日本教育工学会全国大会での発表予定など

 8月末~9月にかけて講演や研究発表をいくつか予定していますのでお知らせします。
まず、次の二つについては、シリアスゲームジャパンの方に詳細お知らせしてますのでご参照ください。
http://seriousgames.jp/
8月30日:wellbeing研究会「ゲームを実生活で活かす~シリアスゲームの健康福祉分野での応用~」セミナー@仙台フィンランド健康福祉センター
9月21日:TGSフォーラム2012ゲーミフィケーションセッション@幕張メッセ
9月はもう一つ大きなイベントとして、9月15~17日に長崎大学で開催される日本教育工学会(JSET)全国大会で、研究発表とワークショップを行います。
 一つ目は、大会最終日の9月17日(月)13:15-15:45「課題研究9:ゲーム・シミュレーションを利用した教育・学習支援」のセッションで、昨年に引き続いてゲームの教育利用研究に関する調査結果の報告です。今回は効果測定や評価方法について焦点を当てて調査しました。
K9-教21-01 ゲームを利用した学習の効果とその評価方法に関する検討
◎藤本 徹 [東京大学], 山田 政寛 [金沢大学]
詳細:
http://www.jset.gr.jp/taikai28/program/program_session.php?tp=K

 二つ目は、発表時間は前後しますが、大会二日目の9月16日(日)12:30~14:00 のワークショップ枠で、「 次世代専門人材養成プログラムのデザイン」と題したワークショップを行います。こちらは直接ゲームの話ではないのですが、ゲームデザイン的な要素を盛り込んだ内容です。タイトルが硬すぎなのですが、頭に(楽しい)とか(お笑い)を付けるとちょうどよい具合のリラックスして参加できるセッションを企画しています。お昼の時間帯ですので、力を抜いて気軽にご参加ください。
WS5 次世代専門人材養成プログラムのデザイン
9月16日(日)12:30~14:00 会場:教育32
主催者:藤本徹(東京大学)
企画概要:この10年ほどの間に、知識社会における高度専門職業人の養成への期待の高まりに応えるべく、さまざまな領域の専門職大学院が設立された。しかし、当初の期待に十分応えられずに縮小、廃止されるなど、停滞や混乱に直面しているところも少なくない。 そこでは教育プログラム開発に必要な理論枠組や、デザインの知識が十分に活かされていないという問題も影響していると思われる。本ワークショップでは、SchankのStory-Centered Curriculumや、PerkinsのLearning by Wholeのデザイン枠組を用いて、専門職大学院等で提供される専門人材養成プログラムの機能や意味を検討し、 これからの専門人材養成プログラムのデザインやプログラムの提供価値を議論するセッションを行う。
詳細:
http://www.jset.gr.jp/taikai28/program/program_w.php#five

 もう一つ、大会初日9月15日(土)15:30-18:10の「ソーシャルメディア」セッションで、東京大学BEATで実施したSoclaプロジェクトの研究発表もあります。こちらは昨年度の活動についての報告です。
1p-全203-05 Facebookを利用したキャリア学習環境
○山内 祐平 [東京大学], 高橋 薫 [東京大学], 藤本 徹 [東京大学], 荒木 淳子 [産業能率大学], 大辻 雄介 [ベネッセコーポレーション], 鈴木 久 [ベネッセコーポレーション]
詳細:
http://www.jset.gr.jp/taikai28/program/program_session.php?tp=1a

それと最後に広報協力でお知らせですが、16日には毎年恒例のワカモノ飲み会が開催されます。
JSETに参加されるワカモノの方、ぜひご参加ください。
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今年もやってきた
Learning of Tomorrowな自称ワカモノタチの大宴会2012!!
日時:9月16日(日) 開場(受付開始)20:30 開始21:00(23:00終了)
場所:いざけ屋 昭和町通店
  長崎県長崎市花丘町1-24 2F(TEL:095-849-0427)
申し込み締め切り:8月31日(水)
申し込みサイト:http://labs.m-mode.net/wakamono/
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今年もこの季節がやってまいりました!!
例年100名以上の自称ワカモノがお集まり頂き、
大盛況の例のヤツを今年も企画しました!!
「Learning of Tomorrowな自称ワカモノの大宴会2012」
知り合いも増えれば学会もますます楽しくなるものです。
より楽しい、実りある学会にしましょう!!遠慮なくドシドシご参加ください!!
なお、このメールを皆さんのお近くの興味・関心のある方に
ご転送いただければ幸いです。
皆様にお会いできるのを楽しみにしております!
どうかよろしくお願い致します。
本企画についてのお問い合わせは,
(jsetwakamono gmail.com)までお願い致します.

