おすすめの本:高等教育・教育学関連書

子どもが熱くなるもう一つの教室―塾と予備校の学びの実態」 佐伯 胖 (著)
 予備校がなぜ子どもたちをひきつけるのかについてを教育学的な観点から論じています。教育学者はこういう仕事どんどんやっていくべきです。
教育への問い―現代教育学入門」 天野 郁夫 (編)
 東大教育学部の教授陣による教育学入門書。日本を代表する教育学者たちが現代の教育の論点を判りやすくまとめています。残念ながらこういう優れた情報発信ができる教育学者の層が薄いのが日本の現状です。教育の分野に進もうという人にはぜひ読んでほしい本です。
学びへの誘い-シリーズ学びと文化 (1)」佐伯 胖、藤田英典、佐藤学(編)
 学習の概念を問い直し、新たな「学び」のあり方を論じています。「学びの共同体」の考え方を理解するのによい本です。
状況に埋め込まれた学習―正統的周辺参加」 ジーン レイヴ, エティエンヌ ウェンガー (著), 佐伯 胖 (訳)
 「学びの共同体」の基盤となる考え方を提示した論文です。この本で提示されている理論は、構造主義の学習理論の中でも主要なものとして認知されています。本著はやや難解なため、入門書としては適していませんが、専門家を目指す人には読むべき本と言えるでしょう。

教育改革をデザインする(シリーズ教育の挑戦)」佐藤 学 (著)
 混迷する日本の教育改革の問題点を指摘して、それじゃダメだからこういう考え方を取り入れなさい、と論じている本です。佐藤教授のような実践する教育学者が増えていかないと、日本の教育もよくなりません。
教育方法学」佐藤 学 (著)
 教育方法学の教科書。教育方法に関する体系的な知識を得るのによい本です。
大衆教育社会のゆくえ―学歴主義と平等神話の戦後史」 苅谷 剛彦 (著)
 学歴社会に関する一般的なイメージには誤解が多いということを、データを示しながら丁寧に解説した本です。 教育学者の仕事のお手本のような著作です。
未完の大学改革」(中公叢書) 永井 道雄 (著), 山岸 駿介 (編集)
 日本の高等教育界の巨人、永井道雄氏の著書を教育ジャーナリストの山岸駿介氏が再編集した本です。国立大学の独立法人化は、この本にあるように30年以上も前に永井氏が文部大臣を務めたときに提案されていました。しかし文部省(当時)が自己の権益を失うのを嫌がって検討すらせず、そのツケが今頃になって回ってきているのが実情です。歴史に「たら」はないのですが、この永井氏の案が実現していたら、日本の大学は今ほど凋落していなかったことでしょう。

「できる人」はどこがちがうのか」 斎藤孝(著)
 最近ベストセラーを量産中の著者による名人論。教育関係者は必読です。
三色ボールペンで読む日本語」 斎藤孝(著)
 読書の技法を実際に手を動かして線を引きながら体得しようという趣旨で書かれた読み方本。三色ボールペンまで本のおまけにつけて、誰でも習得できるレベルまで技法を簡素化して提示されています。

おすすめの本:論理思考・Employability強化

ザ・ゴール ― 企業の究極の目的とは何か」 エリヤフ ゴールドラット (著), 三本木 亮 (翻訳)
 制約条件の理論(TOC)を読みながら学習できる、小説スタイルのビジネス本。紹介するまでもないくらいの超ベストセラーです。小説が面白いので、勉強している気がしません。この本はビジネスパーソンだけでなく、教育に携わる人も必読書です。
ザ・ゴール 2 ― 思考プロセス」 エリヤフ ゴールドラット (著), 三本木 亮 (翻訳)
 超ベストセラー、ザ・ゴールの続編。前作ではさわりだけだったTOCの思考プロセスに焦点を当てて書かれています。本作も小説形式で、読んでいるうちに問題解決思考法を学習できます。勉強している気がしないで学べるいい本です。

