卒業パーティ

 この週末は夏学期の卒業式だった。大学院の卒業式の後、うちのプログラムの3人の新しい博士たちの旅立ちを祝うパーティが教員のバーバラ邸で催された。黒人のアメリカ人、台湾人、韓国人の3人で、そのうち韓国人のヤンフンは、ウッチャンナンチャンのナンチャンに顔がそっくりで、いつも会うたびに愉快なのだが、この愉快さを共有できる人がプログラムにはいないのが残念である。そのヤンフンは、すでに韓国に帰って、ヒュンダイ系の企業でインストラクショナルデザイナーとして働き始めているそうだ。
 3人とも、博士号を取得するのに6年以上の年月をかけている。修士であれば、まだ周りに同じ頃プログラムに入った人がいるものだが、博士は卒業の時期がばらばらで、人数も少ない。論文執筆の時期に入ると授業も取らないし、人に会う機会も減る。親しかった人も多くは離れてしまっていたりするので、博士の卒業というのは静かでやや寂しい感がある。山登りみたいなもので、富士山とか、低めで登る人の多い山では、頂上に到達した喜びを共に分かち合う人も多いが、6000メートル級の険しい山だと、頂上にたどり着いた時に周りに人がいるわけではなく、喜びを分かち合える人はそんなに多くない。富士山で十分な人の方が多いし、そもそも山に登らない人にしてみれば、何でそんな苦労をわざわざするのかすら理解できない。博士号を取るということは、そんな感じなのだろう。

CEDEC講師インタビュー

 先日、今度講演するCEDEC関連でメールインタビューしたいと依頼があったので、ざっと答えたものがGameWatchに掲載された。(シリアスゲームジャパンに藤本回答分を抜粋して掲載
 読み返してみると、昨年夏や冬に日本でシリアスゲームの話をした頃よりもだいぶ中身のある話ができるようになったかなという気がする。自分の研究時間のかなりの割合をシリアスゲーム関連に使っているので、1年でだいぶ蓄積ができたという面はあると思う。
 シリアスゲームも欧米ではブレイクして情報量が増え、一人ではとてもフォローしきれなくなった。でもまだ同じような立場で研究している人が日本にいない現状なので、もうしばらくは研究資料の整備を続けていく必要がありそうだ。テーマそのものからして面白い研究だし、広くゲーム研究一般をやるよりも焦点が絞れているので、個別の研究課題に切り込みやすいという強みもある。いろんな分野の人にぜひ参入してもらいたいと切に願う日々である。

引越し完了

 ここ数日はアパートの引越し作業が続いていたが、ペットの金魚も新しい水槽に移して、ようやく部屋の荷物もだいぶ落ち着いてきた。新しいアパートは2キロと離れていないところで、荷物も少なめだったので、レンタルトラックを借りてきて、友達に人手となってもらって、大部分のものは半日で移動し終わった。3年も済んでいるといろいろと溜め込んでいるもので、ゴミ袋10袋分くらいゴミを出した。かなりいろいろ処分したおかげもあって、今までの引越し経験の中ではマネジメントも実労働も一番楽だった。引越し先が近く、しかも日程に余裕があったということもあって、1日で全部引っ越さないといけないというプレッシャーがなかったことも負担軽減につながったんだろうと思う。
 前のアパートは新築だったが、今度のところはやや古い。一番大きな変化は、2ベッドルーム2バスルームのアパートを中国人夫婦のルームメイトとシェアしていること。お互い生活習慣の違いの存在を理解しているので、コミュニケーションはしっかりとろうと話している。夫の方は同じデパートメントの大学院生で、奥さんは日本に2年住んでいたことで、それぞれに共通点があって話もしやすい。思った以上にやりやすくて、気楽にやれている。
 前のアパートでの生活は、二人暮し仕様を一人暮らし用にしつらえ直したところがあって、気楽な反面、無駄が多かったが、今度は最初から一人暮らし仕様でアレンジしたのと、モノもずいぶん減らしたので、生活はずいぶんシンプルになって前よりも過ごしやすくなった。家賃はずいぶん安くなって、大幅コストダウンである。部屋は静かで、3階で南向きの窓からの眺めもよい。
 これから不便も出てくると思うが、とりあえず今のところは新しい生活を楽しんでいけそうな気がする。