■日時
9月16日(日) 開場(受付開始)20:30 開始21:00(23:00終了)
■場所
場所
いざけ屋 昭和町通店 長崎県長崎市花丘町1-24 2F(TEL:095-849-0427)
地図(http://www.hotpepper.jp/strJ000577002/map/
■会費
社会人 4000円 学生 2500円
■ウェブサイト
http://labs.m-mode.net/wakamono/
■申し込み方法
ウェブサイト下「ENTER お申し込みフォームはこちら」からお申し込みください
■参加資格
自称ワカモノ!であればOKです。
教育工学会がはじめてで知り合いがいない、という方もご参加下さいませ。
知り合いがぐんと増えますよ!
なお、ワカモノの大宴会は有志のボランティアによって運営されています。
不手際などあるかと思いますが、ご理解いただければ幸いです。
■情報発信中!!
Facebook
https://www.facebook.com/JSETwakamono
Mixi Learning of Tomorrow コミュニティー
http://mixi.jp/view_community.pl?id=2668705
■幹事団(以下、敬称略/順不同)
代表
池尻良平(東京大)
副代表
大山牧子(京都大)
会計・総務・当日受付
遠海友紀(関西大),伏木田稚子(東京大),瀬戸崎典夫(早稲田大)
会場・誘導
井ノ上憲司(熊本大),渡邊文枝(早稲田大)木村充(東京大),森裕生(早稲田大),重田勝介(東京大)
Web管理
渡辺雄貴(首都大),福山佑樹(早稲田大)
広報
堀田龍也(玉川大),山本雅之(ジャストシステム),森田裕介(早稲田大),岩崎千晶(関西大),藤原康宏(兵庫医科大学),山口悦司(神戸大),西森年寿(大阪大),今井亜湖(岐阜大),中原淳(東京大),村上正行(京都外大),望月俊男(専修大),根本淳子(熊本大),舟生日出男(創価大学),林敏浩(香川大),谷塚光典(信州大),亀井美穂子(椙山女学園大),尾澤重知(早稲田大),寺嶋浩介(長崎大),稲垣忠(東北学院大),光原弘幸(徳島大),松浦健二(徳島大),深見俊崇(島根大),小尻智子(関西大),八重樫文(立命館大),中澤明子(東京大),歌代崇史(北海学園大),林一雅(東京大),高木正則(岩手県立大),御園真史(島根大),藤本徹(東京大),椿本弥生(公立はこだて未来大),益川弘如(静岡大),松河秀哉(大阪大),山田政寛(金沢大),藤川大祐(千葉大),上
西秀和(獨協医科大)

PCカンファレンス2012参加予定

 プロジェクトや研究発表の準備が立てこんでいない時期がない感じで推移していますが、気が付いたら前回の更新からもう2か月余りが過ぎていました。お知らせしたいことがたまっていますが、ひとまずは明日から開催の、PCカンファレンス2012での藤本出没予定をお知らせしたいと思います。
 まず、8月4日~6日に京都大学で開催されるコンピュータ利用教育学会(CIEC)のPCカンファレンス2012で大会初日(8/4)のシンポジウム「教育イノベーションとしてのゲーム:新しい教育哲学から実践までを考える」にパネリストとして登壇します。学会長の妹尾堅一郎先生をモデレータに、慶應義塾大学の武山政直先生、立命館大学のサイトウアキヒロ先生、バンダイナムコゲームスの一木裕佳さんとともに最近の教育分野におけるゲームやゲーミフィケーションの話題でディスカッションします。
 続いて、シンポジウムの後に開催される自主企画ワークショップの枠で、「モバイルゲーム型学習ソフトを利用した授業体験と利用方法検討ワークショップ」と題したセッションを行います。こちらは、ベネッセコーポレーションさんのご協力で、実際に中学英語の授業で実践されている先生にベネッセの「得点力学習DS」を用いた模擬授業を行っていただいて、参加者の皆さんとともに自身の教育現場での利用方法や利用の際に課題になる点を議論するという内容です。
 最後に、大会3日目の午前の分科会発表枠で、熊本大学の北村史朗先生の共同発表者として、「知財人財育成のための講師養成手法の開発と実践」と題した発表を行います。こちらは昨年度からサブで入らせていただいている、日本弁理士会アカデミーの「授業法」講座のこれまでの実践事例についての発表です。
以下、各セッションの概要です。これから京都に向けて出発します。
では、PCカンファレンスに参加される皆さま、現地でお会いしましょう。

