明日渡米

 過ぎてみるとあっという間な2ヵ月半でした。暑くてしょうがなかったのに、もう上着が必要な肌寒さです。季節が変わり目を感じられる時期に日本にしばらくいたのは久し振りであります。
 今回の巡業も順調に終えることができ、この度も多くの方にお世話になりました。新たに知り合えた人もたくさんできたのはうれしかったです。研究の方もセットアップが進み、次回はどうにか実験授業ができそうなので、あとは大学院に戻ってやるべきことをやって、また来年早々に帰ってきます。

最近の活動

 最近ブログを書くペースが鈍っていて、しばらく更新が滞りがちになっているので、少しキャッチアップのために近況をまとめておきます。
 先日お知らせしましたフジテレビ「めざましどようび」の取材の件、13日の放送でほんのワンコメントだけ5秒くらい出てました。コメントの切れが悪くてさぞ使いづらかったのではないかと思います。こういうテレビ向けのコンパクトなコメントができるというのも一つの芸だなと思いました。それと制作をしている人たちの仕事のペースというか、制約条件の中できっちり作り上げる仕事ぶりには感心しました。研究者がプライバシー保護などであれこれ足かせをはめられて動きづらくなる一方なのに対し、簡単な実験をさくっとセットアップしてやってしまうフットワークの良さは羨ましくも思いました。プロデューサーさんはじめ番組制作の皆さんお疲れさまでした。こんな一瞬の露出にもかかわらず、しばらく連絡をとってなかった知り合いからテレビ見たよと何件か連絡が来たのには驚きました。
 某社で先月から実施していたニンテンドーDSソフトの企画ワークショップが無事終了。いいペースで開発が進んでいて、毎回企画がブラッシュアップされていく様子に、企画担当の皆さんの熱意と能力の高さを感じました。それとゲームを作るときはいいゲーム会社と仕事するのが肝だということを再認識しました。いい製品になるかはここからが勝負ですが、クオリティが微妙なものが多い最近のDSソフトから一つ頭を抜け出したよいものになることと期待しています。僕自身、今回は単発ではなくて少しボリュームのあるワークショップを担当する機会をいただいたので、その過程で学ぶことや反省することが多く、とても実りのある機会でした。ありがとうございました。
 先週は少し大分県別府市の実家に帰省。最近仕事の負荷が大きくてガス欠気味だったので、オカンのパソコン作業を手伝う程度のことをしながら、てれっと温泉入って酒飲んで少しゆっくりさせてもらってました。週末に合流したヨメは別府観光入門者なので、定番の名所のおサルの高崎山と水族館「うみたまご」へ。通常は水族館の方が人気で、おサルを見ないで帰る観光客が多い中、うちのヨメはおサルの方がお気に入りだったようで夫婦で「高崎山メンバーズクラブ」なるものに入会(会費1000円)し、2年間はいつでも無料で高崎山に入山できることとなりました。帰省のたびに通っていれば、おサルの大将に気に入られて、猿酒を振舞われる日もくるかもしれません。
 今週は、金曜日に和光大学の心理学の授業でゲスト講師として「ゲームと教育」について話をしてきます。ほかには、後日正式にお知らせしますが、国内の大学の研究センターで客員研究員として活動することになりました。国内での研究者としての動きがとりやすくなりました。今回の滞在もあと二週間ほどになってきて、次の帰国までに国内でやっておくべきことをできるだけやっておこうという感じです。書く作業が4割、外で話したり教えたりする仕事とその準備が6割という感じでバランス的には悪くないのですが、学位論文の研究を進めるためにはこの割合を書く方に大きくシフトする必要があるのに、なかなか思うようにいかない状況なのがややプレッシャーな今日この頃です。
 渡米後は、今回進めた研究の進捗をまとめつつ、少し先の12月3日にはフランスのリヨンで開催されるSerious Games Sessions Europeで韓国の魏先生と一緒に日韓のシリアスゲーム事情について話をしてきます。
 そんな感じであちこち出没しつつ、今年もあっという間に過ぎていきそうです。
おまけ

