今回の日本でのメインの仕事日。コンピュータゲーム業界のカンファレンス、CEDECにて、シリアスゲームに関する講演と、開発者の方々をお招きしてのパネルセッションを行なった。単なる紹介だけの話は前にやっているし、アメリカではこうですよという話だけではああそうですか、という感じで終わりそうだったので、今回は自分の専門である教育工学的な観点から、シリアスゲームの学習絡みの解説を加えることで内容に深みを持たせた。あとで振り返ると、あれこれ反省点も見えてくるが、金沢での学会発表がよい予行演習になっていたようで、とりあえずは今までに経験したプレゼンものの中では、自分的には一番よくできた部類に入る出来だった。100人以上のオーディエンスの前で90分の講演をやるというのは、これまでほとんど経験がなかったのだが、今回やってみて、なんとかやれそうだなという感触は得ることができた。興味を持ってくださった方も結構いらしたようで、講演後にご挨拶していたら、あっという間に手持ちの名刺がなくなってしまった。ここまでの反応は予想してなかったので、ちょっと在庫の見積もりが甘かった。
東京へ移動
金沢滞在4日目の午前中は犀川沿いや武家屋敷跡の近辺を歩いて見て回った。この2時間ほどが今回の唯一の金沢観光で、昼過ぎに電車で東京へ向けて移動。ホテルに着いてメールを開くと、古い友人から、帰ってるなら連絡よこせこのやろう、とメールが入っていたので連絡を取って焼肉を食いに行ってきた。最近アスリートの間で流行ってるというファイテンの首に巻くやつを買ってくれた。うちに帰ってネットで調べたらたしかに流行ってるらしいことがわかった。なんとなく効いてるような気のせいなような。でも重い荷物を下げて動き回っている割には肩こりが軽い。いいものもらった。ありがとう。
学会二日目
時差のため、朝はやたらすっきり起きれる。ホテルの朝飯はコンビニおにぎりやクロワッサンなどが食べ放題なのがありがたい。安いインスタント味噌汁もやたら美味く感じる。夕飯と違って、朝は胃腸も目覚めているので、朝からおにぎり三つにパン二つも食べて、朝一の発表に向けて体調も万全である。自分の発表をやったあと、後半のセッションの座長をやらないといけなくて、座長担当の4件のうち3件は英語セッションだったので、質問が出ないことを想定してちょっと予稿を読んで予習しておいた。しかしぼやぼやしていて、いざ出かけてみると、バスだと間に合わないかもしれない時間になってしまっていて、やむなくタクった。余計な散財をしてしまってやや気分が曇った。
金沢移動~学会初日
上野から新幹線と特急を乗り継いで、夜7時過ぎに金沢に到着。宿は繁華街の片町にあるビジネスホテル。ここも4400円で無線LAN無料で朝食付きというお得さである。翌朝、熊本大の北村さんと合流し、学会の会場である金沢学院大へ。バスに揺られて、やあ着いたと思いきや、着いたのは山の向かいにある「北陸学院短大」だった。学院という言葉に反応してバスに飛び乗ったのがまずかった。タクシーを呼んで、山の向こうにある目的地へ急行。北村さんが一緒だったので、やっちまったねーわははは、という感じですんだが、一人だったらいきなりめげてたことだろう。
日本滞在初日
デトロイトからの飛行機が2時間遅れたものの、日本に無事到着。成田のホテルに一泊。朝食付き、ネット接続無料なのがよかった。いまやネット無料のホテルはすぐ見つかるのでありがたい。トイレもシャワーつきトイレが普通になっている。ここは朝食でいい米のご飯と、焼き立てパンを売りにしている。ご飯と味噌汁の朝食は何よりもうまかった。クロワッサンもうまかった。なぜかいつも旅行中の朝飯は果てしなく食える。