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39歳になりました

 今日が誕生日でした。体組成計に乗ったら39歳に表示が変わってました。Facebookなどでたくさんのメッセージをいただき、ありがとうございました。
 なんだか、自分が若い頃には、30代後半やそれより上の人たちに対して、無意識に精神的な距離を感じるものでした。自分がそう感じたことを振り返れば、若い子たちから自分がそういう風な距離感を持たれていても不思議はなくて、そういうものなのだろうと思います。まだわかりませんが、多分40代でも50代になっても同じようなものなのでしょう。自分の気は変わらなくても相対的に歳だけ取っていく感じ。それと僕の世代くらいまでな気もしますが、なぜか40歳前後になると、バカボンのパパを基準に歳の取り具合を感じる人も多いと思います。僕もあと2年でバカボンのパパに追いつくのか、と思うと何とも言えない気になる反面、歳を取ること自体は大して悪い気はしないです。毎年書いてる気がしますが、若い時分には人生生き辛く感じたものですが、そういうところは年々軽くなっていくのを感じます。若くて生きる毎日もいろいろと嫌なことや面倒くさいことが伴うものだし、若さを手放しで羨ましく思う気持ちはあまりありません。
 あと、最近思うのですが、ゲームをしている自分の様子を振り返ると、自分の性格や生き方の傾向がよく見えてきます。積極的に勝ちに行かないし一番を取りにいかない。負けないゲームは組めても、いざ勝とうとしても勝つゲームが組み立てられない。利己的に勝ちに行っても勝てない一方で、余計な計算を捨てて目の前のことを必死でやると道が開けたりとか、自由度の高いゲームだと、変なスキル上げとか余計なクエストばかりやってレベルがなかなか上がらないとか。ゲームの仕方に自分の生き方が投影されているのだなと思います。なので、政治家が碁をやったり経営者がゴルフをしたりするのは、そのゲームの前後の飯の時間や交流も含めて、人を見るということでは理にかなっているのだなと思う次第です。今思えば、子どものゲームの仕方にもその子の気質が出ていたと思うので、子どもの様子を見れば、案外その子の将来を考える材料になるかもしれません。
 仕事については、新年のおみくじに「一心に自分の仕事大事と励みなさい」と書いてあったので、それを実践しています。自分が大事だと思う仕事を、大事な仲間と一緒に仕事できる環境で仕事に没頭できるのはありがたいことです。これで怠けるのは罰当たりな気がしますので、力いっぱい仕事に励みたいと思います。40歳を迎えるまでもその次の10年も、存分に仕事できたらそれで十分に幸せだろうと思います。
 というようなことを考えつつ、また一年後にはどういう心持で何を考えているのか楽しみにしつつ、この一年を過ごしたいと思います。

