この間監禁事件でつかまった男が、監禁もののエロゲーを多数所持していたことがマスコミで取りざたされている。例によって、ゲームをやり過ぎて現実の世界でやってみたくなって犯罪に走った、こいつをおかしくしたのはゲームのせいだ、というような感じで書かれているが、そんなはずはないだろう。ゲームに影響されてほんとに犯罪に手を染めてしまう人は、ゲームをやる前からすでにおかしいのである。ゲームでなくても、ビデオなりドラッグなり、別の形で問題が生じているはずである。ゲームの異常性を指摘する前に、なぜこの男の父親の異常な行動を叩かないのか。高校生に月10万も小遣いをやって放置し、ろくでもない大人に育ったのが明らかなのに、まだ月40万も仕送りし続けるような親が異常でなくて何なのか?
この手の犯罪者は、壊れた家庭に育っておかしくなっているのであって、急にゲームに影響されておかしくなるのではない。なのにゲームに限らず、昔からヘビメタのせいだアニメのせいだと、何かといえばわかりやすい理由としてサブカルチャー的なものが攻撃対象にされてきた。それらを有害図書に指定して遠ざけるようなことをしたところで、たいした効果はない。「小人閑居して不全をなす」の言葉通り、金と暇を与えて子どもを放っておけばろくなことはしないのである。親は自分の子どもの出来がどれくらいのものかはある程度の年齢まで行けばわかるだろう。どんなに投資してもダメな子はダメで、むしろ社会に触れさせて力をつけさせる方がよい。朱に交われば赤くなる、というのは、良くも悪くも影響されるということであって、よい影響を受ける環境を与えてあげることが大切である。そういう配慮無しに放置しておくと、ダメな子ほど低きに流れて勝手に悪い環境に影響されていく。そうするとゲームなり何なり、極端な刺激が犯罪者を方向付ける要素となる。一要素ではあり得ても主要因ではない。
ゲームに限らず、嗜好品的なものは何でもやり過ぎや過剰摂取は身体に毒であるが、それらが主因となって犯罪が起こることはない。菓子の食い過ぎでいきなり死ぬことはないし、タバコも酒もそれだけで明日死に至ることはない。タバコは害でしかないといわれ続けても吸い続けられている。暴力的な映画やゲームも相当な数の人が利用している。それらが犯罪の主因であれば、もっと多くの犯罪が起きているはずである。問題は、そうした刺激物を具合が悪くなるほどまで過剰摂取をさせてしまう環境の方にある。ゲームのせいにするのはいい加減にやめて、早くその問題のもととなっている環境面に目を向けてほしいものである。