自分の携帯を再接続するための書類をうちに忘れてきて、仕方なしに空港で携帯をレンタルしたのだけれど、一日700円とか取られるのが馬鹿らしくなって、翌日返却。午後から金沢へ移動なので上野へ。隙間の時間を利用して御茶の水へ移動、行きつけのディスクユニオンで中古CDを買い込む。帰りに牛タン屋で昼食。牛タンを食べるつもりだったが、品薄で高くなっているのを忘れていた。豚炭火焼で妥協。それでも大満足。今はとにかく和食系へのストライクゾーンが広がっているので、何を食ってもうまいし、何を見てもうまそうに見える。上野駅の構内のレストランも弁当屋もケーキ屋も、どこを見てもうまそうで仕方がない。ウェストの巨大化が懸念されるなか、非常に状況はよろしくない。
本屋に立ち寄り、新幹線で読むための漫画を物色。今回は漫画を読む時間があまりないので、読みたいものの中から厳選した。3巻までしか読んでなかったドラゴン桜が8巻まで出てて平積みになってたり、いつのまにか島耕作が常務になっていたりして、時の経過を感じた。結局、浦沢直樹の漫画「プルートウ」1-2巻を購入。プルートウは評判通りの面白さだった。この漫画の元の話となっている、鉄腕アトムでモンブランとか強いロボットが出てくるシリーズをアニメで見たのをおぼろげに思い出しながら、一気に読んだ。CD購入と昼の定食と、このプルートウを読んだことで、今回の帰国の目的を果たしたような気分に一瞬なったが、まだ仕事は何もやっていない。漫画を読み終わった後はひたすら寝ていて、金沢に到着。何だかあっという間に10日経ってしまいそうな気配である。
トミー・リー大学へ行く
晩飯がてらなにげにテレビをつけると、NBCで新番組「トミー・リー大学へ行く」をやっていた。トミー・リーは、ロックバンド、モトリークルーのドラマーで超有名ロックスターである。その彼がネブラスカ大学に入学して、大学生活を送る様子を描いたリアリティショーである。パリスヒルトンの「シンプルライフ」と同系統で、世間知らずの有名タレントが苦労しながら何かにチャレンジする様子を面白がって見るための番組である。ロックスターのお間抜けぶりを見せるという点では、オジーオズボーン一家の家庭生活コメディ番組「オズボーンズ」とも同系統といえる。
この手の有名人の生活体験リアリティショーはあまり好きではないのだけど、トミー・リーはモトリークルーの頃に結構好きだったので、つい見てしまった。最近、彼の前妻パメラ・アンダーソンが、シチュエーションコメディドラマ「Stucked」で好評を博していたので、そういえばトミー・リーはどうしてる?、と思っていたらこのような形で出てきた。たぶんみんな少なからずそう思っているだろうから、タイミング的にはよい感じである。トミーは40過ぎでも色気のあるロックおやじで、歳を食っても華があってカッコよい。大学の授業でつまらなそうにしているところも、マーチングバンドのドラムがうまく叩けないところも、コインランドリーの使い方をルームメイトに教わっている姿も、笑える一方で絵になっている。スター性があるとはこういうことを言うのだろう。コメディドラマで成功したパメラアンダーソンに続いて、彼も新境地でファンを獲得しそうな雰囲気である。
卒業パーティ
この週末は夏学期の卒業式だった。大学院の卒業式の後、うちのプログラムの3人の新しい博士たちの旅立ちを祝うパーティが教員のバーバラ邸で催された。黒人のアメリカ人、台湾人、韓国人の3人で、そのうち韓国人のヤンフンは、ウッチャンナンチャンのナンチャンに顔がそっくりで、いつも会うたびに愉快なのだが、この愉快さを共有できる人がプログラムにはいないのが残念である。そのヤンフンは、すでに韓国に帰って、ヒュンダイ系の企業でインストラクショナルデザイナーとして働き始めているそうだ。