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取材の件とメール不具合のお知らせ

 昨日、「めざましどようび」(フジテレビ系列、土曜朝6時~8時半)という番組の取材を受けました。子どもの体力低下の実態という特集で、子どもの体力低下の要因としてゲームがやり玉に挙げられている風潮に対して、ゲームは子どもたちに良い影響を与えている面もあるという立場でコメントしています。この話題でコメントできるエライ先生方がつかまらなくて、代理登板のような感じでお鉢が回ってきたみたいです。コメントそのものは出ないかもしれないし、顔出しで出てても微妙な感じだったらあまり気にせずスルーしておいてください。いちおう放送予定は明日13日(土)だそうです。直前のお知らせですみません。取材を受けた体験については、いろいろと考えさせられるところあったので、それについてはまた後日。
 もうひとつは、一昨日、読売新聞の記者の方から取材を受けました。再来週くらいにゲーム有益論についての記事になるそうです。読売読者の方、もし気がついたらご覧になってみてください。
 それから話は変わりますが、最近、メインで使っているメールアドレス(anotherwayの方)のメールサーバーに(おそらくスパムメール増大のせいで)不具合が発生していて、ここしばらくメールの著しい遅配やまったく未達になってロストする事態が不定期に起きています。業務用の大事なメールも何通か巻き込まれてしまって、ご迷惑をおかけしています。
 サーバー管理会社に対応を依頼したところ、今まで詰まっていたのか何なのか、スパムメールが尋常でない量で大量に流入してきて、今も復旧したようなしてないような怪しい動きをしています。通常は、メールをいただいたらそれほど日を置かずに返信するようにしていますので、もし最近、藤本宛にメールしたけど何日待っても返事ないよ、という方は、この不具合のせいでメールを受け取れていない可能性が高いので、申し訳ないですが再度ご連絡くだされば幸いです。ウェブの方も不調気味で、このエントリーも投稿時にエラーがでて消えてしまったりしてます。ご面倒をおかけしますがよろしくお願いします。

教育実践研究に取り組む

 昨日は某女子高の高3情報の授業でオンラインゲームを使った研究授業をしてきた。生徒の反応は極めてよく、その授業そのものはとてもうまくいった。今回は試行的な位置づけで行って、環境面では問題ないということがわかり、教育面でも課題の洗い出しができた。うまくいったことは純粋にうれしかった。
 しかし、今回うまくいったのは、よく整備された環境で、よくできた教材(ゲーム)を使って、優れた教師が教え、よく教育された生徒たちが学んだからうまくいったのであって、研究者である自分がそこに何かをもたらしたからうまくいったという気がしない。教育現場の教育者たちが興味を感じる題材を教材として持ち込み、その題材を利用した授業の青地図を書いてその効果をみるというところが今回やりたかったことで、それはできた。でもそれはすでに高いレベルに到達している実践の場だからできたことで、自分の持ち込んだ付加価値ではなかった。その事実を突き付けられていて、あまり喜んでもいられない。
 実践研究というのは難しい。飛び込む現場の知識や経験の不足を補う何かを持って臨めなければ大したことはできない。現場でじっくりやってその現場の知識と経験を高めるか、その現場に必要な研究的知識を持ち込むか、どちらかがないと変化を起こすことはできない。
 それに現実とは切り離してコントロールしやすくなった環境で研究のために集められた被験者を対象に行う研究とは違い、向かうのは普通の教室であって、変なことをすればそこで学ぶ生徒たちの学習機会が損なわれてしまう。研究結果もさまざまな要因に左右される。研究の中身だけでなく、研究をセットアップのための周辺的な作業も増大するので、マネジメントの力量もより高いものが必要になる。
 先月、日本教育工学会の全国大会のシンポジウムで教育実践研究の課題について議論されていた。(せっかくの初参加だったのに、初日の午後のセッションだけしか参加できなかった!もったいなかった。。)そこでも実践研究の難しさが議論され、不十分さや研究手法の改善点が指摘されていた。東大の山内先生や熊大の鈴木先生たちの議論の中であげられていた論点は、いずれもこれまでの実践研究の課題やその批判、その批判への反論のなかであがっていることで、いずれも重要ではあるけれども完全には解消できない性質のものだと思う。どんな研究であれ、予算や人手や時間や制度的な制約の中でやらざるを得ず、完全無欠な研究は無理。無理だからといって開き直っていい加減なやり方をするわけにもいかない。こうやればいいという万能薬的な最適解はなく、個々に異なる制約の中でベストエフォートで取り組んで、研究としての質をどこまで高められるかという話だと思う。
 すべてわかっていたつもりで始めたことではあるけれども、そのたいへんさが肩にのしかかってくる。実践研究をうまくいかせるために重要な、研究者と教育者のフォーメーションはありがたいことに組むことができているのだから、あとは研究者としての自分の付加価値をどう打ち出せるかというところにかかっていて、そこは粘り強く粛々とやっていくことでしか乗り越えられない。まさに「学問に近道なし(本居宣長)」だ。
 自分がこの研究で、今までにない学習体験を人に提供できるかはさておき、研究をしている自分自身が最も深く得難い学習体験をしていることは間違いない。

