4/29(木) デザインプレゼン

 どうにかこうにか課題を片付けながら、はや週末が近づいてきた。今日はテクノロジーデザインのクラスの最終プレゼン。クラスメートは皆かなりくたびれた顔をしている。わがグループは日本、台湾、韓国、ガイアナ(南米)の多国籍チームで、大学院コミュニティのサポートシステムをデザインした。コースワークの計画をサポートしたり、アドバイザーとのコミュニケーションを円滑化させる機能を搭載したデータベースシステムのプロトタイプを作った。ちょうどいい具合に、グラフィックデザインやWeb構築を得意とするメンバーがいたので、作業の分担もスムーズで、自分もスペックのデザインに集中できた。グループで作業するありがたみを最も感じることのできるプロジェクトだった。あとは個人作業のペーパーが四つ。一日一つペースで片付けて、来週火曜くらいには自由の身になりたいものだ。

Endnoteは便利

この間、文献管理ソフトのEndnoteの講習会に参加して、その便利さを実感したので、自分でもソフトを購入して使い始めた。いつもはペーパーを書くたびに引用文献リストを編集するのに時間をとられているのだが、今回はその手間が大幅に軽減された。かかるのは入力の手間だけ。それも一度やってしまえば使いまわしができる。Wordとの連携がよくて、引用形式も論文の様式にあわせて変更が可能。たいていの様式には対応している様子。これは使えば使うほど便利で、研究を続けていく身としては重宝しそうだ。
しかし今Webで見てみたら、日本語版は高い。5万円か。アカデミックプライスでも29000円。英語版は299ドルで、自分のはアカデミックプライスで、50ドルだった。便利でも3万近くするんじゃ手が出ないな。日本は市場が小さいから仕方ないか。高等教育の市場が大きなアメリカでは、こういうソフトも規模の経済で安くなる。長くなるので今日は書かないが、この市場規模の格差というのが実は問題で、これが日本とアメリカの高等教育の質に大きく影響しているのだと最近つくづく思う。
ペーパー書きの途中でこれ以上脱線するのはやめとこう。というわけで、Endnoteは留学生や、文献と格闘する職業の人々にお勧め。特に留学生は最初の学期とかに買って使いはじめるといいかも。

4/24(土) 忙しい人との仕事

 昨晩もお祭りから帰った後、課題を夜中の5時過ぎまでやって力尽きて寝て、起きたのが10時半ごろ。まあ6時間は寝ているので疲れはそんなにたまってない。リサーチデザインのコース課題が月曜までではなく、金曜までということが判明。教育評価のコース課題も締め切りが3日延びた。これでやや安堵するも、予断は許さない状況。
 アドバイザーのDr. Peckからインターンの承認レターを書いてやるぞとメールが入っていた。彼は研究科長で多忙なため、つかまらないときはまるでつかまらない。奥さんのCatherine経由で伝言を頼むという裏技が有効なのだが、あまりやりすぎるとうざいので最終手段として使っている。今日はどうやらつかまるようなので、即行で要件をレス。午後の間にメール3往復。結果、必要だったレターをゲット。すばらしい。明日から数日フロリダへ行ってしまうところだったらしい。セーフ。
 日本では会社のトップの直下で仕事してきたので、彼のような忙しい人との仕事は慣れているつもりだ。うまくやる最大のコツは、タイミングを逃がさないこと。自分の方が用意できてないなどの理由でタイミングを逃してしまうと、もう次のチャンスが来るまで待ち時間が続き、無駄が多い。つかまらない時に無理してこちらの都合をごり押しするのは下の下の策である。先方のタイミングに合わせつつ、ボールが飛んできたらすぐに投げ返す。忙しい人との仕事の成否の大部分はこれに尽きる。