近々の登壇・出演予定

 目の前の仕事を片付けていると一週間が過ぎていく日々を送っていて、日頃の行動ルーチンから外れることへのパフォーマンスの著しい低下を感じる昨今であります。お知らせしたいことがたまってきていたのですが、他の方がFBやツイッターで告知していただいているのをシェアするだけになってしまっているという拙い状況になってますので、近々参加する下記のイベント3件についてご紹介します。
 いずれのセッションも、お声掛けいただけるのは光栄で、参加できるのをとても楽しみにしています。すでにシリアスゲームもゲーミフィケーションも、海外での事例を一人では追い切れないくらいに拡大しているため、このような機会を活かしてキャッチアップするということも必要です。なにより、自分が選んだ分野のことを吸収できる機会というのは楽しいものです。
 それと楽しみな反面、マーケティング系セミナーなどのように、自分の専門ではない分野でもお鉢が回ってくる状況はあまりよくないなと常々思うところがあって、そろそろ僕が出張らずに済むようになってほしいなと思いつつ、なかなかそういう流れになっていない感があります。「私はゲームは専門ではないんですが、、」という枕を付けつつ、ゲームについて語れる研究者の方はそれなりにいらっしゃいますが、「私の専門はゲーム研究です」と正面切って言える研究者は相変わらず国内ではどの分野にも希少です。海外で起きているように、ゲーム研究で学位をとったり、いい研究をして社会で評価される若手研究者が次々に出てきて、この辺の仕事を請けてもらえるような状況に早くなればよいなと思いつつ、今はひたすら自分の立場でやるべき仕事に励む毎日です。
 ということで、下記のようなところで登場しますので、ご関心のある方はどうぞご参加ください。
—-
1. シリアスゲームに関するUstream報告会(5月29日)
 日程順でまず、5月29日の18時30分より、IGDA日本の小野代表とともに、Ustreamでシリアスゲームの欧州事情に関するトークライブを行います。
フランス・リール地方におけるゲーム関連企業・CGプロダクション・教育機関などの視察ツアーについてのご報告を小野さんから話題提供していただき、欧州のシリアスゲーム・ゲーミフィケーション最新事情についてディスカッションする予定です。
シリアスゲームの国際カンファレンス「e-virtuoses」
http://www.e-virtuoses.net/uk/home.html
に参加されるとのことで、カンファレンスの模様などを伺って、日米欧のこの分野の違いのようなところなどお話ししたいと思います。
開催概要:
「シリアスゲームの国際カンファレンス「e-virtuoses」Ustream報告会」
日時:
2012年5月29日(火) 18:30-20:00(予定)
Ustreamアドレス:
http://www.ustream.tv/channel/igda-test-1110
(予定)
出演:
小野憲史(IGDA日本) 藤本徹(東京大学)
主催:
国際ゲーム開発者協会(IGDA)日本
CLG(Community for Learning and Games)研究会
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2. 日経BP社主催「ゼロから学ぶゲーミフィケーション最新活用セミナー」(5月30日)
上記のセッションの翌日の5月30日は、日経BP社主催の「マーケティング最前線 ゼロから学ぶゲーミフィケーション最新活用セミナー」で、「概論・ゲーミフィケーションの姿をこうつかめ」と題して講演します。ゲーミフィケーションの国内事例などの面白そうなセッションが続いてますので、その前座でタイトルの通りに概論めいた話をしてきます。

セミナー開催概要:
「最前線 ゼロから学ぶゲーミフィケーション最新活用セミナー」
日時:2012年5月30日(水) 13:00~17:20
会場:JA共済ビル カンファレンスホール (東京・永田町)
主催:日経BP社
協力:IGDA日本(SIG-ARG)
受講料:19800円(税込)
セミナーの詳細・参加申込は、下記セミナー案内サイトをご参照ください。
http://expo.nikkeibp.co.jp/gamifi/

