今日は朝から統計のテストだった。この授業の講師は理論統計学者で、授業も彼女自身はわかりやすくやってるつもりでも、統計好きの人間向けの授業の範囲を出ない。教え方もテストの出題の仕方も相性が合わない。テストは8割取れればよしという感じ。テスト勉強は時間をたっぷりとったところでどうせやる気が出なくて、ぐずぐずとブログを読んだりしているだけなので、最低限のおさらいができる時間以上は必要としない、というかそれ以上できない。今インターン先で提案している統計学習ゲームは、まさに私のような人間をターゲットとしている。構想だけは今のところ、ジャスパーシリーズ(教育工学の成功事例として有名な古典的な算数ビデオ教材)なみのヒット作となるような高品質教材となり、私はこれをもとに論文も多作でき、統計に苦手意識を持つ人も劇的に減る成果が期待されるものとなっている。そんな統計が苦手な人間にそんなソフトが作れるのか、という話もあるが、こちらはID者なので、理論上は心配ない。
まあ、それはともかく、統計のテストは何とか乗り切った感じ。
その次はオブジェクト指向デザインの授業。これもまた最初はどうなることかとかなりストレスだったが、何とかついてこれた。同じグループの学部生は3人ともデブで、(腹回りが)巨大化の一途をたどっている。普通にやせてればみんな結構イケメンなのに、何で君らはそんなに巨大化するんだ、と隣で不思議に思う日々である。この授業も後3週。JAVAプログラミングが残っているので気が重いが、とにかくもあと少しである。
授業が終わるとすぐにRadical Thinkersのセッションへ遅れて参加。今日のプレゼンターは前に基礎統計の授業をとった時の講師のJonnaだった。彼女の専門のCognitive Apprenticeshipの一番ラディカルなところを紹介してくれていた。聴衆として参加していたなかに、ユーザーインターフェースデザインの大家のJohn Carrollがいて、二人でかなり激しく議論を交わしている。こういうのを巻き起こせるのは実によいなぁと思う。今日白熱したおかげで、この二人の対決が来学期の企画としてさっそくセットされた。
夕方、研究科のポスターセッションがあった。もうこれに参加するのも毎年春秋一回、今回が五回目である。自分よりも後に入ってきた院生がずいぶん増えたなと感じた。私もずいぶん古株になったものである。年長さんなりに議論ができるようになったのは我ながらたいした進歩である。久しぶりに会う仲間が結構いたので、最近どうよ、コースワークもう終わりそう?と何度か聞かれ、そのたびに、まだ真ん中らへん、と答えた。答えながらその事実を改めて認識した。
基本的にはみんなの発表はコースプロジェクトなのでたいしたものでもないのだが、発表する側も聞く側もよい刺激になる。大学院の作業は単独作業が多いので、こういう時でないとほとんど会わない人も多い。その中の一人、中国人の同僚、FengFengと久しぶりに会った。彼女はゲームを使った算数学習の効果を研究するプロジェクトをやっていて、教育用ゲームに関心のある数少ない仲間である。今日は研究のことでずいぶん意気投合して、次の学期には協力して何か研究プロジェクトでもやろうということになった。
今日はずいぶんいろいろあったなと、ここまで書いて思う。ポスターセッションの後、JoshとPeteとCharlieの3人と一緒にデニーズへ移動して夕飯。Joshは日本通のアントレプレナー系の若者、PeteはWest Point(陸軍学校)教官の大尉殿、Charlieはだいぶ年季の入った建築家、というユニークな顔ぶれである。飯を食いながらJoshはいつもの調子で、自分の職場の人々を事細かに描写している。いつもよくそんな細かいことで人をエンターテインできるなと関心させられる。アメリカのShow & Tell文化の申し子のような若者である。Peteは陸軍の教育がどんな様子かを聞かせてくれる。Charlieは批評の厳しい建築家の世界で生きてきただけあって、普通に話をしててもシニカルでひねりがきいている。4人で2時間ほど話して、11時半頃帰宅。
そういえば留学して来てすぐの頃も、昨年の今頃でも、英語で話をしていて半分も中身がわからず、1時間もすれば疲れて何も頭に入ってこなくなっていたものだが、今は数時間やっても全く平気になった。話す英語は相変わらずたどたどしいのだが、とりあえず意志は通じる。聞く方もボーっとしてるとついていけないが、聞き取るのがずいぶん楽になった。2年余りでようやくこのレベル、長かった。次はもう少し込み入った話ができるようになりたい。