2019年の振り返り

今年も振り返りのブログを書く年の瀬となりました。今年は所属組織の改組や異動など忙しなくイベントが続き,組織人として大きな変化を経た一年でした。無事に改組はひと山越えて,ここ何年か荒れて具合の悪かった組織の状態は改善に向かっています。年初の自分の状態を振り返れば,組織の事情から生じるさまざまなナンセンスに長いこと付き合いすぎて,だいぶ消耗していたのだなと思います。今年の後半は,専任の教員として研究を本務として活動できるようになり,調子も少しずつ戻ってきましたが,移籍先の組織でもさらにこじれた組織の問題に心を痛めつつ年末を迎えました。

個人的な出来事として,2週間ほど前に地元の高校時代の友人が癌で亡くなりました。高校で一緒にバンドを組んでいた仲間で,上京後も別の大学でしたが一緒にバンドを続けていて,彼はほどなく病気で地元に戻ることになりましたが,帰省すれば訪ねる数少ない地元の友人でした。もう長くないと連絡があり,年末の帰省を早めて11月末に帰省して,見舞いに行きました。家業をたたんで店を引き払うところだったので,見舞いついでに荷物の片付けを手伝ってきました。高校時代に入り浸って遊んだ彼の部屋の懐かしい荷物を片付けながら,生きていくことの大変さについて考えさせられました。そのような時間を経て,我々中年世代より上はともかくとして,もっと若い世代や彼の遺した子どもたちが生きづらくない社会にできるように貢献していきたいと思います。

今年の活動については,だいぶ研究の時間を増やせたこともあり,徐々に好転しています。論文を読む時間も以前よりも増えて,レビュー論文を書きながら,最近の研究を少しキャッチアップできました。何年もフォローできてなかった間にだいぶ研究が進展していて,とてもフォローしきれないような状態になっているので,とにかく自分の手持ちのネタでやれることをやってみてどこまでいけるかというところです。研究のアウトプットは,自分がファーストの論文は1本,あとは共著論文と国際会議発表が数本で,ここ数年のペースとさほど変わらずといったところでした。今の調子で進めても,年3本程度手がけて,順番に1本ずつ形になる程度にとどまりそうな感じが見えているので,今後は少しやり方自体を変えてみようかと考えています。

気がつけば,留学から帰ってきて10年経ちました。これまでの自分のその時々の選択が今の自分に至っているのだなと思うと,良くも悪くも感慨深くもあり,そう考えると,この先10年はどうなっているだろうかと楽しみでもあります。

今年もお世話になりました。皆さま良いお年をお迎えください。

MOOC「学びのゲーミフィケーション」gaccoで受講登録開始!

連日リリースのお知らせが続きますが,今度は藤本が講師を担当するMOOC開講のお知らせです。教育にゲーミフィケーションを取り入れるための知識を実践的に学べるオンライン講座「学びのゲーミフィケーション:ゲームフルな学習デザイン方法論」を「gacco(ガッコ)」で1月8日(水)開講します。本日12月3日から募集ページを公開して,受講登録開始しました!

この講座では,教育にゲーミフィケーションを取り入れるためのゲームデザインの概要や事例を学んで,実際にゲーム教材やゲーム要素を取り入れた学習活動の計画を立てるための基本的な知識を身に付ける内容です。

構成は,レベル1から4までの全4回で,毎回ミニレクチャー数本の視聴とミニワーク,教育現場のさまざまな問題状況でのゲーミフィケーションデザインのクエスト課題(ゲーミフィケーションデザイン演習の相互評価レポート)に取り組む内容で,実践的な知識を学べるようになっています。

講座の構成:
レベル1:ゲームと学びの接点に目を向ける 
レベル2:学習活動のゲーミフィケーション 
レベル3:教育システムのゲーミフィケーション 
レベル4:ファイナルチャレンジ(総合演習) 

前回5月にこの講座のプロトタイプ版「教育のゲーミフィケーション」を東大の運営するedX edgeで独自配信した際には,私一人でほぼワンオペMOOC状態で運営したのでかなり大変でしたが,今回は前回の修了者の皆さんがTAやコミュニティTAとして運営を手伝ってくださるので,とてもありがたいです(ガイド役のイワタニさんも前回より出番が増えて活躍してます)。 このテーマに関心のある方はどなたでも無料で受講できますので,どうぞご登録ください!

