帰国して1か月ちょっとが過ぎた。帰国してすぐの頃は、日本を離れていた8か月のギャップがあちこちに感じられて、生活のあちこちを楽しんでいたのだが、だんだんと環境適応モードに入ってきてから忙しなくなった。どこかでウィルスをもらってきたのか熱を出して寝込んだり、無駄に情報量が多いのに疲れたり、まだ都会の生活に慣れてない感じの反応をしている。情報行動も触れられる情報がずいぶん変わったことで変化に適応する必要が生じている。
帰国したらやらないといけなかったことと、やろうと思っていたことに着手しはじめたら、それだけで時間が足りなくなって一週間がまたたく間に過ぎていく。こうなるのもある種当たり前で、今までやりたいと思って手をつけずにいたことを解禁したので、その時点で帰国前よりもやろうとしていることの量が拡大しているのだ。それに人にも会えるようになったし、会合などにも参加できるようになった。外に出る数をかなり絞っても、確保できる作業時間というのは案外少ないものだと痛感する。解禁が早すぎたかと計画を見直したり、前と比較して共通するところを効率化しようとしたり、あれこれ試行錯誤する毎日だ。
そんな毎日を続けていて、たまに読むライフハック系のブログに目を通していたら、次のような記事が出ていた。
The Lazy Manifesto: Do Less. Then, Do Even Less (zenhabits)
「Career and Life」カテゴリーアーカイブ
2009年の活動方針
新年明けましておめでとうございます。
今年の年越しは、妻の実家の京都でゆっくり過ごしてきました。ゆっくり休んできて、これから新年の活動を始動させようかというところです。
毎年、その一年の活動の振り返りと新たな年の活動の抱負を書くことを恒例にしているので今年も一つ。昨年は活動テーマとして、「個々の仕事のパフォーマンスの最大値を上げる」ことを掲げ、「博士論文研究の仕上げ」、「2冊目の翻訳書出版」、「帰国後の活動の立ち上げ」を目標として活動してきました(2008年の活動方針)。
目標についてはいずれもまだ途中で、年内にケリをつけることができなかったのですが、個々の仕事の質を上げることに集中することは、これまでになく徹底して行うことができました。まだやろうとしていることに自分の力量が追い付いていないために、計画よりも時間を取られることに終始した一年でしたが、活動を絞り込んで集中したことで、年初の自分には見えなかったものが見えるようになったことを実感できた一年でもありました。
今年の前半は、昨年蓄えた力を活かして、昨年中に達成しきれなかった上記の目標を達成することを優先事項に活動したいと思います。博士論文研究はあともう1サイクルの実験で論文として形にできるメドが立ち、翻訳書は新年度早々には世に送り出せるスケジュールで校正作業を進めてます。帰国後の活動も、これまであたためていた構想を具体化する作業を一つずつ進めていくことにしています。
それから今年は、自分のキャリアの歩を大きく進める一年にしていこうと思います。一つの大きな方針として、今年から数年間かけて、新しい学習文化を創造することをテーマとした、シリアスゲームや学習コンテンツの企画、開発を行う事業体を立ち上げる計画で活動していくことにしました。これまで踏み込んできた研究と事業の軸足をどうシフトするかをしばらく悩んでいましたが、何か新しい価値を創造して、社会を変えていく力を生むことが自分にできるとしたら、それを実現できる体制とはどういうものかを考えた時、少なくともここ数年は事業活動をメインに、どこまでいけるかチャレンジするのがベストだろうと考えました。
まずは自分の個人オフィスから始めて、シリアスゲームの企画・デザインスタジオを立ち上げて活動していく構想を基本に活動していきます。研究者としての活動も、事業と研究の両輪となって前に進んでいくものに絞り込んで取り組んでいく方針で行こうと思います。うまく軌道に乗るまではあれこれ試行錯誤したり、研究者としてのわらじに頼ったりしながら進むことになることが予想されますが、自分にできる最大限の価値創造のための事業活動がその先にあることを前提に活動したいと思います。
27歳で形だけは独立して以来、「アナザーウェイ」をコンセプトに活動してきましたが、ここ数年は、自分自身がほんとうの意味でアナザーウェイに踏み出していくための新たな「アナザーウェイ・マインド」の醸成期間だったように思います。今年は実際に誰も歩かないようなアナザーウェイを自分が進んでみて、そこから新たな価値を生み出していく一年にしたいと思います。
皆さん、一緒に面白い活動をしていきましょう。今年もよろしくお願いいたします。
モチベーションの向かう先に答えがある
逆に言えば、モチベーションが向かわないところには答えはないし、ソリューションも生まれない。「ない」というのは言い過ぎで、答えもソリューションも「見出せない」、と言った方が適切かもしれない。
「好きを仕事にする」のはほんとに幸せか?
