと思った。
ところで、日本のヒストリーチャンネルのWebsiteを見てみたら、マンガ日本史とかやっててこっちの方が面白そうではないか。NHKのプロジェクトXの再放送とかもやってる。アニメの歴史番組はアメリカでもPBSでやってるが、下手なエデュテイメント的味付けがされていてあまり面白くない。アメリカのTVアニメというのは、子どもが面白がるのはこういうもの、という変な解釈があるような感じで、それが演出の質を下げている。「シンプソンズ」のように、大人と子どもの区分けのないアニメ番組というのはけっこう少ない。シンプソンズは面白いが(といってもあのテイストに慣れるのには時間がかかったが)、あとはくだらないものばかりである。その点、子ども向けでも大人の視点で描かれてたり、感情描写が繊細だったりする日本のアニメ番組の方がだんぜんよい。テレビ番組というくくりは同じでも、日米において得手不得手が見えてきて面白い。