近況と「シリアスゲーム論」開講に向けたお知らせ

 新年度に入り、研究プロジェクトや授業の仕込みなどを進めています。ようやく昨年度の成果報告をしたと思ったら、息つく間もなく次の仕込みをしないといけない状況で、慌ただしく現職2年目に突入しました。
 今年の担当授業は、慶應SFCの非常勤から外れたので、前期の授業は東京工芸大ゲーム学科「シリアスゲーム論」のひとコマです。それともう一つ昨年の状況と大きく違うのは、翻訳案件を抱えていない分ずいぶん気が楽です(翻訳の仕事は本当にしんどいです)。
 これで少しは余裕をもって研究の時間に使えるかなと思いきや、本務のBEATのプロジェクト以外に、どれか通ればよいやと思って出していた3本応募していた外部資金の研究計画が3本とも採択をいただいてしまい、新規の研究プロジェクトとして実施することとなりました(うち2本は2年計画なのでまだ何とかなりますが、ちょうど適量の仕事が来ることはなかなかありません)。
 これだけでも授業が減った分の空きの分はとっくにあふれているわけですが、昨今のゲーミフィケーションへの関心の高まりとともに、セミナー講師のご依頼や個別のご相談などをいただくことが増えていて、ありがたくも悩ましい状況になっています(お断りせざるを得ないことが多いので胃が痛みます)。
 というところが近況で、ここから少し今年度の東京工芸大「シリアスゲーム論」に関するお知らせです。
今年度の「シリアスゲーム論」は月曜5限(16:40-18:10)で、来週4月16日より開講です。今年も聴講を(こっそり)オープンに受け入れてますので、ご希望の方はご一報ください(厚木キャンパスなので都心からはちょっと遠いです。ちなみに今年度までは厚木キャンパスで来年度からは中野キャンパスでの開講科目になるとのこと。)。
 授業内容の詳細はまたお知らせしたいと思いますが、ただいま昨年度より導入した「クエスト型授業」のバージョンアップの仕込みを進めています。この授業のねらいとして、次のように設定しています。
・ 従来のエンターテインメントにとどまらない社会的目的で開発・利用されるデジタルゲーム「シリアスゲーム」に関心を持ち、関連する知識をより深く学ぶ
・ シリアスゲームに自らの見識を持ち、将来クリエイターとしての自身の仕事に役に立つ知識を身につける
・ ゲームと社会のつながりへの関心を高め、社会のためになるゲームの開発を実際に経験する
 これらの学習機会をより楽しく、より密度の濃い形で提供するために、授業全体をゲームデザインの手法を取り入れた「クエスト型授業」として構成しているわけですが、その「クエスト」の工夫がこの授業の肝になっています。単にゲームっぽい世界観で呼び方を変えるだけでは学生はシラケるだけですし、見た目のゲームっぽさよりも、いかに意味あるチャレンジを提供できるかの方が重要だろうと考えています。
 昨年は、「意味あるチャレンジ」として実際に世の中で提供されているシリアスゲームやゲーム型の学習コンテンツの事例をターゲットにして、勝手に改善案を考えて提案するという課題を設定しました。対象の一つは、「自衛隊」のウェブサイトのキッズコーナーのゲームコンテンツで、学生たちからはなかなか鋭い指摘があったり、学生に対して関係者の方に丁寧なフィードバックをいただいたりして、とてもよい学習機会が生まれました。
 今年もさらにこうした実際に稼働しているゲームコンテンツや現実の社会問題を題材にしたゲーム企画を行っていきます。勝手にやるよりも、実際に想定できるクライアントがいる方がチャレンジも興奮度が増しますので、もし「うちのサイトで提供しているウェブサイトのゲームコンテンツを料理してほしい」とか「このテーマでシリアスゲームの企画を学生たちに考えてほしい」といった具体的なニーズをお持ちの方がいらっしゃっいましたら、可能な限りご協力できる形でクエスト化したいと考えております。(すでにとある電子書籍化予定タイトルや教材のゲーム化など、いくつか大ボス級のお題をいただいており、クエストとして仕立てているところです。)
 ご興味ある方は、tfuji (at) anotherway.jp まで気軽にお問い合わせください。
 以上、近況とお知らせでした。

CIEC北海道支部にて講演(3月30日)

 ここ3週ほど京都~福岡~高松と、週末の発表や講演が続いてましたが、今週は一息ついて家事を片付けたりしてます。
 来週24日は、先週お知らせしたBEATセミナーの開催が控えてます。翌週の30日はCIECの北海道支部の研究会にお招きいただいて下記のセッションを行います。
今回が人生初めての北海道訪問なので、楽しみにしています。お近くの皆さまどうぞお越しください。

CIEC 北海道支部 第5回研究会のご案内
「学校はゲームから何を学べるか」
■テーマ: 学校はゲームから何を学べるか
■日 時: 2012年3月30日(金) 15:00-16:30
■会 場: 北海道クリスチャンセンター
札幌市北7条西6丁目
http://www.h3.dion.ne.jp/~hcc/
◆プログラム
14:30 受付開始
15:00-16:00
[講演]
 学校はゲームから何を学べるか
   東京大学大学院情報学環特任助教  藤本 徹 氏
(概要)近年のゲームへの社会的な関心の高まりは教育分野にも広がっており、
ゲームを取り入れたさまざまな教育関連製品やサービスが生まれています。これ
までにも教育現場でのゲーム利用は取り組まれてきましたが、現在起きている現
象は以前と何が異なるのでしょうか。国内外の事例を通して、ゲームと学びの関
係を整理しながら、ゲーム有害論とは異なる視座からゲームについて考えるため
の話題を提供します。
16:00-16:30 参加者全員で意見交換
◆参加費:CIEC 会員は無料 (当日会場での入会申し込みにも適用されます)、
     その他の方は500円 (どなたでもご参加いただけます)
◆お申込:CIEC 事務局
e-mail : sanka@ciec.or.jp  TEL/FAX : 03-5307-1195 / 03-5307-1180

