最近、地球の自転が早まっているんじゃないかとまじで思うくらい一週間経つのが早い。一時帰国まであと二週間となってしまった。先日講師を依頼された研究会は何やらけっこうな規模になりそうである。日本語でプレゼンなんて半年もやってないからな。せっかくのよい機会なので、しっかり準備しないと。
オブジェクト指向デザインのクラスではDesign Rationalというのを学んだ。日本語でなんと訳されているのか知らないが、デザインの合理性とでも言おうか、要は何でそのデザインにしたのか理由付けをきちんとするためのフォーマットのようなものだ。教科書にも出てくるし、その前にも耳にしたことのある次のような有名なエピソードがある。
「– ハムをオーブンで焼くのに、うちの奥さんは両端を切り落とす。何でそうするのかと聞いたら、「お母さんがやっていたのを学んだだけなのでよくわからないが、味がよくなるからなんじゃない?」という返事である。そこで母親にその理由聞いてみた。すると「ばあちゃんがやっていたのを真似ただけなのでしらん」という返事である。では、ということでばあちゃんに聞いてみた。するとばあちゃんは「そんなこと聞いたことない、なんで両端を切ったりするかね。はて、そういえば昔の古い家に住んでた時オーブンが小さくて、ハムが丸ごと入らない時にそんなことをしてた記憶があるねぇ。でも新しいうちに引っ越してからはそんなことはしてないよ。」という話である。結局のところ、ハムの両端は意味無く切り落とされていたのである–」
確かに何かをデザインしたり、加工したりする時はとりあえずその場ののりであまり考えずにやっておいたものが、人に伝わると、決まりごととして扱われてたりすることがよくある。デザインラショナルというのは、デザイン時にそういうことが生じないように、いちいちデザインの条件や理由を他者と共有できるように整理しておきましょう、というデザイン作法のようなものである。デザイン過程をアート的なものから工学的なものに変えていくための大事な作業なのだが、いちいち記述するのは、役所の申請書類を書いているような面倒くささがある。アメリカ人学生たちも面倒くさそうにやっていた。