ゲームデザインとISD

 午後、数ヶ所に仕事のメールを送った後、School of Information Science and Technology主催のフォーラムへ。プレステ2のスポーツ系ゲームなどをいくつも手がけたプロのゲームデザイナーのプレゼンに続いて、ISTの教授陣が加わってのパネルセッション。John Carrollというユーザビリティデザインの大御所と、若手のゲーム研究者二人。議論自体はそんなに盛り上がらなかったものの、話は面白かった。いつも思うが、とにかくこっちのプロデューサー系の仕事をする人たちは言語能力が高い。
 ゲームデザイナーの思考のプロセスはインストラクショナルデザイナーのそれと方向はほぼ同じだが、基軸になるものが違う。ゲームデザイナーはまず”Fun”がきて、IDerは”Learning”がくる。それを軸にして、展開するところや、目的指向であるところは共通。教育系ゲームを研究する我々は、Funではなく、Engagementを軸に考える。教育以外の分野のデザインについて触れるのはいつも勉強になる。
 最近感じるのは、自分はいわゆる教師、あるいは学校教育の関係の人たちよりも、エンジニアの方が発想が近いのだなということだ。教育系のカンファレンスに出るよりも、このセッションのような内容の方がよほど興味深い。また、自分は教えることは楽しいと思うが、すごく楽しいかというとそれほどでなくて、教えるよりも、ものごとの効率をよくしたり、効果を高める仕組みを作る方が断然楽しい。
 教師とエンジニアといえば、同じ研究科にいても、教師あがりの人は細かい要件定義とか、詳細な仕事のつめが得意でない人が多く、オンライン教材開発などをチームでやる場合は情報系や工学系のバックグラウンドがある人への依存度が高くなりがちだ。テクノロジーを利用した教育が普及してきた今日において、インストラクショナルデザイナーたるもの、自分がエンジニアやプログラマーをやる必要はなくても、エンジニアやプログラマたちに自分たちのやろうとしていることを伝えられるだけのコミュニケーション力はつけておく必要があると思う。そうでないと、専門家としての市場価値はずいぶん下がってしまう。Face-to-Faceの研修のみ対応、というのでは守備範囲が狭まってしまうからだ。何を売りにするかは人それぞれでいいのだが、傾向としては、テクノロジーがらみのことを強みにしている人の方が有利なのは間違いない。

4/18(日) ネットゲーム

 追い込み期に疲れて現実逃避モードになるのはしょっちゅうなのだが、毎回逃避する先は違う。今日はふと、ネットゲームをやってみようと思い立ち、前に登録したインフォシークゲームをのぞいて見た。ゲームをやる時には当然ユーザ認証があるのだが、ユーザー種別が3種類もあって、どれで登録したんだか覚えてない。しかも楽天IDに関連付け済とか言われて、楽天のサイトにとばされた。前の登録確認メールを探し回ったり、パスワード再発行したりして、ようやくログインできた。ログインしたと思ったら、実に閑散としていて、閑古鳥状態だった。まあ、日本時間は月曜の早朝だからこんなもんかと思って、ちょっとオセロで遊んで退散した。
 ふとハンゲームというのもあったな、と思い出してWebサイトをのぞいて見た。するとこっちは2万人だかのユーザーが遊んでいて、にぎやかなものだった。オセロも200人以上が遊んでいる。マージャン、パチンコなんてのは2000人以上。おい、月曜の朝からなんでこんなに遊んでいるんだ、この人たちは何者だといぶかしく思いながらも、とりあえずユーザー登録してみた。これは簡単。住所とかなんとか余計な情報を取らないので、すぐに登録できて遊べるのがいい。とりあえずまたオセロ。っていうかルールを知らんゲームが多く、知っててもちょっと遊ぶには時間がかかりそうか、いまいち興味がないものがほとんどで、消去法でオセロ。自信があったのに、詰めが甘くあえなく負け。弱っ。パチンコもやってみたら、素人目には、最近のデジタル化されたパチンコ屋のをやっているのと変わらない。金もかけてないのに2000人も遊んでいるというのだから、これはたいしたものだ。
 様子としては、チャットしながらやってる人たちもたまにいるけれど、基本的にはゲーセンで見知らぬ人が会話も交わさずただ対戦しているのと同じ感じ。自分もあまり話しかけられても難だなーと思いながら黙々とゲームしただけ。対戦成績700勝300敗みたいな人たちがたくさんいたが、この人たちはどこのゲーセンにもいた名人級の人々なのだろう。ネットだと場所に左右されずに強い人同士で切磋琢磨してたりするのだろうか。その境地まで達してないのでよくわからん。
 楽天もハンゲームも友達が勤めているので、どちらに肩入れするわけでもないけれど、ユーザーの支持の差は明らかだった。たしか楽天はたいそうな金を払って、このサイトのネットゲーム会社を買収したんだったと思うが、このゲームサイトだけ見ると、あまり活用できてない様子だ。まあ、込み入った話は抜きにして、楽天もハンゲームもどっちもがんばれ。