本日のゲーミフィケーションUstイベントのお知らせなど

 ぼやぼやしていたら当日になってしまいましたが、本日1月25日19時より「ゲーミフィケーションパーティナイ」(ナイで止めてるのはワザとだそうですが)というUstイベントに出演します。

ゲーミフィケーションに関わる本の著者が一同に会す夜
ゲーミフィケーション・パーティナイ(Gamification Party Night)
http://www.s-dogs.jp/dgame/Event/radio01.html
主宰:Gamification Party Night実行委員会
日時:1月25日(水) 19:00~21:30
放送内容:
19:00~ オープニング・トーク
19:30~ プレゼンテーション「ゲーミフィケーションとは何か?」(井上明人)
20:00~ ディスカッション「ゲーミフィケーションを語りつくす!!」(藤本徹/井上明人/松井悠)
20:45~ ディベート「ゲスト vs Ustream視聴者」
21:20~ クロージング・トーク
ハッシュタグ:
#ゲーミフィケーション
Ustream中継:
http://p.tl/OcHT

 なお、時を同じくして、明日のクローズアップ現代でゲーミフィケーションが取り上げられるそうです。メディア批評家の濱野智史さんがコメンテーターとして出演されるそうです。
NHK「クローズアップ現代」(19時30分~19時56分):ゲームが未来を救う!?~広がるゲーミフィケーション~
http://cgi4.nhk.or.jp/gendai/yotei/index.cgi
 なお、濱野さんは先日朝日新聞で拙訳書の「幸せな未来は「ゲーム」が創る」の書評を書いていただいて、マクゴニガルの提示しているゲームを用いた社会変革のアプローチの意味をとても的確に論じていただいてます。出演後そのままこちらのUstの方に駆けつけてくれるそうなので楽しみです。
 先週のNHK「爆問学問」のシリアスゲームの回もありましたし、ゲーミフィケーションが業界向けだけでなく、一般メディアで取り上げられることが増えてきました。そんな中で「ゲーミフィケーション」という直球タイトルの著作を上梓される井上明人さんが語り、クローズアップ現代の放送も話題にしつつ、ゲーミフィケーションのあり方を語ろうというイベントに呼んでいただいたので、井上さんの応援ついでに参加してきます。
 ・・・と、そんなわけで、先週よりイベントの告知を始めていただいているのですが、思わぬ方からコメントをいただきました。
きょうの蜘蛛の糸メソッド(やまもといちろうBLOG)
http://kirik.tea-nifty.com/diary/2012/01/post-dca5.html
 山本一郎さんのブログの長年のファンとして、拙著を誉めていただいたのはとても嬉しい限りなのですが、芥川の「蜘蛛の糸」の話になぞらえて苦言を呈されたところは、せっかく気に留めていただいたのにそういう印象を持たれてしまったのが残念でありました。
 このタイミングでこのイベントを入れるのは、井上さんの新著の出版プロモという位置づけ的には、やらない方が失策でしょうし、商業ベースに乗る際には多少売り文句的に出過ぎるところは避けられないでしょう。なので、今回は気になるところはあれ、こちらからの告知内容への注文は最低限にしました。でも、今回のような形で商業ベースに近いところでなんとなく露出すると、誤解を受けたくない人にまで誤解を招くんだなということを痛感します。
 なので大多数の人々にはどうでもよいことですが、おそらくこういうことを言及する機会もあまりないと思うので、ここでひっそり自分の立ち位置を説明しておきたいと思います。
