2/4(金) 3Dプログラミング

 今週はゲームデザインの授業の課題に追われていた。C#で3Dのキャラクターを動かすという初歩的なものだが、プログラミング自体まだ不慣れなので、何をやるにもいちいち時間がかかって、毎日3時間以上コンピュータラボにこもって作業をしていた。先学期Javaでアプリケーションを作る課題をやっていた時はわからない状態がしばらく続くとうんざりして降参していたのに、この3Dの課題は難しくても夢中になってやっている。

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あるID留学生の一日

先日、岩手県立大の鈴木研で出しているIDマガジンへ寄稿した原稿をご紹介。

「あるID留学生の一日」
(岩手県立大学鈴木研究室IDマガジン第8号所収)
 8時半起床。キャンパス内のアパートに住んでいるので朝はいつもゆっくり目だが、週3回は朝からソフトウェア会社でインターンの仕事が入っている。コーヒーとドーナツを胃に流し込みつつ車を走らせ、キャンパスから10分ほどのところにあるオフィスへ。仕事内容は、同社主力製品である統計パッケージの日本語版開発のサポート業務。雑務も多いが、大学のアシスタントとして雇われているので、授業料免除とちょっとした月給がでる。自費留学だと年間300万円以上かかってしまうが、大学でアシスタント(リサーチアシスタントやティーチングアシスタントなど仕事内容はさまざま)の口を確保できれば、元手が乏しくても気合で何とかやっていくことはできる。

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12/2(木) Design Rational

 最近、地球の自転が早まっているんじゃないかとまじで思うくらい一週間経つのが早い。一時帰国まであと二週間となってしまった。先日講師を依頼された研究会は何やらけっこうな規模になりそうである。日本語でプレゼンなんて半年もやってないからな。せっかくのよい機会なので、しっかり準備しないと。
 オブジェクト指向デザインのクラスではDesign Rationalというのを学んだ。日本語でなんと訳されているのか知らないが、デザインの合理性とでも言おうか、要は何でそのデザインにしたのか理由付けをきちんとするためのフォーマットのようなものだ。教科書にも出てくるし、その前にも耳にしたことのある次のような有名なエピソードがある。

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11/18(木) Poster Session

 今日は朝から統計のテストだった。この授業の講師は理論統計学者で、授業も彼女自身はわかりやすくやってるつもりでも、統計好きの人間向けの授業の範囲を出ない。教え方もテストの出題の仕方も相性が合わない。テストは8割取れればよしという感じ。テスト勉強は時間をたっぷりとったところでどうせやる気が出なくて、ぐずぐずとブログを読んだりしているだけなので、最低限のおさらいができる時間以上は必要としない、というかそれ以上できない。今インターン先で提案している統計学習ゲームは、まさに私のような人間をターゲットとしている。構想だけは今のところ、ジャスパーシリーズ(教育工学の成功事例として有名な古典的な算数ビデオ教材)なみのヒット作となるような高品質教材となり、私はこれをもとに論文も多作でき、統計に苦手意識を持つ人も劇的に減る成果が期待されるものとなっている。そんな統計が苦手な人間にそんなソフトが作れるのか、という話もあるが、こちらはID者なので、理論上は心配ない。
 まあ、それはともかく、統計のテストは何とか乗り切った感じ。

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10/19(火) サミット二日目

 シリアスゲームサミット二日目。引き続き盛りだくさんなセッションが続いた。研究ネタとかアプローチの参考になる話が結構聴けた。最後にタウンミーティングと称して、反省会的なセッションがあった。全体へアナウンスする時間が設けられていたのでシリアスゲームジャパンよろしく、と全体にアナウンスしたら、日本市場に興味のある人々が何人か声をかけてきた。ジャパンコミュニティも少しずつ知名度が上がってきているので、少してこ入れが必要である。
 夕方、ルームメイトのBillや他の参加者数名と一緒にダウンタウンのカフェで夕食。シーフードパスタを食べつつ、今回のサミットの感想などを交換。ホテルに戻り、車で出発したのが9時前。最初に入る道を間違えて、DCエリアの環状線をぐるぐると回り、だいぶ時間をロスしてしまった。DCエリアを抜けると道はがらがらに空いていて、ひたすら平均70マイルで疾走。車も安定しているので安心して飛ばせる。11時過ぎ頃に一度給油休憩を入れて、コーヒーを飲み飲み走って、うちに着いたのは深夜2時過ぎ。おつかれさまでした。
当日の模様はBillの撮った写真がこちらにも

