プロジェクトや研究発表の準備が立てこんでいない時期がない感じで推移していますが、気が付いたら前回の更新からもう2か月余りが過ぎていました。お知らせしたいことがたまっていますが、ひとまずは明日から開催の、PCカンファレンス2012での藤本出没予定をお知らせしたいと思います。
まず、8月4日~6日に京都大学で開催されるコンピュータ利用教育学会(CIEC)のPCカンファレンス2012で大会初日(8/4)のシンポジウム「教育イノベーションとしてのゲーム:新しい教育哲学から実践までを考える」にパネリストとして登壇します。学会長の妹尾堅一郎先生をモデレータに、慶應義塾大学の武山政直先生、立命館大学のサイトウアキヒロ先生、バンダイナムコゲームスの一木裕佳さんとともに最近の教育分野におけるゲームやゲーミフィケーションの話題でディスカッションします。
続いて、シンポジウムの後に開催される自主企画ワークショップの枠で、「モバイルゲーム型学習ソフトを利用した授業体験と利用方法検討ワークショップ」と題したセッションを行います。こちらは、ベネッセコーポレーションさんのご協力で、実際に中学英語の授業で実践されている先生にベネッセの「得点力学習DS」を用いた模擬授業を行っていただいて、参加者の皆さんとともに自身の教育現場での利用方法や利用の際に課題になる点を議論するという内容です。
最後に、大会3日目の午前の分科会発表枠で、熊本大学の北村史朗先生の共同発表者として、「知財人財育成のための講師養成手法の開発と実践」と題した発表を行います。こちらは昨年度からサブで入らせていただいている、日本弁理士会アカデミーの「授業法」講座のこれまでの実践事例についての発表です。
以下、各セッションの概要です。これから京都に向けて出発します。
では、PCカンファレンスに参加される皆さま、現地でお会いしましょう。
—-
シンポジウム2 8月4日(土)15:45-18:00
教育イノベーションとしてのゲーム:新しい教育哲学から実践までを考える
従来から「ゲーム」は単に社会学的・民俗学的な議論のみならず,例えば経済学における「ゲーム理論」や経営学における「ビジネスゲーム」,あるいは幼児教育や初等教育における「学習ゲーム,教育ゲーム」等において,理論から実践まで多くの関心を集めてきていた。他方,最近ではデジタルゲーム,ネットワークゲーム,そしてソーシャルゲームといった若者を中心にしたゲームの生活化からゲーム産業の変容が加速している。また年配者のゲームセンターの社交場化等も話題だ。さらに,近時「シリアスゲーム」「ARG」「ゲームニクス」「ゲーミフィケーション」等が広く関心を呼ぶところとなってきている。
これらを俯瞰すると,単なる「教育手法としてのゲーム化」を超える,次世代の情報社会の諸相が見えてくる。すなわち,ゲームという概念が従来の「遊びの一形態」を超えて,大きく変容と多様化を加速し,情報社会のあり方まで変えつつあるのである。またゲーム化という行為が非現実空間における行為形成のみならず,大きくそれ自体が現実を動かすことに気づくであろう。リアルとバーチャル,リアリティとバーチャリティ,仕事と遊び,真面目と戯れ,知の学習と創出,模倣と創造,想像と行為…といった観点を持つとき,それは深く教育と情報社会のあり方に関わるものとなっていく。
つまり,「学びとメディア」の関係を考えるCIEC学会にとっては,教育哲学から教育実践に至るまでの問題と課題を投げかけてくる,避けては通れないテーマなのだ。
本シンポジウムは,この問題意識に基づき,ゲームと教育をテーマに理論と実践の両方に取り組む精鋭の研究者にご参集いただき,多様な議論を展開したいと考える。結論を出すシンポジウムではなく,具体的な事例を基にした多様な問題提起をしていくものとしたい。多くの方々の参加をお待ち申し上げる。
パネリスト
武山 政直 慶應義塾大学経済学部教授
藤本 徹 東京大学情報学環特任助教
サイトウアキヒロ 立命館大学映像学部教授
一木 裕佳 株式会社バンダイナムコゲームス 新規事業部ゼネラルマネージャー
モデレータ 妹尾 堅一郎 CIEC会長