 まず、そもそもなぜ僕がこういう場に駆り出されて話をするかというと、10年ほど前から米国を起点に広まった「シリアスゲーム」というゲーム産業を取り巻く新たな流れを日本に伝え、日本での状況を海外に伝えるという、つなぎ的な役回りをしばらく続けてきたことが、それなりに評価されているのだろうという理解をしています。
 拙著「シリアスゲーム」で、シリアスゲームという呼び方は過渡的なものであり、シリアスゲームの考え方や事例が普及すれば、わざわざシリアスゲームと呼ぶ必要はなくなるだろう、と述べました。その考えは今も変わっていなくて、シリアスゲームという呼び方自体が普及するかどうかは、基本的にはどうでもいいことで、ゲーミフィケーションの流れの中でシリアスゲーム的な「社会のためのゲーム」が息づいていくのであれば、それはそれでよいと思っています。
 海外で動いているシリアスゲームの流れと国内の状況はだいぶ異なるわけですが、ゲーミフィケーションがうまく流れに乗って広がってきたことで、ようやくここから新たな展開が見られそうだという期待が持てるようになってきました。
 セカンドライフブームの時は、何やら儲かりそうだとツバだけつけに来た人たちや、儲けたい人たちからうまく儲けようとする人たちですっかり埋め尽くされてしまい、実のある議論ができる人がいないうちに萎んでいってしまった感がありましたが、今回のゲーミフィケーションは語っている人たちの様子を見るとだいぶ印象が違います。
 ゲーミフィケーションがこれだけ注目を集めるようになると、あちこちでいろんな人がゲーミフィケーションについて語るようになります。僕も立場上、ゲーミフィケーションのあり方について論じてきましたが、シリアスゲームよりもゲーミフィケーションの方が概念的には広いので、教育研究者の立場では上手く語れない、語る興味のない領域もあります。深田さんが書かれた「ソーシャルゲームはなぜハマるのか」のようにマーケター向けのゲーミフィケーションの話は僕が書けるものでもないですし、書くべきものでもないと思います。国内でゲーミフィケーションがここまで注目されるに至ったのは、深田さんの功績によるところも大きいと思います。それに、ゲーミフィケーションを新しい社会システム構築の方法論というような位置づけで語るとすれば、鈴木謙介さんや濱野智史さんのような社会学系の論者の方たちに語ってもらう方が格段によい議論ができると思います。
 そして今回は、国内には数少ない生粋のゲーム研究者である井上明人さんが正面から「ゲーミフィケーション」を論じる著作を出して、学の立場でこの分野の専門家として前に踏み出すことになったわけで、とても喜ばしいことです。
 これからさらにこの分野でやっていこうという人が増えていけばと思いますが、僕自身は引き続き、ゲームの教育利用研究や社会的応用研究の領域からシリアスゲームの研究を続けていくつもりです。今までこの分野に本気で入ってくる研究者の層が超薄だったために、専門外の分野のことまでコメントを求められたり、わけのわからない依頼とかもまわってくることが多かったのですが、優秀な若手の人たちがそういうことを引き受けてうまくやってくれて、僕は自分の研究に集中できて、結果としてこの分野がさらに盛り上がっていけばよいなと願いつつ日々を送っています。
 やや取りとめない感じになりましたが、そんなところでしょうか。まあ、蜘蛛の糸にはみんなで仲良く、上手いことやってのぼってください、という感じです。
 そんなわけで、どんな風になるかわかりませんが、ご関心のある方はクローズアップ現代とともに、こちらのUstイベントもご覧いただければ幸いです。