10/18(月) シリアスゲームサミット

 今日は朝から夕方までセッションが盛りだくさんだった(セッションの内容についてはあらためてシリアスゲームジャパンで)。500人以上の参加者が全米各地とヨーロッパから集まった。前回のサミットは独りでやや心細かったが、今回はルームメイトのBillと、CMUの伊是名さんがいたおかげで気分的にずいぶん違った。仲間がいるのはいいものである。パスをもらうのに並んでいたら、Education Arcadeで知り合ったEric Zimmerman(Rules of Playの著者)がいたので、声をかけたら覚えてくれていた。彼のセッションはかなり好きなので、今回見れなくて残念だと話したら「たまには何もしないで気楽に参加したいもんさ」と笑っていた。
10230063-2.JPG会場にて
 今回は基調講演が大会場で、後のセッションは4会場に分かれて行なわれた。セッションはどれも面白そうで、選択に迷った。最初に出たのは「資金確保と研究テーマ」ラウンドテーブルだったのだが、なぜかファシリテーターが来なくて会が始まらない。みんなが他の会場に移ろうとし始めた時、場内に居合わせた先ほどのEricがマイクを取り、会を仕切り始めた。会場には研究者、開発者、財団のオフィサーなどがいて、それぞれのもつ情報がシェアされた。みんないい情報を持っていたが、それも彼の仕切りがなければこの場でシェアされることはなかったのだ。参加者はみんなよくわかっていて、Ericを口々にほめ称えた。彼はこういう時にさらっと仕切りをやってのけて、それでいて誇ることなく嫌味がない。ますます気に入った。
 昼食をはさんで午後も中身の濃いセッションが続いた。6時から、America’s Armyのレセプションということで、どんなだろうと参加してみると、ゲームのデモがあちこちに並んでいる。学会のレセプションとは違って、フリードリンクで、食べ物も寿司とか振舞われている。さすが米陸軍は太っ腹である。この辺はこのゲーム開発費が教育訓練予算から出てるのでなく、マーケティング予算から出ているおかげなんじゃないかと思った。知り合いを紹介しあったり、ゲームデモを体験したりして楽しい時間が過ぎた。程よく楽しんだところで、伊是名さんとダウンタウンの日本食レストランSake Clubへ。伊是名さんの旦那さんのお勧めなのだが、やたら高級感のある店だった。値段もかなり高級感あふれていて、日本酒を頼む意欲を失った。日本ではブームの焼酎はおいてなかった。かなり満腹だったので刺身盛りをつまみながらワインを飲んだ。
10230051-2.JPGレセプション会場にてルームメイトのBillと

7/8(木) How Toビデオ

 今日はビデオ制作コースの課題の2分間How Toビデオ制作の提出日だった。今回はあまり手間をかけないようにと思い、こういうテーマでは日本人留学生定番の「折紙の折り方」。定番の鶴は案外手順が多くて2分で収まらないので、今回はもっと簡単なアヒルにした。企画から小道具の仕込み、編集までで所要時間はおよそ6時間ほど。最初にしては効率は悪くない。何より今回は、i-movieやWindows Movie Makerを使うと編集が手軽で、音やタイトル入れも簡単なのに感銘を受けた。
今回制作したビデオはこちら(7.3MB)

6/30(水) 研究プロジェクト

 昼過ぎまでインターンの仕事。夕方、Dr. Peckのプロジェクトコースの第1回ミーティング。このコースについては前にも何度か書いたが、教員がリーダーとして立ち上げたプロジェクトに院生が参加する形式のコースになっていて、ドクターコースでは12単位(通常4学期分)も必修になっている。自分のアドバイザーのプロジェクトに参加するのが通常だが、自分のアドバイザーと研究分野が合わない人などへの配慮で、他の教員のプロジェクトに参加してもよいことになっている。Dr. Peckのプロジェクトには6人の院生が参加する。教員だけアメリカ人で、あとは中国人と台湾人と韓国人と日本人のアジア多国籍プロジェクトである。
 プロジェクトのネタは3つあって、一つ目は先学期から続いている、ゲームを使った教育の学習効果を研究するプロジェクト。二つ目は近くの都市の低所得地域の小学校で、生徒一人ずつノートパソコンを使える環境(One to one computingというキーワードで学校教育情報化のコンセプトとして最近盛り上がりつつある)にして、学力向上を成功させた事例を研究するプロジェクト。そして三つ目はPenn Stateに本部があるアメリカ遠隔教育学会の研究プロジェクトに採用されるための研究計画を立てるプロジェクトである。いずれも研究資金の金額が大きめのプロジェクトになる見込みがあり、Dr. Peckのところにはこういう話が集まってくるようだ。
 うちのプログラムの教員は教育系の中でも金を集めてくる力のある人が多く、それぞれの持ち味でプロジェクトのスタイルも違ってくる。金を取ってくるところは自分でやって、かなり研究計画を固めた段階で仕事を院生に振る教員もいる。このタイプの教員の方が、タスクが明確で仕事しやすいと感じる院生もいるようだが、私は自分と関心の違う人が立てたプロジェクトは肌に合わないことが多いのでそういうところには参加しない傾向にある。
 かたや、Dr. Peckのようにアイデア出しのところから院生に関わらせる教員もいる。そういうスタイルだと自分の仕事としてプロジェクトを組み立てやすいので私にも参加しやすい。特にDr. Peckはプロジェクト資金の源流近くにいる人で、かつ研究関心も私と近いので、興味を持てるネタをふってくれることが多い。私はなぜかこういう親方系のボスに縁があるようだ。自分が程よく興味を持てる仕事にこと欠かないのでありがたいことである。

6/24(木) ソフトウェアローカライゼーション

 Minitab日本語版開発プロジェクトのミーティングに出席。ソフトの翻訳は外注でやっているのだが、細かい修正やマネジメントの意思決定はアメリカ人だけでやっている。今日は日本のコアユーザーから届いた試用後のフィードバックをどう扱うかという話だった。会社には日本語がわかるのは私ともう一人プログラマの日本人がいるだけで、他の人は読み書きも全くできない。なので、複数の改善要望の中でどれが重要で優先順位が高いかなど、判断はかなり困難である。しかしあと少しでリリースというところまでこの体制でたどり着いている。自分が知らない言語のソフトを作ることを考えると、翻訳自体は誰かがやってくれるにしても、面倒な仕事が多いのは容易に想像がつくので感心させられる。特にこのMinitabは、品質管理手法のシックスシグマに使うソフトなので、その品質が低いのではお話にならない。そのため品質管理部門でスタッフがチームになって綿密なテストをやっている。どのタイミングでテストを終えて次の段階に進むか、またどの作業を優先的に進めるかといったことはプロジェクトリーダーが判断を下す。ソフトウェア開発の現場自体、今まで見たことのなかった世界であるうえ、ソフトウェアのローカライゼーションの過程は全く未知の世界だった。こんな風にやってるのかぁといちいち感心することばかりである。