English Academia 3 本日開講!

私が東京大学の大学総合教育研究センターで担当している「PAGE(Professional and Global Educators’ Community)」プロジェクトが提供している,英語で教えるスキルを学ぶオンラインコース「English Academia」の新規コース「English Academia 3」が本日開講しました(祝!祝!)。

English Academiaは,現在は立教大学で活躍されている中原淳先生が東大時代に立ち上げたプロジェクトで,中原先生が移籍された際に私が引き継いで担当しています。最初のコース開講から2年以上になり、登録者数は2万2千人を超えて,多くの受講者の方々にご利用頂いています。今回のコース開講のために,長期にわたってPAGEプロジェクトのスタッフたちが尽力してくれました(ひとまずここまでおつかれさまでした!)。

今回開講したEA3は、English medium instruction(EMI:英語での専門科目教育)に焦点を当てています。EMI研究の第一人者である,エディンバラ大学のニコラ・ギャロウェイ先生を講師に,動画やクイズ,ディスカッション,エッセイ課題を通して,EMIが求められる背景や利点・課題を学ぶことができます。全11モジュールで,1モジュールあたりの学習時間は約30-40分で,忙しい方でもスキマ時間を活用してマイペースに学べるというEA1,EA2の形式をEA3も踏襲しています。

EA3の構成:
Module 1 Introduction
Module 2 What is EMI?
Module 3 Where is EMI conducted?
Module 4 Why is EMI conducted?
Module 5 How is EMI conducted?
Module 6 Teachers
Module 7 Students
Module 8 Administrators and Universities
Module 9 Policymakers
Module 10 Conclusion
Module 11 Final assignment

このテーマに関心のある方はどなたでも無料で受講できます。英語で自分の専門分野を教える必要性に迫られている方,英語で教えるスキルを向上させたい方にはとても役立つ内容を提供していますので,どうぞご登録ください!

音楽ゲーム「Rocksmith」でギターが弾けるようになる学習環境

ここしばらく,いくつかのプロジェクトでリリース前の追い込みが重なりつつ,所属部局のあれこれの対応もあってだいぶ立て込んでいますが,その合間を縫って新たなプロジェクトを進めています。

藤本研究室の研究テーマの一つ「遊びの中の学び研究」の新規プロジェクトとして,音楽ゲーム「Rocksmith」を使ってギターが弾けるようになる学習環境の事例研究をしています。先日は「Rocksmith」だけで高度なギター演奏スキルを身につけたことで知られる,Audrey & Kate姉妹の志田さん一家を訪問してきました。

私の講演などで以前からたびたび紹介していましたし,テレビ番組にもちょくちょく出演されているので,この分野の研究に関心のある方はご記憶にあるかもしれません。志田さん一家が運営している「audrey123talks」のYouTubeチャンネルは,登録者数27万人超,最近はライブ配信もよく行なっていて,音楽系YouTuberとして活発に活動しています。Rocksmithを開発したUbisoftの主催ライブやYouTube番組に招待されて姉妹で演奏したり,Rocksmithコミュニティでは知らない人はいない著名Rocksmithプレイヤー姉妹です。

Ubisoftのライブ番組でDreamtheaterやDragonforceを披露する二人の様子

オードリーさんは,8歳からRocksmithをプレイし始めて,もう16歳。お姉さんが演奏する横で遊んでいた妹のケイトさんも,だんだんと一緒にギターやベースを弾くようになり,まだ10歳ですが,ケイトさんの方が幼い頃からこの環境で育っている分,上達も早い様子です。

今回の訪問では,これまでの活動を振り返ってその時々の様子について語っていただきつつ,ご両親の教育方針や地域の学校教育との関係の話,YouTubeやTwitchでのファンとの交流の話など,様々な側面から話を伺うことができました(訪問の様子をオードリーさんがブログに書いてくれてます。「ねこあつめ」を紹介する東大の講師さん・・・笑)。どんな環境で活動しているかを楽しく拝見しつつ,姉妹の演奏するドリームシアターの「メトロポリスパート1」とRushの「YYZ」を生で観せてもらいました。オードリーさんは普通に弾くだけでは飽き足らず,左利き用で弾いたり,足でベースを弾きながら普通にスコア95%以上で弾きこなし(もはや曲芸の域),ケイトさんのベースはRushのYYZを普通に弾けるほどの腕前(指引きがカッコいい)。最近はオリジナル曲を作曲して音楽ビデオも自分たちで制作していたり,制作したオリジナル曲がRocksmithのダウンロードコンテンツ化されたりと,既にRocksmithのプレイヤーだけにとどまらない音楽活動を展開しています。