知的複眼思考法―誰でも持っている創造力のスイッチ」 苅谷 剛彦 (著)
 日本を代表する教育社会学者による思考法本。思考の技法やプロセスをわかりやすく説明してあります。思考力強化のための本を探している人におすすめです。留学志望の人も一度読んでおくと、留学後の勉強のための助けになると思います。
考える力をつけるための「読む」技術―情報の解読と解釈」 妹尾堅一郎(著)
 私の師匠、妹尾先生による、情報の読み、解釈の仕方指南書。図表、年表、新聞、百科事典などのテーマで情報の読み方を解説しています。この授業のもとになった大学院の授業に参加しました。

論理力を鍛えるトレーニングブック」 渡辺パコ(著)
 論理力トレーニング本のベストセラー。この類の書籍はずいぶん読みにくい硬い本や、やわらかすぎて呼んでも力のつかない本が多いのですが、この本は格段に読みやすい上に、論理思考の考え方もよく理解できます。論理思考の基礎を身につけたい人への入門書としておすすめです。
意思伝達編 論理力を鍛えるトレーニングブック」 渡辺パコ(著)
 論理力トレーニング本のベストセラー著者による第2作目。具体的な設問への受講生の回答に指導する形で、わかりやすく解説。1作目と同様、この類の書籍の中では格段に読みやすく、この1冊で論理思考を意思決定につなげるための基本的な考え方を理解できます。私もゲスト受講生として参加しました。
人生に役立つ論理力トレーニング」 渡辺パコ(著)
 論理力トレーニング本のベストセラー著者による第3作目。身近な事例を論理思考で扱うとどう展開できるかをわかりやすく解説しています。私もゲスト回答者として参加しました。

トム・ピーターズのサラリーマン大逆襲作戦〈1〉ブランド人になれ!」 トム ピーターズ (著)
 「エクセレントカンパニー」で旋風を巻き起こしたコンサルタントによるビジネス啓蒙書シリーズ。恥ずかしいタイトルと見た目のせいで手に取るのがややはばかられる人もいるかもしれませんが、読みやすくてためになる内容です。この巻では、独立して、自分の強みを磨きながらキャリアを形成していくことを勧めています。転職を考えている人は一度読むとヒントが得られるかも。
トム・ピーターズのサラリーマン大逆襲作戦〈2〉セクシープロジェクトで差をつけろ!」 トム ピーターズ (著)
 シリーズ2作目。面白い仕事をどうやって創るか、ということに焦点を当てた内容です。今の仕事にマンネリを感じていたり、何か新しいことを始めたい人が読むと、いろいろとヒントを得られると思います。
トム・ピーターズのサラリーマン大逆襲作戦〈3〉知能販のプロになれ!」 トム ピーターズ (著)
 シリーズ3作目。スタッフ部門で働く人が仕事を面白くやっていくためのアイデアを提示しています。安直だとバカにするのは簡単ですが、述べられていることを真に受けて愚直に実践できる人が得られることは多いでしょう。

アナザーウェイのコンセプト

 以下は当サイトのプロフィールページに掲載していた文章ですが、アップデートに伴いこちらに移動しました。
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 「アナザーウェイ」という屋号には次のような私の考えが託されています。
 一つは、私が仕事の中で提示したい価値です。どんなささやかなことで良いので、何か意志を持ってやりたいと考えている人をお手伝いしたい。「こういうことをやりたいんだがどうしたらよいだろうか」と考えている人に対して、「だったら、こういうやり方がありますよ」と、アイデアを示しつつ、適切な案を一緒に考えていく。そうした仕事を一つずつ積み重ねていきたいと考えています。
 もう一つの意味として、私個人のキャリアについての想いが込められています。 私が会社勤めをやめて、独立することに決めたのは2000年の6月、27歳になってすぐの頃でした。当時は次に勤める予定だった会社との契約面を考えて、形式的に独立しようという程度の意識で始めたものであって、何か売りにできる技術やノウハウがあるわけではありませんでした。そのような状態であっても、独立して得られることは大きく、個人の価値観に合った新たなワークスタイルを模索することは重要であると考えました。そして、自分が進んでいくキャリアがそのまま道となって、後に続く人がキャリアを考えていく上でのヒントとなっていけたら、と考えました。
 活動はまだまだこれからですが、見守っていただければ幸いです。
2002年7月
藤本 徹