2012年に向けて

 さて、引き続いて2012年の抱負を少し記しておきたいと思います。まず、方向性としては、数年先の何か大きなことに向かう準備をしている段階だという気がしています。お金がないからとか、時間がないからとか、任せる人がいないからとか、今はできない理由のせいにできたとしても、そんな制約がなくなった時に自分は本当に口だけでなくてできる人間なのか、今できなくてもすぐにできると言える気構えがあるか、勝負する時に力になってくれる仲間がどれほどいるか、そういう観点で見ると、自分には足りないところが多すぎる。たとえば、信頼できる人から、予算○億出すから君の構想を形にしてくれ、と言われたとして、OK、すぐやれますよ、と即答できて、実際にきちんと体制を組める研究者でありたいわけで、そのための力量的なベースを今年1年かけて作っていきたいと思います。
 具体的な活動としては、抱えているプロジェクトで確実に成果を出すこと。まずはそれに尽きるので、着実に進めたいと思います。Soclaの「ソーシャルメディアを利用した学習環境の研究」は、プロジェクト学習、基礎学習とも今年度の佳境に入っており、これをやりきること。特に基礎学習の方は、ソーシャルメディア×数学×ゲームで進めているアプリ開発が、プロトタイプの段階でどこまで前進できるかが勝負になっていて、これが最優先課題です。この1年で何らかの成果を出せるのは必須としても、後はどこまで質を上げられるかのチャレンジです。
 次に力を入れたいのが、昨年着手した「クエスト型授業」の研究です。2月の日本デジタルゲーム学会でこの題材で発表しますし、来年度の工芸大「シリアスゲーム論」では今年度実装できなかった要素や上手くいかなかったところを修正してバージョンアップを図ります。こちらも今年度後半には論文にできる程度の知見を確立したいと思います。
 ゲームの教育利用研究については、昨年1本解説論文的なものを書いてこれまでにやったところは総括したので、次はさらに各論のテーマを引き続き掘り下げて、次の論文を形にすることが今年の目標です。このテーマを追求する研究仲間が増えたことが大きく、このすそ野を拡げていきながら、コミュニティの基盤を強化していこうと思います。
 ところで、この正月休みは、ちょうど弟の家族が一緒に帰省していたので、3歳の甥っ子とゆっくり接する機会がありました。面白がって母のiPadで遊ばせたり、YouTubeで彼のお気に入りのゴーカイジャーの映像を見せたりして遊んでました。YouTubeにiPadを自在に操る3歳児の映像がいくつも出ていたりして話題になってますが、まさにそんな光景を目にしました。
 一緒に海岸を歩いていてカモメを見つけると、カモメの話をしながら「新幹線のカモメはこのカモメかー」と誰も言わなくても自分で気づける知性がすでに備わっているのでした。日々著しく認知的発達が進んでいる様子に、教育に関わるものとして感じ入らずにはいられませんでした。お子さんをお持ちの方々からすればとうに経験済みのことだと思いますが、僕はこの時期の子どもとこれほど接したのは初めてだったので、子どもの教育についてこれまでとは違った観点から多くのことを考えさせられました。
 この子たちが大人になる頃には人々を取り巻くメディア環境は随分変化しているだろうし、社会の仕組み自体も今からは想像のつかない形に変わっているかもしれない。そんな未来をこの子たちが生きていくためにに必要な学習機会や学習環境を私たちは提供できているか。できているとは言い難いし、現状追認的な研究や教育を維持しているのでは、いつまでたっても彼らが必要とする教育は提供できない。でもはたして、自分の研究も彼らやその次の世代が必要とする教育に向かっていると言い切れるか。そういうことを考えながら、今よりももっと次世代を見据えて、自分の研究の方向性を定めていきたいと考えました。
 初詣で引いたおみくじには「一心に自分の仕事大事とはげみなさい」とあったので、その気持ちでこの一年やってみたいと思います。どこまでいけるか楽しみになってきました。

2011年の振り返り

 新年明けましておめでとうございます。昨年中もとても多くの方にお世話になりました。心より御礼申し上げます。今年もどうぞよろしくお願いいたします。
 
 毎年年末に振り返り、年明けに指針について書いてきたのですが、今年は今一つ取りとめない感じで、業績整理しながら振り返りつつも書きかけのままに年を越してしまいました。まだ取りとめない感じですが、考えたことをいくつか記しておきたいと思います。
 今年の大きな変化は、東京大学に移ってきて研究環境が大いに好転したことでした。国内ではこれ以上望みようのない環境で仕事をさせてもらっているので、これで成果が出せないならどこに行っても出せない、今仕事せずにいつするか、という気持ちで、心のままに思う存分働くことができた充実の一年でした。
 その一方で、まだ移行期間の仕事が重なって無理や無駄が生じて上手くいかないところもありました。その辺りは自分の力量の足りなさが結果に表れていて、反省することも多かったです。仕事で出すべき成果のハードルがあがったので、その分仕事の選び方や進め方を相当に工夫しました。これまでの人生、押し並べて及第点レベルでかろうじて乗り切ってきたようなところがあって、球速130キロしか出ないピッチャーが投球術で乗り切るような感じで仕事してきたので、肝心なところでは球威不足で今いちだったり、勝負所でもう一つ踏ん張りが効かない、そういう自分の力量を考えさせられることの多い一年でした。
 今までも大したことなかったわけだし、まあ仕方ないよな、と思う反面、今の自分の立ち位置でこのまま仕方ないなとのん気に言ってるペースでやっていては自分の関わる研究分野の停滞につながるので、小手先の工夫では乗り切れない自分の力量的な課題は一つずつクリアしていく必要性を感じています。力量以上のことを自分に期待するときつくなるし、時々気が重くなることもあります。でも、人と違うことをやろうと志す限りは、このつらさは避けられないものと観念することにしました。
 他にもいろいろと思うところはありますが、振り返りで書くことはこれくらいにして、この後はこれからのことを考えてみます。