近況と「シリアスゲーム論」開講に向けたお知らせ

 新年度に入り、研究プロジェクトや授業の仕込みなどを進めています。ようやく昨年度の成果報告をしたと思ったら、息つく間もなく次の仕込みをしないといけない状況で、慌ただしく現職2年目に突入しました。
 今年の担当授業は、慶應SFCの非常勤から外れたので、前期の授業は東京工芸大ゲーム学科「シリアスゲーム論」のひとコマです。それともう一つ昨年の状況と大きく違うのは、翻訳案件を抱えていない分ずいぶん気が楽です(翻訳の仕事は本当にしんどいです)。
 これで少しは余裕をもって研究の時間に使えるかなと思いきや、本務のBEATのプロジェクト以外に、どれか通ればよいやと思って出していた3本応募していた外部資金の研究計画が3本とも採択をいただいてしまい、新規の研究プロジェクトとして実施することとなりました(うち2本は2年計画なのでまだ何とかなりますが、ちょうど適量の仕事が来ることはなかなかありません)。
 これだけでも授業が減った分の空きの分はとっくにあふれているわけですが、昨今のゲーミフィケーションへの関心の高まりとともに、セミナー講師のご依頼や個別のご相談などをいただくことが増えていて、ありがたくも悩ましい状況になっています(お断りせざるを得ないことが多いので胃が痛みます)。
 というところが近況で、ここから少し今年度の東京工芸大「シリアスゲーム論」に関するお知らせです。
今年度の「シリアスゲーム論」は月曜5限(16:40-18:10)で、来週4月16日より開講です。今年も聴講を(こっそり)オープンに受け入れてますので、ご希望の方はご一報ください(厚木キャンパスなので都心からはちょっと遠いです。ちなみに今年度までは厚木キャンパスで来年度からは中野キャンパスでの開講科目になるとのこと。)。
 授業内容の詳細はまたお知らせしたいと思いますが、ただいま昨年度より導入した「クエスト型授業」のバージョンアップの仕込みを進めています。この授業のねらいとして、次のように設定しています。
・ 従来のエンターテインメントにとどまらない社会的目的で開発・利用されるデジタルゲーム「シリアスゲーム」に関心を持ち、関連する知識をより深く学ぶ
・ シリアスゲームに自らの見識を持ち、将来クリエイターとしての自身の仕事に役に立つ知識を身につける
・ ゲームと社会のつながりへの関心を高め、社会のためになるゲームの開発を実際に経験する
 これらの学習機会をより楽しく、より密度の濃い形で提供するために、授業全体をゲームデザインの手法を取り入れた「クエスト型授業」として構成しているわけですが、その「クエスト」の工夫がこの授業の肝になっています。単にゲームっぽい世界観で呼び方を変えるだけでは学生はシラケるだけですし、見た目のゲームっぽさよりも、いかに意味あるチャレンジを提供できるかの方が重要だろうと考えています。
 昨年は、「意味あるチャレンジ」として実際に世の中で提供されているシリアスゲームやゲーム型の学習コンテンツの事例をターゲットにして、勝手に改善案を考えて提案するという課題を設定しました。対象の一つは、「自衛隊」のウェブサイトのキッズコーナーのゲームコンテンツで、学生たちからはなかなか鋭い指摘があったり、学生に対して関係者の方に丁寧なフィードバックをいただいたりして、とてもよい学習機会が生まれました。
 今年もさらにこうした実際に稼働しているゲームコンテンツや現実の社会問題を題材にしたゲーム企画を行っていきます。勝手にやるよりも、実際に想定できるクライアントがいる方がチャレンジも興奮度が増しますので、もし「うちのサイトで提供しているウェブサイトのゲームコンテンツを料理してほしい」とか「このテーマでシリアスゲームの企画を学生たちに考えてほしい」といった具体的なニーズをお持ちの方がいらっしゃっいましたら、可能な限りご協力できる形でクエスト化したいと考えております。(すでにとある電子書籍化予定タイトルや教材のゲーム化など、いくつか大ボス級のお題をいただいており、クエストとして仕立てているところです。)
 ご興味ある方は、tfuji (at) anotherway.jp まで気軽にお問い合わせください。
 以上、近況とお知らせでした。