DiGRA&CEDEC終了

 先週は、東京大学を会場に開催されていたデジタルゲームの国際学会DiGRAとゲーム開発者カンファレンスCEDECは盛会のうちに終了した。関係者の皆さんお疲れさまでした。
 今回の出番は、27日のCEDECでシリアスゲームに関する講演とラウンドテーブル。DiGRAではセッション座長2つとマークプレンスキー氏の基調講演のイントロ。
 CEDECの方は、前回2年前にやった時よりも来場者の皆さんの関心が高まっており、とてもよいセッションとなった。詳細はインプレスWatchとファミ通.comの記事で紹介していただいているのでそちらを参照してください。
【CEDEC 2007現地レポート】シリアスゲームの国内外の動向と、ビジネスとしての課題(インプレスGAME Watch)
http://www.watch.impress.co.jp/game/docs/20070926/seri.htm
シリアスゲームとニンテンドーDSの切っても切れない仲とは?CEDEC 2007(ファミ通.com)
http://www.famitsu.com/game/news/1210823_1124.html
 DiGRAの方も、世界中から集まった研究者による多くの発表があった。日本人の参加者が少ないのがもったいなかった。座長をやったセッションは、発表者が遅れてきたり、テクニカルな問題があったりは多少あったものの、いずれも面白い発表が聞けた。
 DiGRA4日目は「シリアスゲームデイ」と題されており、シリアスゲームや学習とゲームに関する発表が数多く行われた。DiGRAはヨーロッパが中心の学会なので、普段は聞けない英国や北欧の研究者の発表が聞けたのがよかった。この日の基調講演は「テレビゲーム教育論」の著者のマーク・プレンスキー氏が登場。テレビゲーム教育論で論じられていることや、ゲーム開発者と研究者がどうコラボレーションしていくべきかといったことを語ってくれた。テレビの取材も入っていたので、どのように取り上げられるかがとても楽しみ。
 時間は前後するがDiGRA3日目の基調講演は、オンライン経済研究の第一人者のインディアナ大学のEdward Castronova准教授だった。運悪く同じ時間帯に自分のCEDECのセッションが入っていたので講演は聞けなかったが、駒澤大の山口准教授が声をかけてくれて、大学近くの居酒屋で夕食をご一緒できた。その時の模様は山口先生のブログで紹介されている。
 そのほかにも、海外の研究者の友人をしゃぶしゃぶ食いにつれていったり、CEDECのパーティがあったりと、開催期間中はあれこれ出来事が盛りだくさんだった。かなり疲労困憊という感じだったが、今回はシリアスゲーム推進についてはとてもよい成果が出たおかげで疲れも半減した。これでひと山越えたという感じだが、今週は某社でのワークショップと某女子高で実施するオンラインゲームを使った実験授業がある。忙しいがいずれも楽しみだ。