高校時代、もうすぐ定年が近そうな年配の生物の先生がいた。彼がある時、授業中の雑談で「オレはずっと生物が大好きだったから、これを仕事にできたらどんなにいいだろうと思ってたんだけど、実際に仕事にしてみると生物が楽しみじゃなくなったんだよね」とボヤいていた。
とはいえ、彼はいつも嬉しそうにニコニコと授業をしていたので、普通に他の仕事をしているよりは幸せだったのだろう。言ってみれば、そのボヤキは、自分の好きな生物に対するある種のノロケのようなものだったかもしれない。でも、彼のボヤキが表しているように、「好きを仕事にする」というのは、普通の人がイメージするほど幸せいっぱいの毎日が来るわけではない。
失敗の効能と弱さの強さ
35歳になった心境の続きで、若い頃よりも「生き易さ」を感じるようになった理由について。
「生き易さ」を感じる二つ目には、失敗に対する見方が変わったことだろうか。前回書いたように、人は自分のことで手一杯なので、ちょっとやそっとの失敗をしたところで、自分が思うほどに人は気にしてない。いちいちあげつらって失敗を笑う人がいたとしても、それは不幸な自分を慰めるためにやっていることで、失敗した人自体を見てのことではない。
35歳になりました
この夏で渡米から丸6年になる。だんだんとまだいるのかという気もしてきたが、紆余曲折を経つつどうにかここまできた。
今は留学生活の総仕上げの段階で、年初に立てた計画から見れば概ね計画通りといってよいのだけど、かろうじて前に進んでいるという感じで推移しているところ。
肝心の博士論文は、あわよくば日本で集めたデータで無理やりを承知でとにかく終わらせてしまいたかったのだが、博士論文の水準に持っていくにはいろいろと無理があった。日本での実験で得た知見をもとに、もう一段階掘り下げた実験を今度はこちらで行って、そのデータで論文を仕上げることにした。集めたデータはとりあえずそのまま放置で、デザイン的な知見を次の学習環境デザインに使って、早く次の実験のセットアップをして終わらせてしまうのが一番早く終わるという判断。この判断が正しいかどうかはともかく、追加3ヶ月の延長戦で終わらなければもうアウト。そこまでやってダメなときはもうずっとやってもダメだろうと腹をくくってやることにした。状況的に焦りを感じることもあるのだが、研究としてはいいものになる期待を持っているので、希望を胸にがんばろうというところ。日本に残している妻にはほんとに申し訳ない。
今年の計画的なことは、あとは自分のがんばり次第、という状態なので、あとは35歳になった心境でも書いておこうかと思う。
2008年の活動方針
改めまして、新年明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願い申し上げます。
新年を迎えて区切りのよいところで、今年一年をどのように過ごすか、活動方針として考えているところをまとめておきたいと思います。
★個々の仕事のパフォーマンスの最大値を上げる
まず、自分自身の力点の置き方、あるいは仕事の選択や意思決定をする際の判断軸として、及第点の仕事を数こなすよりは、個々の仕事のパフォーマンスの最大値をいかに高めるかをテーマにしようと思います。
ここ数年の仕事の進め方として、自分の許容範囲の枠内でバランスを取りながら、及第点の仕事の数をこなすようなアプローチをとっていました。個々の仕事単体で自分がイメージできるベストの成果を出す努力よりも、仕事の土俵の選び方や段取りの工夫をしながら、及第点レベルの仕事を多くこなすことで総体としての成果を最大化しようとしてきました。端的に言えば、「いかに自分の許容範囲の中で、合格レベルの仕事をいかに無理なく数こなすか」という考え方です。
このやり方である程度の成果は出してきたし、おかげで身体を壊すようなこともなくここまでやってこれたのですが、個々の仕事の成果については妥協があったり、自分の力量では越えられない壁を越えようとする努力を避けて楽をする傾向があったりします。安定して70点の仕事はできても、90点や95点レベルの仕事には至っていません。
全体としては自分の力量の最大限でやっていても、細かく見ていくとまだ仕事の仕方に無駄があったり、余力が無駄に浪費されていたりする一方で、もうひと踏ん張りすればもう一段階レベルの高い仕事ができるところを踏ん張り切れずに妥協するのを甘受してきたところがあります。今までのやり方では、そうしないと全体のバランスを崩してしまって、及第点レベルに達しない仕事がでてきたりするので仕方のないところがあったのですが、今年はその前提自体を少し見直そうと思います。
今まで妥協してきたところを妥協せずに踏みとどまってどこまでいけるか、OKレベルの数をこなしてお茶を濁すのでなく、一つでも二つでも、自分の限界を超えて他者の追随を許さないレベルの仕事をやり切るにはどうすればよいか。仕事全体のマネジメントもそこに力点を置く形で取り組むことにします。