普通にRocksmithを子どもたちに買い与えただけではここまでのレベルになることはまず無いので,なぜ志田姉妹がここまで上達したのか,どのような支援環境や関係性の中で継続してきたかを学習環境的な観点から探る事例研究です。YouTube上にその成長の過程が掲載されていることも貴重ですが,今回お話を伺ったことでとても多くの興味深い知見を得ることができました(志田家の皆さんに大変感謝しています)。多分このような研究は私しかやらないだろうというニッチな題材ですが,そういうテーマだからこそやりがいがあります。これから資料整理やデータ分析を進めて,成果発表したいと思います。

情報学環・学際情報学府に移籍しました/冬季入試説明会のお知らせ

この10月1日付で、これまで所属していた東京大学 大学総合教育研究センター から、大学院情報学環・学際情報学府 に所属が変わりましたのでご報告します。4月からは大総センター本務で情報学環兼任だったのですが、今後は情報学環が本務で、大総センターを兼任することとなりました。これまで出向していた組織に転籍して、出向元の組織にも出向扱いで残るような形です。

居室もこれまでと同じで、両方の組織の仕事をすることになるため表向きにはさほど変わりはないのですが、今回の異動により、私の本務は教育研究を主とする教員として東大に在籍することとなり、これまで主として行っていた教育支援関連の業務が副となりますので、その点は大きな変化です。

同じくこの10月1日で大総センターの組織改組があって内部的な体制が大きく変わりましたので、センターの方の仕事もまだ多いのですが、今後は情報学環で立ち上げる藤本研究室でフルに活動できるので、気持ちも新たに仕事に励んでいるところです。


次に、研究室の活動に関連したお知らせです。学際情報学府の来年度入学の夏季入試が8月下旬に行われて、初めて入試業務に関わったばかりですが、もう冬季入試の準備が始まりました。今度は10月19日に私の所属する文化・人間情報学コースの入試説明会が開催されます。入学を検討されている方は説明会もどうぞご参加ください。

文化・人間情報学コース冬季入試説明会のお知らせ(10月19日(土)12:15-13:30)

入試説明会では会場で個別にお話しできる時間があるのでまず説明会に来て頂くのが確実ですが、日程が合わない方についても可能な限り面談の時間を確保していますのでご希望ありましたらご連絡ください(出願受付開始以降は対応できなくなりますのでお早めに)。


今回の移籍に伴い、今は良いことよりも苦労の方が多い感じで、たとえば獲得した科研費などの外部資金の管理や出張申請などの事務手続きをこれまでのスタッフに頼めなくなり、研究室の事務体制を整備しなおす必要が生じました。落ち着くまでは事務対応も増えて、むしろ研究時間は大幅減になっているのが悩ましいところです。

とはいえ、これからゲーム学習研究の拠点として活動を充実させられるように、良い研究体制を整備していこうと思いますので、引き続きご支援のほどよろしくお願いいたします。

近況などのお知らせ

気がつくともうすぐ9月ですね。お盆休みは溜まっていた査読を済ませたり、やろうと思っていて進んでいなかったデータ集計をしたり、夏休みの宿題のようなことをしているうちに過ぎて行きました。

大学での本務が変わったため、これまで担当していた日々の運営業務的な仕事は減ったのですが、その分大学院の入試など新たにやることが増えて、忙しさはさして変わらずというところです。

まず、直近のいくつか登壇や研究発表の予定などお知らせします。

1.ゲーミファイネットワーク第7回勉強会(8/29)
8月29日に開催される日本デジタルゲーム学会ゲーム教育SIG主催の勉強会で「教育分野のゲーミフィケーション研究の現在」というテーマでお話しします。

日時 8月29日(木)19:30~21:30(20:30~懇親会)
会場 ヴァル研究所(JR高円寺駅 北口から徒歩約3分)https://www.val.co.jp/company/access/
主催: 日本デジタルゲーム学会ゲーム教育SIG 参加申込:
https://peatix.com/event/1098399