3人とも、博士号を取得するのに6年以上の年月をかけている。修士であれば、まだ周りに同じ頃プログラムに入った人がいるものだが、博士は卒業の時期がばらばらで、人数も少ない。論文執筆の時期に入ると授業も取らないし、人に会う機会も減る。親しかった人も多くは離れてしまっていたりするので、博士の卒業というのは静かでやや寂しい感がある。山登りみたいなもので、富士山とか、低めで登る人の多い山では、頂上に到達した喜びを共に分かち合う人も多いが、6000メートル級の険しい山だと、頂上にたどり着いた時に周りに人がいるわけではなく、喜びを分かち合える人はそんなに多くない。富士山で十分な人の方が多いし、そもそも山に登らない人にしてみれば、何でそんな苦労をわざわざするのかすら理解できない。博士号を取るということは、そんな感じなのだろう。
CEDEC講師インタビュー
先日、今度講演するCEDEC関連でメールインタビューしたいと依頼があったので、ざっと答えたものがGameWatchに掲載された。(シリアスゲームジャパンに藤本回答分を抜粋して掲載)
読み返してみると、昨年夏や冬に日本でシリアスゲームの話をした頃よりもだいぶ中身のある話ができるようになったかなという気がする。自分の研究時間のかなりの割合をシリアスゲーム関連に使っているので、1年でだいぶ蓄積ができたという面はあると思う。
シリアスゲームも欧米ではブレイクして情報量が増え、一人ではとてもフォローしきれなくなった。でもまだ同じような立場で研究している人が日本にいない現状なので、もうしばらくは研究資料の整備を続けていく必要がありそうだ。テーマそのものからして面白い研究だし、広くゲーム研究一般をやるよりも焦点が絞れているので、個別の研究課題に切り込みやすいという強みもある。いろんな分野の人にぜひ参入してもらいたいと切に願う日々である。
引越し完了
ここ数日はアパートの引越し作業が続いていたが、ペットの金魚も新しい水槽に移して、ようやく部屋の荷物もだいぶ落ち着いてきた。新しいアパートは2キロと離れていないところで、荷物も少なめだったので、レンタルトラックを借りてきて、友達に人手となってもらって、大部分のものは半日で移動し終わった。3年も済んでいるといろいろと溜め込んでいるもので、ゴミ袋10袋分くらいゴミを出した。かなりいろいろ処分したおかげもあって、今までの引越し経験の中ではマネジメントも実労働も一番楽だった。引越し先が近く、しかも日程に余裕があったということもあって、1日で全部引っ越さないといけないというプレッシャーがなかったことも負担軽減につながったんだろうと思う。
前のアパートは新築だったが、今度のところはやや古い。一番大きな変化は、2ベッドルーム2バスルームのアパートを中国人夫婦のルームメイトとシェアしていること。お互い生活習慣の違いの存在を理解しているので、コミュニケーションはしっかりとろうと話している。夫の方は同じデパートメントの大学院生で、奥さんは日本に2年住んでいたことで、それぞれに共通点があって話もしやすい。思った以上にやりやすくて、気楽にやれている。
前のアパートでの生活は、二人暮し仕様を一人暮らし用にしつらえ直したところがあって、気楽な反面、無駄が多かったが、今度は最初から一人暮らし仕様でアレンジしたのと、モノもずいぶん減らしたので、生活はずいぶんシンプルになって前よりも過ごしやすくなった。家賃はずいぶん安くなって、大幅コストダウンである。部屋は静かで、3階で南向きの窓からの眺めもよい。
これから不便も出てくると思うが、とりあえず今のところは新しい生活を楽しんでいけそうな気がする。
奨学金獲得のリアリティショー
あともう一つリアリティショーネタ。「The Scholar」(ABC系)は、大学に行くてもお金がない高校生の奨学金争奪リアリティショーである。南カリフォルニア大学を会場に、10人の高校3年生が挑戦者となり、毎週、二組に分かれてグループチャレンジでパフォーマンスのよい3人が選ばれて対戦クイズ形式の試験に進み、最後まで残った一人がウォルマート財団提供の5万ドルの奨学金を手にする。それを5週間やって、5人が選ばれ、最終選考面接を経てただ一人だけ手にできる、24万ドルのブロード財団の奨学金を目指す、という内容である。