奨学金獲得のリアリティショー

 あともう一つリアリティショーネタ。「The Scholar」(ABC系)は、大学に行くてもお金がない高校生の奨学金争奪リアリティショーである。南カリフォルニア大学を会場に、10人の高校3年生が挑戦者となり、毎週、二組に分かれてグループチャレンジでパフォーマンスのよい3人が選ばれて対戦クイズ形式の試験に進み、最後まで残った一人がウォルマート財団提供の5万ドルの奨学金を手にする。それを5週間やって、5人が選ばれ、最終選考面接を経てただ一人だけ手にできる、24万ドルのブロード財団の奨学金を目指す、という内容である。

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世代で共有された生き方

 先週末、Dr. Peckと奥さんのCatherineから、日本の大学から客が来るので顔を出さないかと連絡があったので、ミーティングに顔を出してきた。行ってみると、日本の大学で教えるアメリカ人教授の女性と、その教え子の若者2名、それと教授の友だちのミュージシャンあがりの学校教師の気さくなおじさんが訪ねてきていた。特にアジェンダはなかったらしいが、始まってみればDr. Peckのいつものファシリテーション芸が光り、単なる放談に終わらずに、それぞれが次の一歩に進む力を得たようなよい議論の場となっていた。
 Dr. Peck夫妻とその教授とおじさんたちはヒッピー世代で、若い頃に共有した文化をベースに話が盛り上がる。若い頃に世代で共有していた理想の世界のようなものをまだ今も胸に持っていて、それがこのような場で蘇ってくるかのようである。スピリチュアルなものへもオープンであり、科学的世界とは異なる力の存在を否定せずに、いろんな可能性をオープンに考える。よりよい教育の実現のためには、どんな突飛なアイデアも考慮の範囲内であるし、全ての子どもたちの幸せのための教育、ということを本気で実現したいと考えている。かといって、悲壮感を持って臨むのでも、無茶をするわけでもなく、現実に絶望することなく、日々をまったりと楽しみながら、静かに理想を抱えて前向きに生きている。ジョンレノンやウッドストックのような世界観が、マンガの頭の上のふきだしの中に描かれているのが見えてくるようである。

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弁護士のリアリティショー

 最近TVでは、リアリティショーラッシュでいろんなのをやっているが、また今週から新たにThe Law Firm (NBC系)というのが始まった。これは名前の通り、弁護士もののリアリティショーで、12人の若手弁護士が、有名弁護士のロイ・ブラックのもと、賞金25万ドル獲得とロイに有能であると認められることを目指して、毎週本物のケースで裁判で争い、ダメな人が脱落していくという形式のTV番組である。プロデューサーは「ザ・プラクティス」「シカゴホープ」「ボストンリーガル」で評判の高いデビッド・E・ケリーである。