体感系ゲーム

 日本でEyeToyってどれくらいはやってるのだろうか。ヨーロッパでバカ売れ、アメリカでもまずまずらしいのだが、日本ではどんな様子なんだろう。ふとPSのサイトを見たら、後続ソフトがいくつか出るらしい。MLB2004がEyeToyカメラ対応っていうのは面白そう。EyeToyカメラのゲームは、これからいろいろ拡がりが出てきそうでよい。あと、カラオケレボリューションとか、しばいみちとか、素でやるのはちょっと恥ずかしそうだけど、みんなでやると楽しそうなゲームって、どういう風に遊ばれているのだろうか。そういえば、先月のゲーム開発者カンファレンスで、カラオケレボリューションの洋楽版みたいなのが出展されていて、来場者が遊んでいたが、一人でA-HAのTake On Meを熱唱しているGeekもいたが、興味があるけどちょっと自分でやるには恥ずかしくて遠慮している人たちが多かった。大学院のテクノロジーのクラスでEyeToyのデモをやった時も、みんなに遠慮された。でも後で台湾人のクラスメートが購入したと言っていた。なんだ、やっぱりやりたかったんじゃんか。
 この手の体感ゲームは、古くはモグラたたきから、脈々と進化し続けている。そして技術が高度になるにつれて、娯楽用ゲームと訓練用シミュレータのようなものとの境界がなくなってきつつある。市販のゲームレベルの機能でも十分に、基礎訓練に有効な職種はいろいろあると思う。フライトシミュレータがパイロットの訓練に有効だという例はよく知られているが、それ以外にも今後出てくるだろう。面白い市場だと思うので、参入者がどんどん現れてくることを期待している。

4/15(木) ポスターセッション

 午後、Dr. Peckからメールが入った。彼は日本語関連のAssistantをINSYSの教授が探しているという情報をくれたのだが、彼の記憶違いで、誰が探しているのかがわからない状態だった。何気なく、「Minitabのインターンの仕事のオファーがあったが、そのことか?」と聞いてみたら、その返事で「それそれ。その仕事、秋からAssistantshipのポジションになるかもしれないからそのつもりで」ということだった。こちらはそんなことも知らずに電話インタビューを受けていた。面倒だから断ろうかなんてことも一瞬頭をよぎったが、そんなことをしていたら、Assistantの話はおじゃんになっているところだった。物事は前向きに捉えて判断するものだとつくづく思った。
 夕方、毎学期恒例の研究科のポスターセッションがあった。今回も出展はパスで見学のみにした。みんなあれこれ自分の研究成果や構想を紹介している。ビジネス学部の教授で、INSYSの授業で一緒だったGusも発表していた。彼は4年間で100万ドルのグラントを獲得し、研究プロジェクトを進めているところだ。イタリア系の気のいいおやじで、結構仲良くしてもらっている。機能入手したVirtual Leaderの話をすると、自分のプロジェクトでリーダーシップ教育もやっているぞ、それを使って研究するなら、おれのコースの学生を被験者に使っていいぞ、と申し出てくれた。彼のコースは大学1年の必修なので、これで十分な被験者確保ができたも同然。これはとてもありがたいオファーだ。今日はいい話続きだったのだが、帰宅時に、上着をどこかへ忘れていることに気づいて、探し回ったが見つからなかった。暖かくなったせいもあるが、自分が考え事に気が行き過ぎて、ぼんやりしている証でもある。
 夕食後、くたびれて仮眠の後、サーバーの引越し作業に着手。Blog書きに利用しているMovable Typeの移行作業。これがエラーのためなかなか作業が進まない。明け方近くまでやってもらちが明かず、落胆のうちにくたびれて就寝。

4/14(水) Phone Interview

 今朝は9時過ぎに起床。11時にインターンの採用インタビューの電話が入る予定なのでその前に予習。Minitabは統計ソフトの大手で、State Collegeに本部がある。日本語版のリリースに伴う準備で日本人のインターンが必要だということで、INSYSの教授経由で話が回ってきた。そんなに強く興味があるわけではないが、いい機会ではあるので応募した。インタビューは、選考というよりも、相手は雇う気満々で、よほどこちらがへぼでない限り雇うつもりなのが伝わってきた。採用されれば、日本から戻ってきてすぐに仕事が始まることになる。楽しい経験ができるとよいが。
 夕方、いつもの日本語家庭教師をやって、ジムへ。筋トレとマシンランニングの後、プールで水泳。今日はサウナもジャグジーもやっていないので泳ぐしかない。まったく使えない。帰宅後は、翌日の授業でグループプロジェクトの発表があるので、資料の整理をし、課題の読書を進めた。

