今回の日本でのメインの仕事日。コンピュータゲーム業界のカンファレンス、CEDECにて、シリアスゲームに関する講演と、開発者の方々をお招きしてのパネルセッションを行なった。単なる紹介だけの話は前にやっているし、アメリカではこうですよという話だけではああそうですか、という感じで終わりそうだったので、今回は自分の専門である教育工学的な観点から、シリアスゲームの学習絡みの解説を加えることで内容に深みを持たせた。あとで振り返ると、あれこれ反省点も見えてくるが、金沢での学会発表がよい予行演習になっていたようで、とりあえずは今までに経験したプレゼンものの中では、自分的には一番よくできた部類に入る出来だった。100人以上のオーディエンスの前で90分の講演をやるというのは、これまでほとんど経験がなかったのだが、今回やってみて、なんとかやれそうだなという感触は得ることができた。興味を持ってくださった方も結構いらしたようで、講演後にご挨拶していたら、あっという間に手持ちの名刺がなくなってしまった。ここまでの反応は予想してなかったので、ちょっと在庫の見積もりが甘かった。
二コマ目は、開発者の方々とのパネルセッション。サクセスの鈴木さん、ゲーム作家の柴田さん、ナムコの小野さんの三方にご登場いただき、開発にまつわる話をしていただいた。こちらも100人以上のオーディエンス。プロジェクタの接続不具合で最初の10分を浪費してしまったのがもったいなかったが、3名のパネリストの経験を通したリアルな開発にまつわる話に迫力があり、非常に面白いセッションになった。おそらくモデレータの私が一番楽しんでいたのではなかろうか。時間が足りず、いい感じで盛り上がっていたところで残念ながら終了。クライアントとのコミュニケーションの話や、レベル調整の話はシリアスゲームに限らず参考になる話だったと思うし、最後に小野さんが紹介してくださった、千葉大の入試小論文で、リハビリゲームについてを問う出題がされていたといのもとても興味深かった。とにかく二コマとも成功という感じでほっとした。
受講者アンケートを見てみると、概ね満足な方に評価が集まっていたのでこれまたほっとした。パネルの方が講演よりも満足度が高かった様子だ。プロジェクタの映りが悪いとか、スライドの色合いが悪いとか、接続不良で時間を費やすなとかそういう不満の声もあったが、それは大学の設備が古いせいもあったりして、なかなか思うようにはいかんのです。あと、内容が浅いとか、具体的なハウツーが知りたいとかそういう声もあって、それらの反応を元に反省点や改善点も気付かされたけれども、100人もいればみんなのレベルや関心に合わせるのは難しい。講演もパネルも、不満だったという回答は少なかったけど、講演の方の満足度は5段階評価の真ん中の「普通」という答えも結構あった。うーん、普通ですか。。次は普通じゃないセッションができるようがんばります。
夜はパネル講師の方々と、シリアスゲームメーリングリストに参加している人々との懇親会で盛り上がった。教育業界、ゲーム業界などから、関心も高く、経験も豊かな皆さんが参加してくださり、期待していたような交流の場となったのがうれしかった。この懇親会も含めて、私にとってはシリアスゲームデーといった一日だった。