2.日本教育工学会 2019年秋季全国大会(9/7-8)
今年のJSET全国大会は9月7-8日に名古屋で開催されます。5-6月に実施したオンラインコース「教育のゲーミフィケーション」の結果についてポスター発表しますので、参加される方はお立ち寄りください。

ゲーミフィケーションを取り入れた大規模公開オンライン講座(MOOC)の設計と開発
藤本 徹,荒 優,山内 祐平(東京大学) 9月8日(日) 12:30〜13:40 
会場:2F(2階会議室224) http://www.jset.gr.jp/taikai35/

3.朝日教育会議:東京工芸大学「ゲームが社会を解決する Game as Solutions」(9/21)
津田大介さん、東大の廣瀬通孝先生、東京工芸大学の岩谷徹先生の講演の後のパネルディスカッションでパネリストとして登壇します。東京工芸大学の遠藤雅伸先生も入られて、私以外は大変豪華メンバーのパネルで「世界はゲームで満ちてくる」をテーマに議論します。

日時:9/21(土) 13:00~16:00
会場:イイノホール(東京・霞が関)
詳細・参加申込: http://manabu.asahi.com/aef2019/tokyokougei.html


<最近の活動報告>
最近書いた論文のうち、JSETの特集号に投稿していたレビュー論文が採録されました。もう少ししたらオンライン公開されます。

藤本徹, 荒優, 山内祐平 (in press) 大規模公開オンライン講座(MOOC)へのゲーミフィケーション導入に関する研究の動向. 日本教育工学会誌 43(3).

少し前ですが、海外の研究者と共同執筆で最近の教育工学政策の比較研究をした論文がTechTrendsに掲載されました。こちらはオンライン公開されています。

Mao, J., Ifenthaler, D., Fujimoto, T., Garavaglia, and A., Rossi, P. G. (2019) National Policies and Educational Technology: a Synopsis of Trends and Perspectives from Five Countries. TechTrends. 63(3): 284-293. doi:10.1007/s11528-019-00396-0
論文PDF: https://rdcu.be/byQFj

あとは研究発表やパネル登壇などさかのぼってご報告します。先日、立命館大学で開催されたDiGRA International Conferenceで3件の発表をしました。

Fujimoto, T., Ikejiri, R., and Fukuyama, Y. (2019) Bridging Meaningful Play and Playful Learning – Supporting the Design Process of Gamification in Education. Proceedings of the 2019 DiGRA International Conference. Ritsumeikan University, Kyoto, Japan.

Fujimoto, T. (2019) The design and development process of an online course to support gamification design. the 2019 DiGRA International Conference Workshop. Ritsumeikan University, Kyoto, Japan. 18-19. Aug. 6, 2019.

SAKAI, H. and Fujimoto, T (2019) The Effects of Mental Health Education Games and Their Effects on the Prevention of Employee Stress. the 2019 DiGRA International Conference Workshop. Ritsumeikan University, Kyoto, Japan. 28-31. Aug. 6, 2019.

8月2日にCANVASさん主催で開催されたポケモンPRイベント「夏休み、子どもとデジタルゲームの上手な付き合い方」にパネルディスカッションに登壇しました。いくつもメディアの取材が入って、多くのメディアで記事掲載して頂きましたので一部ご紹介します。
https://resemom.jp/article/2019/08/19/52011.html
https://dual.nikkei.com/atcl/column/17/101200003/081300295/
https://news.mynavi.jp/article/20190806872467/
https://www.sankeibiz.jp/business/news/190809/prl1908091513115-n1.htm
https://www.4gamer.net/games/999/G999905/20190802127/

7月には日本イーラーニングコンソシアム主催のセミナーで、最近のゲーミフィケーション研究の動向についてお話しさせて頂きました。

藤本徹 (2019) 教育分野のゲーミフィケーション研究の現在. 日本イーラーニングコンソシアム月例カンファレンス. 日経BP社. 2019年7月22日

6月には北海道大学人材育成本部の吉原拓也先生が担当されている大学院生向け科目「キャリアマネジメントセミナー」で「発想法: 研究と社会をつなぐ創発思考」というテーマでゲスト講義させて頂きました。