東京ゲームショー

 やや今さらなのだけど、先週の木曜日、東京ゲームショー初日のビジネスデイの日、出展している団体の人と打ち合わせがあったので参加してきた。今回が初参加。
 今年はビジネスデイが一日増えたり入場者管理の体制を変えたりしたおかげなのか、場内は結構空いていた。いくつかのレアアイテム配布のところはかなり混んでいたものの、それ以外の試遊ブースはほとんど待たずに済んだ。スタッフの人たちも余裕があって通りかかった客に声をかけて試してもらっていた。打ち合わせが済んで少し時間があったので、Wiiのドラゴンボールや、カプコンのゴルフゲームなど、適当に試してみたら結構面白かった。Wiiのゲームはちょっと試して感覚的に楽しさを感じられるので、こういうデモイベントにはとても向いている。
 展示ブースの出し方も、各社それぞれに熟練度やプレゼンのうまさに違いがあった。毎年出展している大手は人の配し方や試遊台の設置の仕方が人の流れをうまく作っているところもあれば、同じような規模で予算もたっぷりかけているのに、試遊がしずらかったり、人の流れがよくないところもあった。ブースの位置がたまたま周りと相性が悪いとか、出展タイトルの魅力もあるのだと思うが、同じ予算をかけてもちょっとした気配りやノウハウ的なところでブースの魅力というのは変わるものだと思った。
 展示しているデモも、プレイしてみて案外面白くて印象が良くなるものと、出来が悪くてこれは買わないと心に決めてしまうものとまちまちだった。特にDSソフトは出来にばらつきがあったように思う。開発のどの段階でデモプレイを出すかというのは難しいなと思う。今回試したクッキングママ2はまあまあ。三国志DS2はとても面白くてその場で売ってたら買う勢いだったし、発売したらぜひ買いたいと思った。ユードーさんの健康検定DSは今回デモビデオのみだった。出店規模とソフトの性質、このイベントの場の雰囲気を考えるとそれが正解だと思う。それ以外に試したいくつかのDSソフトは店頭で見かけてもまず買わない。敷居が低くて出しやすいということは、それだけダメなソフトも出やすいということか。Wiiはまだ敷居が高い分、作る側もはずせないので品質がもう少し安定している印象だった。
 こういうイベントはやたら混んでいて不快な思いをする印象であまり積極的に期待とは思わないのだが、想像以上にとても快適でこれならまた来てもよいなという気がした。午後のほんの数時間の初TGSだったが、とても新鮮なよい体験だった。

個人的なご報告

 このたび、9月5日に結婚しました。日本で家庭を持ったことで、仕事にも一層身が入る気持ちです。まずは早く博論を書きあげて、日本での活動を本格化させたいと思います。
 夫婦ともどもよろしくお願いいたします。

帰国後初出動@東大BEATセミナー

 先日帰国しました。東京は暑いとさんざん聞かされて、相当に覚悟して帰ってきたところ、想像していたほどには暑くなく、実際一番のピークほどには暑くなかったようでほっと一息。
 時差ぼけ調整もほどほどに、帰国後3日目より稼働開始。東大である打ち合わせとBEATセミナーに参加してきた。東大の山内先生や中原先生、それにBEAT関連で活躍する若手研究者の皆さんにも会うことができた。今回は軽く挨拶程度でしか話せなかったものの、いずれ皆さんそれぞれに担当している面白そうなプロジェクトの話を聞いてみたいところ。それと中原先生がビリーズブートキャンプをやっているということを前にブログに書かれていたので、どんな具合か興味があったが伺いそびれた。外から見る限りではビリー不要なくらいにお腹はペタンコだったが。

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まもなく日本

 明日の飛行機で日本に向けて出発します。今回は11月上旬まで滞在してます。CEDECやDiGRA、学会等でさまざまな方々とお会いできるのを楽しみにしています。それと進行中の各プロジェクトの方も、皆さんよろしくお願いいたします。

パワーポイントファイルのサイズを小さくする方法

 パワーポイントスライドに画像を普通に貼り付けるとすぐに数メガのファイルになってしまって、メール添付とかには不便だなと思いつつ、最近ふと調べてみてパワーポイントのファイルサイズを小さくするテクニックを見つけた。知っている人にしてみれば今さらの話でしょうし、大容量USBドライブが普及した今ではあまり問題にならなくなってきましたが、知らない人には役に立つと思うのでいちおうお知らせしておきます。
 単にパワーポイントのスライドに画像を貼り付けるときに、そのまま貼り付けるのでなくて、「形式を選択して保存」を選んで、JPEGやGIFなどの特定の形式を選んで貼り付けると、画像ファイルが圧縮されてファイルサイズが大幅に縮小されます。場合によってはサイズが10メガ→1メガなど、10分の一くらいにまで縮小されるので、よくプレゼン資料を作る人であれば、ハードディスクの容量がかなり節約できるでしょう。ワードやエクセルで画像ファイルを貼り付ける場合も同様。
 もう少し調べて理屈を分かった上でやればもっと便利なのかもしれないですが、とりあえずはこれだけで手っ取り早く用が足せるので、Officeファイルの肥大化に困っている人にはお勧めです。