帰国後初出動@東大BEATセミナー

 先日帰国しました。東京は暑いとさんざん聞かされて、相当に覚悟して帰ってきたところ、想像していたほどには暑くなく、実際一番のピークほどには暑くなかったようでほっと一息。
 時差ぼけ調整もほどほどに、帰国後3日目より稼働開始。東大である打ち合わせとBEATセミナーに参加してきた。東大の山内先生や中原先生、それにBEAT関連で活躍する若手研究者の皆さんにも会うことができた。今回は軽く挨拶程度でしか話せなかったものの、いずれ皆さんそれぞれに担当している面白そうなプロジェクトの話を聞いてみたいところ。それと中原先生がビリーズブートキャンプをやっているということを前にブログに書かれていたので、どんな具合か興味があったが伺いそびれた。外から見る限りではビリー不要なくらいにお腹はペタンコだったが。


 BEATセミナーの方は、「オープンエデュケーションが切り開く未来」というテーマで、MITのオープンコースウェアを推進されているDr. クマーと、カーネギー財団 知識メディア研究所の飯吉先生の講演、それとパネルディスカッションが行われた。セッション内容はオープンエデュケーションの現状と課題について理解を深められる有意義なものだった。
 いろいろと思うところがあったので、その内容は別エントリーで書くとして(会の模様は中原先生のブログにも紹介されているのでそちらをどうぞ)、ここではセッションの内容とは関係ないところでの感想を一つ。Dr. クマーの発言について、英語の逐次通訳が入っていたのだが、その通訳を聞いていて、自分の英語の聞き方について考えさせられた。講演者が話す内容を適当なところで切りながら通訳者が通訳する。一回の区切りで5分以上のボリュームがあるのに、表現の言い回しを補足しつつ内容を端折ったせずに訳していた。
 普通に5分も聞いていると、最初のころに話していた内容が抜けていくのだが、それを通訳の人はムラなく訳す。自分の英語力では訳のムラや端折りは気づかないほどのレベルだったし、その情報を保持して再現するスキルには驚かされた。あまりに興味を引かれたので、後方に行って通訳ブースの近くに行って通訳者の動きを見てみた。事前の準備というよりは、その場でのメモの取り方と、メモを元に内容を再現するところにスキルの重心があるようだった。かえってちょっとグーグルで調べてみるとたしかにノートの取り方には高度な技術があるらしいことはわかった(たとえばこのような)。
 かたや自分の英語の聞き方を振り返ってみると、聞いた英語からなるべく重要でない部分をそぎ落として、認知的な負荷を下げることによって長時間の英語を聞いてもついていこうとしている。なので通訳のように英語で聞いた内容を訳して再現することはひじょうに下手だし、聞き落としも多い。この点については、そもそも英語の知識だけではなく、基本的な言語コミュニケーションに必要な認知的な筋力が不足していることが影響している気がする。日々英語を使いながら、そのコミュニケーションの筋肉を同時に鍛えているようなところがあるので、どうしても非効率なところがある。通訳者の英語と日本語の処理の仕方には、英語力を伸ばす上で重要なヒントがあって、中級以上の英語学習者のトレーニングの方法に応用できそうな要素があると思った。