藤本徹 (2019) 発想法: 研究と社会をつなぐ創発思考. 北海道大学キャリアマネジメントセミナーゲスト講義. 北海道大学. 2019年6月24日

今年度後半は、研究の一環でオンラインコースの配信やゲーミフィケーション教材を使った授業やワークショップの機会を増やしていく予定です。ワークショップやゲーム学習を導入したい授業への出張も、都合がつく限りご希望にお応えして行きたいと思います。ご興味ございましたらご一報ください。

藤本の研究指導をご希望の方へ

私が兼担教員として所属する東京大学大学院 学際情報学府文人コースの入試説明会が今週土曜に開催されます。開催日が近付いてきましたのでお知らせします。

来年度入学生より、私の研究室で大学院生を毎年2名程度受け入れて研究指導できますので、大学院進学にご関心のある方は入試説明会にご参加ください(大学院生として私の研究指導を受けるためには、まず大学院入試を通過する必要があります)。

この日は午前中に文人コースの入試説明会があり、午後に学府全体の入試説明会があります。午前の説明会後の懇談の時間と、午後の各研究室ブース展示と研究紹介コーナーの時間に教員と個別にお話しできる時間が設定されていますので、お越し頂ければ研究テーマなどの個別の質問にお応えできます。


東京大学大学院 学際情報学府・文人コース入試説明会

文人コース(文化・人間情報学コース)夏季入試説明会
日時:2019年6月8日(土)10:00-12:00
場所:東京大学本郷キャンパス・情報学環福武ホール地下2階ラーニングシアター
http://bit.ly/2KqNRmD

学際情報学府入試説明会
日時:2019年6月8日(土)13:30-16:30
場所:東京大学本郷キャンパス・情報学環福武ホール地下2階ラーニングシアター
http://bit.ly/2WnCi6Y

藤本 徹の教員プロフィール
http://www.iii.u-tokyo.ac.jp/faculty/fujimoto_toru

今年の誕生日の近況

今日で46歳になりました。メッセージくださった皆さまありがとうございます。誕生日を迎えたタイミングは、終電近い空いた電車の中で、Opethを聴きながらインスタでよその家のネコがごめん寝している画像をたくさんみて癒されていました(#ごめん寝とか#ネコをフォローしてるせい)。

今月はもっぱら、オンラインコース「教育のゲーミフィケーション」の開発と運営に研究時間を全投入していて、コース運営は最後の山場に差し掛かっています。連休を全投入してコンテンツ制作を終えるつもりで臨んだのですが、大学の業務もなかなか重い仕事が続いていることもあって予定通りには全く収束できずに結局、各週の公開予定日の前日に何とかセットアップを終えるというペースで進行しています。取り入れたいアイデアのうち実装できなかったものも多く、だいぶ絞り込んでようやくコースとして落ち着きました。

このコースは、個人的に10年前に博論研究のコンテンツ開発をしていた時に実現できなかったことや、その後非常勤で「シリアスゲーム論」の授業を担当した時に開発したクエスト学習の手法の未完成だった部分を改良できた感はあるので良かったです。一方で、今の自分のやり方でのベストはここまでかなという限界も感じつつ、自分の仕事の型のようなものを見直す必要性を再認識しました。やっているうちに次のテーマも見えてきたので、無理しただけの成果はありました。受講してくださっている皆さまに感謝しつつ、まずはとにかくこのコースの研究を一区切りさせて、落ち着く時間を取って先のことを考えようと思いつつ、今日の残りの数時間を過ごしています。

その他の近況や面白い話はまた機会を改めて。引き続きよろしくお願いいたします。

オンラインコース「教育のゲーミフィケーション」受講者募集のお知らせ

昨年度から時間をかけて準備していた公開オンラインコース「教育のゲーミフィケーション:プレイフル/ゲームフルな学習デザイン方法論」の受講者募集を開始しました。

このコースでは、教育にゲーミフィケーションを取り入れるためのゲームデザインの概要や事例を学び、ゲームを教育に取り入れる方法や、実際にゲーム教材やゲーム要素を取り入れた学習活動の計画を立てるための基本的な知識を身に付けることができます。

毎回の講義ビデオの視聴と、教育現場のさまざまな問題状況でゲーミフィケーションデザインのクエスト課題に取り組む内容で、実践的な知識を学べるように構成しています。修了基準をクリアした方へコース修了証を発行します。