★具体的な目標項目
・博士論文研究を完了し、年内に論文を仕上げる。研究から派生した研究発表を海外と国内で各一本は行う
・2冊目の翻訳書の出版
・今年後半からの帰国後の活動のための土台作り、準備中の研究・開発プロジェクトの立ち上げ
(・その他、継続中のプロジェクトの完遂)
当面やるべきことは可能な限り絞りこんで、博士論文とその関連のプロジェクトについては、今までにない高い水準できっちりやり切ることを自分に課したいと思います。30代も半ばになり、キャリアの後半に差し掛かってきたことや、今年から本格的に留学後の活動に入ることを考えると、ここでもう一段階自分の力量の限界を掘り下げておくことが大切だと考えています。そのために今一度、質を高める工夫の継続と、継続可能な体制を生むためのマネジメントスタイルの再構成を今年の前半に行っていくことにします。
2007年を振り返って
日本の皆さま、新年あけましておめでとうございます。
アメリカ東海岸はまだ大晦日の昼なので、年が明ける前に2007年について簡単に振り返っておこうと思います。
自分のテーマと仕事の幸福感
先日、今度実施するオンラインゲームを利用した研究授業の打ち合わせに行ってきた。協力校の先生とアレンジをしてくれたフューチャーインスティテュートの為田さんとともに、学校のコンピュータルームで準備やゲームの動作確認をした。この学校のICT環境は驚くほどに整備されていて、懸念していた環境面の問題はほとんどなしでそのまま利用できる様子なのがありがたい。ここまで整備されているところは珍しく、室内の生徒の作品展示を見ると生徒たちのレベルの高さがうかがえる。実施する授業は、授業の中で週替わりのゲストを招く枠を使わせてもらうことになっており、話もスムーズに進んだ。あとは授業のコンテンツを準備するところがカギで、こちらの腕の見せ所というところだ。
帰りに為田さんと軽くビールを飲みつつ、今後の展開など話し合った。同じ教育分野で働く人でも、なんでその仕事が好きかというのは少しずつ違うもので、僕にとってはカリキュラムや授業プランを書いてそれを試してみるところにこの分野で仕事をする楽しさがある。人が学ぶ仕組みや仕掛けを企てる仕事ならいくらでもやっていられる。なかなかそんな人とは出会わないのだが、彼は僕と同じツボを持った人だったようだ。そして大学時代に受けた授業や大学生活で触れてきたものが興味を深めるのに影響しているのも共通していた。お互いが持つ仕事のテーマがちょうど合致しているので、いくらでも一緒にやれそうなプロジェクトのアイデアが思いつく。日々動いている業務を回していくだけだと息切れしてしまうが、その先にワクワクするプロジェクトがあると思えば力も湧いてくる。そんなきっかけが生まれるよい時間を持つことができた。
そんな話をして、ふと自分が仕事をしていく上で何があれば満足なのかということを考えた。「(人に管理されるのでなく)自分で仕事の段取りをする自由度」があって、「(ただ食べていくためでなく)自分のテーマに合った仕事で食べていけて」、「自分が共感できる想いを持った人の力になれる仕事」で「新しい仕組みや仕掛けを考えて生み出す仕事」をやっていけるのであればそれで満足だ。経済的なゆとりや人から敬意を受けることなどは、仕事を積み重ねた結果得られればそれでよいし、それらの要素は仕事そのものから得られる満足感とは少し違う気がする。
今進めている仕事は教育コンテンツの制作や企業での研修、本の執筆、それにこの博論研究と、いずれも面白くてチャレンジングなものばかりで、それぞれに重要な局面に入ってきている。ここが自分の専門知識を駆使しての腕の見せどころで、どれもよい成果を出すにはかなり知恵を絞らないといけないのでプレッシャーも大きい。それでも楽しくやっていけるのは、いずれも自分の仕事のテーマに合っていて、ちょうど良いバランスの中で楽しむ余裕を感じながらやっているからだろう。一つ一つは楽しい仕事でも、ボリュームや難度のバランスが崩れるとストレスになるし、好きな仕事だけに成果が出せないとストレス倍増になる。その意味では、幸せに仕事をしていくためには、自分のテーマや価値基準に合った仕事をすることと、その仕事を良いペースで進めるためのバランスのとれた管理能力というのが必要なのだろう。
34歳になりました
今日は平日だったので普通に仕事をしつつ、自分の現状と少し先のこれからのことを考えつつ過ごした。日本にいると、直接人に会ってものごとを進められる分ペースが速い。時差ぼけはなおったけど、その速さにまだ慣れていないせいか、よそ見したり振り返ったりするとコケたり壁にぶつかったりしそうな感じがして、前を向いたままちょっとだけ振り返るような感覚だ。