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中毒の法則

 先週からずっと質的データ分析の最終課題に追われていて、さっきやっと終わった。これで夏学期のコース関連の課題はめでたく全部終了。やっと今度の日本ツアーの準備やらゲーム開発のための勉強やらに時間を使えるようになった。
 今週机に向かっている時のパターン。
ペーパー書かないと、でもめんどくさ。=>だったら進みそうな他の作業やるか=>でもそれも時間かかるから、やっぱペーパー書くか=>うーむ、はかどらん。ちょっとだけネット巡回=>ワロタ2キとかくだらないのを見てしまう=>楽しんだ、でも二時間とか時間経ってる=>_| ̄|○
そんな感じのことを繰り返しながら、何だか息抜きの合間にペーパーを書くような状態が続きつつ、かろうじて片付けた。その中で、中毒状態が起きやすいものの性質について少しだけわかった。
(1) ものすごい強い刺激と、不全感が組み合わさっていること。
  読んでて腹がよじれるくらい面白いものがあったかと思えば、微妙につまらないのが続いてたりして、次は次はと読みすすめるうちにどんどんはまっていく。パチンコとかギャンブルもそういう勝って、うおーとなる刺激と、負けてむむっとなる不全感が連なっているという点では共通すると思う。
(2) 終わりそうで終わらない、手の届きそうな終りが見えるが届かない、あるいは次のゴールが用意されている
  読み物は全部読み終われば一応終りなのだが、区切りがつくまでがんばってしまったり、ゲームだったら一つクエストを終えたらすぐ次のクエストが用意されてて、それがほどよく楽なものだったりする
(3) 簡単にやれる、次の手順がわかっている
  次に何をすればいいか見つけるのに時間がかかるものや、読んでて頭を使う必要があるものが続くと、たいがい疲れてやめたくなるが、中毒性のあるものというのは、手順の部分がシンプルで、望む限り次に進めて、レベルも簡単か、程よく難しいもので、達成のその成果やみかえりもすぐ得られる。
というようなことが中毒を起こす読み物やゲームなんかには含まれているなと思った。うまく使えば役に立つ法則かもしれない。

料理人修行のリアリティショー

 今テレビ番組はシーズンの谷間で24とかアメリカンアイドルとかThe Apprenticeとかの人気番組はお休み中で、短めのシリーズや、目先の変わった番組をやっている。その中で二つ気に入って楽しく見ているのがあって、そのうちの一つが料理人修行のリアリティショー「ヘルズキッチン」(Fox系列)だ。イギリス人スターシェフのゴードン・ラムジーがアメリカでレストランを開業するために、その店を任せる弟子を12人のコンテスタントの中から一人選ぶという設定で、毎週チャレンジしながら一人ずつ脱落していく。番組の構成的には、ドナルドトランプのThe Apprenticeが一番近い感じで、それと違うところは、トランプはお題を与えたら最後に出てきて結果を判断するだけだが、こちらはラムジーが張り付いてガミガミ言いながらコンテスタントたちを鍛え上げるところ。この部分のテンションが番組としての面白さを増している。The Apprenticeでドナルドトランプとその部下がそうだったように、ラムジーと彼のスタッフのキャラクターが生きている。その道のプロというのは魅力があって、それに加えてテレビ映えするキャラはテレビにとって魅力的なリソースとなっている。

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勉強嫌いの教育工学者

 「イノベーション普及と導入」の期末試験がやっと片付いた。朝8時から12時まで4時間、システム思考や変革理論などに関して、よくある「~についてあなたの考えを述べよ」系の出題に答える小論をひたすら書いた。チェックランドは多少知識がついたので、それに引き寄せる形で書ける出題なら何とかなるだろうと思っていたら、幸いそれができる問題だったので、Carrのユーザーデザインと組み合わせれば最強だ、というような流れで4ページ書いた。一緒に受けたクラスメートたちに聞いてみると、みんな6ページとか8ページとか書いてて、私のが一番分量的には少なかった。熟考して、魂を込めて書いたらそんなたくさん書けないだろうと思うのだが、みんなたくさん書いてえらいものだ、とこういう場面ではいつも思わされる。

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オンラインゲーム世界探訪記

 多人数参加型オンラインゲーム(Massively Multiplayer Onilne Game = MMOG)の世界に飛び込んでもう4ヶ月以上が経った。最初に始めたA Tale in the Desertに加えて、今一番人気のWorld of Warcraftを始めてひと月が経った。コーエーの大航海時代も手をつけたのだが、さすがにMMOG3つを並行してやるのは無理だと悟って、最初の二つに絞った。個人的にやるとしたら一番好きな大航海時代をやりたいのだが、今はそうも言ってられない。それでも多くて時間を食う。そんなに時間がないのでたぶん普通のゲーマーほどにはできてない。ATITDの方は3つくらいしかテストをパスしてないし(全部で50個くらいある)、WoWの方はレベル16(種族:人間、職業:ウォーリアー)である。ギルドにはレベル60の人たちがたくさんいるのだが、どれだけやればレベル60までいけるのか想像もつかない。

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