あまり勉強っぽくなく楽しんで学べるように、通常のMOOCとは異なる仕掛けを用意しました。このテーマに関心のある方は経験の有無に関わらず、どなたでも無料で受講できます。受講ご希望の方は、下記の受講登録フォームからお申し込みください。

【↓受講登録はこちらのフォームから↓】
https://forms.gle/eoSiDF9vyd8J6kX57

このコースで学べること:
このコースを受講することで、次のようなことを学べます。
* 教育技法や学習理論についての基礎的な知識
* 学びの場のデザイン方法についての基礎的な知識
* ゲームやゲームデザインについての基礎的な知識
* ゲームと学びの接点に目を向ける考え方
* 教育分野のゲーミフィケーションの事例やデザイン方法
* 教育分野のゲーミフィケーションの実践方法

コースアウトライン:
レベル1:ゲームと学びの接点に目を向ける
レベル2:教室のゲーミフィケーション
レベル3:学校のゲーミフィケーション
レベル4:ファイナルチャレンジ(総合演習)

受講に要する時間:
標準的な学習時間として週2-3時間を想定していますが、経験や知識の差によって必要時間は異なるところがあります。

受講に必要な環境:
このコースは、MOOCプラットフォームのedX edge(エデックス・エッジ)で配信します。ネットに繋がったパソコンまたはスマートフォンのブラウザ環境があれば受講できます。
開講期間:2019年5月10日から開講(全4回)
受講登録締切:5月7日(火)
※受講に関する詳細は、登録締切後にご連絡します。
主な対象者(受講をお勧めしたい方):
ゲームやゲーミフィケーションの手法を導入したい教育者、教材開発者、教育の場でゲームデザインの経験を生かしたいゲーム開発者。教育経験やゲーム開発経験があると理解が進みますが、前提知識がなくても受講できます。

受講料:無料です!

受講方法:
東京大学が提供するコースページ上で学習します(受講方法の詳細は、コースページ公開後にご登録頂いたメールアドレスにお送りします)。

講師:藤本 徹(東京大学 大学総合教育研究センター 講師)

このコースについて:
このコースは、東京大学の研究者グループ(研究プロジェクト責任者:藤本 徹)がオンラインコースの学習効果に関する研究のために提供するものです(2017年度JSPS 科研費17H00824(研究代表者:山内祐平)、2018年度JSPS科研費18K02855(研究代表者:藤本徹)の助成を受けて実施しています)。
授業で収集された学習履歴データは、個人情報が特定されない形で慎重に取り扱い、論文や研究発表などのための研究用途で統計的に処理して使用します。授業への参加は研究データの提供に同意されたこととして取り扱います。
【↓受講登録はこちらのフォームから↓】
https://forms.gle/eoSiDF9vyd8J6kX57

異動のご報告

本日4月1日付で、東京大学 大学総合教育研究センター 教育課程・方法開発部門 講師に着任しました。同じ研究センター内で部門が変わり、特任が取れて任期無しのポストへの異動です。

職位はそのままスライドで、担当プロジェクトはそのまま継続するので、身辺にはさほど変化もないのですが、一つ大きな変化としては、今年度から大学院情報学環の兼担になり、研究室への学生の受け入れができるようになります。

今年の入試から関わって、来年度から自分の研究室で学生を指導するようになりますので、実際に動き出すのは少し先ですが、これでようやく、私の専門のゲーム学習、オンライン教育の分野で研究したい方への受け皿が一つできるようになります。これは長年の目標だったので、小さく一歩前進です。次のステップとして、新しい研究プロジェクトを立ち上げながら、ゲーム学習とオンライン教育の分野で活動する若手研究者の雇用の受け皿を作れるように精進したいと思います。

大学での仕事は楽しいことばかりではなく、ミクロにもマクロにもこの大学を取り巻く環境には問題も多くて、日本の高等教育の向かっている先について日々考えさせられます。それでも、気が付けば米国留学から帰国してもう10年ほど経ち、日本の高等教育の改善に貢献できるような仕事がしたい、と留学する前に漠然と思っていたことが、今の仕事で実現できていることをありがたく思いつつ新年度の初日を迎えています。

ということで、皆さま、引き続きよろしくお願いいたします。