Favorite Music

毎学期、追い込みに入って疲れてくるとどうでもよいことをしたくなる。今日はMusic Matchで聞いている最近のPlay Listを紹介。ダウンロード販売で手に入らない曲ばかり。この内容で「それが入ってるならこれも聴け」とばかりに話に付き合える珍しい方はぜひコメントを。今まで完璧に音楽の趣味が合う人に出会ったことはありません。Greeから流れてきたりしないかな。さて、勉強に戻るか。。
パワーバラード系
1. “Nothern Lights” by TNT
2. “Wander” by Kamelot
3. “Headed for a Heartbreak” by Winger
4. “Love Leads The Way” by Hardline
5. “Rain Song” by Fair Warning
6. “Standing Alone” by Tyketto
7. “She’s Gone” by Steelheart
8. “Bleeding Heart” by Angra
9. “When Love And Hate Collide” by Def Leppard
10. “Just Take My Heart” by Mr. Big
11. “Going Home” by Artention
12. “One Life One Soul” by GOTTHARD
ミッドテンポ(~パワーバラード)系
1. “Hunting High And Low” by Stratovarius
2. “Forever Young” by Tyketto
3. “Battle for Your Heart” by Grand Illusion
4. “Burning Heart” by Fair Warining
5. “Breakaway” by Equinox
6. “Rain” by TNT
7. “Signs of Danger” by Pink Cream 69
8. “Illusions” by Letter X
9. “Another Day” by Dream Theater
10. “The Key” by Artension
11. “Gutter Ballet” by Savatage
12. “After The Love Has Gone” by TEN
スピード系
1. “Center of the Universe” by Kamelot
2. “Nova Era” by Angra
3. “San Sebastian” by Sonata Arctica
4. “Under a Glass Moon” by Dream Theater
5. “Eagle Fly Free” by Helloween
6. “Lust For Life” by Gamma Ray
7. “Emerald Sword” by Rhapsody
8. “Into the Blue” by Artension
9. “The Killing Hand” by Dream Theater
10. “Journey Through the Dark” by Blind Guardian
11. “Destiny Calls” by Nocturnal Rites
12. “Out of the Ashes” by Symphony X

ゲーム脳と熟練脳

 前にゲーム脳騒動について書いたが、先月のゲーム開発者カンファレンスで、日本人がこの問題について紹介したらしく、研究者のメーリングリストでも話題になった。かいつまんでどういう研究なのかを紹介したところ、大いに反応があって、今も議論が続いている。ゲーム脳の兆候として、何も考えずに反射だけで操作できる状態で長時間ゲームすることで、ベータ波の低下が生じる、ということが問題視されている、という点を説明したところ、「何も考えずに反応できる」というのは、重要なスキルなのではないか、という指摘があった。車の運転であれ、判断業務であれ、どんなスキルにおいても、適切に即時判断ができるようになることが熟達するということであり、むしろポジティブに捉えるべきことではないかということである。確かにその通りで、熟達者の脳がどんな状態になっているかを調べれば、ゲーム脳は危ないというだけではない結論につながる可能性がある。
 認知科学の分野では、Automaticity(自動性)という概念があって、これは熟練した状態になると、脳のプロセス処理が自動化されて短縮されるというものである。必要十分な学習ができるとこの状態に達するのだが、いったんこの状態に達すると、これ以上の学習は起こらない。ゲーム脳が脳によくないのだとすれば、学習のない状態で長時間脳を放置することにあるのであって、単純なパズルゲームやシューティングゲームなんかだとそれが起こりやすい、ということなのだろう。それなら、ゲームそのものに問題があるというよりは、長時間やらせてしまう家庭環境に問題があるのであって、親や教師が恥ずべき問題である。ゲーム脳の研究は、研究者のゲームに対する偏見から始まっているようなので、そうした問題には余り目が行ってない。誰か対抗して、類似の研究をポジティブな観点からやろうという研究者は現れないだろうか。ゲーム世代の脳生理学者、医学者たちに期待。