Ludix Lab編 「入門 企業内ゲーム研修」 4月9日発売

Ludix Lab編集の電子書籍「入門 企業内ゲーム研修」の予約販売ページがオープンしました。4月9日から発売です。

本書はLudix Labで実施したセミナーの内容をもとに、昨年かなりの時間をかけてメンバーで編集活動を続けてきた成果です。少しずつ作業を進めてきて、ようやく世に送り出せるようになりました。限られた時間でしたので、まずは形にすることを優先して作業してきましたが、最終製品にするのは手間がかかります。

本書はAmazon Kindle版の電子書籍です。書店には並びませんが、Kindle端末がなくてもKindleアプリを入れればどの端末でも利用できます。

(この業界に明るい方は、タイトルや表紙デザインが似た書籍があるなとお感じになるかもしれませんが、それはたまたまです。)

下記のような内容で、この分野に興味のある方に向けた入門ガイドとして執筆しました。

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「入門 企業内ゲーム研修」

目次(節は抜粋)
第一章:最も質問が多いゲーム研修の効果測定
・まずは用語をきちんとつかむことからはじめよう!
・研修における「効果」の捉え方は各人各様
第二章:効果測定の考え方
・ゲーム研修に特別な効果測定手法は必要?
・自ら体験したことは講義と比べて定着しやすいのか?
・「気づき」は実は測定できる
第三章:ゲームの強み
・経験学習ができるという強み
・ゲーム研修の比較対象は講義ではなくOJT
・具体的な状況で転移させる力を向上させる
・講義だけでは1週間後に20%しか思い出せない
第四章:振り返りを促すファシリテーション
・振り返りをして効果を高める
・大人だって「どう考えるか」は習ってないし、わかっていない
・楽しさは研修の目的ではない
・ファシリテーターがいないと学べない?
第五章:研修企画を通す教育学:導入のための説得ツール
・3つの知識の種類~何を学ぶかをまず理解しよう~
・「門前の小僧」はどうやって学んでいるか?
・教育学の言葉が分かれば研修企画の武器になる!?
第六章:「ゲームと学び」についての3つの誤解
・ゲームの学習効果は学術的に実証されている
・ゲームの要素を使うと研修がこう変わる
・ゲームは長所ばかりではない?
第七章:ビジネスゲームってどんなものなの?
・ゲームと学びの変遷と用語の整理
・ゲーミフィケーションはゲームではない!?
・ゲームとシミュレーションってどう違う?

■編著者紹介
Ludix Labは、教育の活動をしているNPO法人「Educe Technologies」のゲームと学習に関する研究ユニットとして2013年に設立。本書はLudix Lab代表と4名のフェローで編集した。
・池尻良平:東京大学情報学環特任助教、Ludix Labフェロー
専門は「学習の転移」。特に、歴史を現代の社会的な問題に応用させることを研究。高校生に歴史の有用性を実感してもらうゲーム教材を使った歴史の授業もし ている。また、企業研修向けのゲーム研修の教材も共同開発している。共著に「歴史を射つ: 言語論的転回・文化史・パブリックヒストリー・ナショナルヒストリー」(御茶の水書房)
・高橋興史:カレイドソリューションズ株式会社代表取締役、Ludix Labフェロー
起業家。アナログゲームの知見や研修企画のノウハウを応用し、国内唯一の企業研修向けにゲームを使った研修内製化教材を提供する会社を創業。多くのビジネスマンが同社のゲームで経営や財務会計、コミュニケーションを学んでいる。
・為田裕行:フューチャーインスティテュート株式会社取締役、Ludix Labフェロー
ICT利用教育のコンサルティングや導入支援を行う。小中高校生向けに、ボードゲームを使って考える力を養う教育活動や、企業研修でのゲーム研修も行っている。
・藤本徹:東京大学 大学総合教育研究センター特任講師、Ludix Lab代表
教育にテクノロジーを活用する「教育工学」分野の研究者。特にゲームを利用した教育の研究をしており、日本でシリアスゲームの普及を進めてきた。著書に「シリアスゲーム」(東京電機大学出版局)、訳書に「幸せな未来は「ゲーム」が創る」(早川書房)など。
・福山佑樹:東京大学教養学部特任助教、Ludix Labフェロー
専門は「教育工学」。特に現代社会の問題を経験学習するためのゲーム教材の開発と実践を行っている。これまで扱ったテーマには、環境問題・組織市民行動・キャリア教育などがあり、一部の開発物は企業研修でも使用されている。共著に「職場学習の探求」(生産性出版)

Ludix Lab公開研究会:愛和小学校 × Ludix Lab 「i和design冬期講習会」(12/26)のお知らせ

早くも年末になってしまいましたが、今年最後の土曜日にLudixLabの公開研究会を開催します。Facebook等の他の手段で告知して最近ブログが後回しになってますが、お気づきでない方のために改めてお知らせいたします。

今回は、ICTを導入した先進的な教育実践の取り組みで知られる愛和小学校の先生方をお招きしてのジョイントセッションです。Ludix Labフェローの為田裕行さんの企画で実現しました。為田さんにはいつも私が持っていない観点から企画を出していただいて、パワフルにご尽力いただいてます。


愛和小学校 × Ludix Lab 「i和design冬期講習会」@東京大学
http://peatix.com/event/130377

【概要】
ゲームと学習に関する研究・開発・実践を支える学術的な研究ユニットLudix Lab(藤本徹 代表)の公開研究会として、多摩市立愛和小学校(松田孝 校長)が推進する「i和design」を学校の先生方に体験していただくための冬季講習会を、東京大学にて開講します。

この公開研究会では、小学校におけるプログラミング教育や教科教育でのタブレット端末などのICTを導入した先進的な教育実践の取り組みで知られる愛和小学校の授業をダイジェストで体験できます。また、Ludix labのメンバーと、ゲーム学習やゲーミフィケーションの知見を用いて、学校を楽しくて学べる場にする方法を考えるランチョンセッションにもご参加いただけます。

一年の締めくくりに、愛和小学校での現場の知見とLudix Labのアカデミックな知見に触れてみませんか。

【スケジュール】(予定)
朝会 仕掛け人によるイントロダクション
為田裕行(フューチャーインスティテュート株式会社 取締役、Ludix Labフェロー)

1時間目 校長講話&「マインクラフト」を取り入れた授業実践
テーマトーク「タブレット端末の機能を活かした新しい授業づくりの方法」
松田孝 (多摩市立愛和小学校 校長)

2時間目 小学校でプログラミング!
愛和小学校でのプログラミング教育実践報告
LEGO EV3を活用したワークショップ
算数などの授業への導入について検討

ランチョンセッション「学校を楽しくて学べる場にする方法を考える」
福山佑樹(東京大学教養学部附属教養教育高度化機構 特任助教、Ludix Labフェロー)
藤本徹 (東京大学 大学総合教育研究センター 助教、Ludix Lab代表)

3時間目・4時間目 模擬授業風ワークショップ
タブレット端末の機能を活かした新しい授業づくりの方法!を体感
ロイロノートスクール&スクールタクトを活用して、社会と国語の授業を実施。
授業での効果的活用を体感します。

★開催日時:2015/12/26 (土)10:30 – 16:30

★会場: 東京大学本郷キャンパス福武ラーニングスタジオ1・2(B2F)

★参加費:学校教員2000円、一般5000円(昼食付です)

★定員: 30名(先着順)
・主な対象:学校教員、教育関係者

※なお、本セッションの模様は、主催者が撮影・録音し、Webサイト等での広報や講演資料、書籍等に使用したり、メディア取材に対して提供したりする場合があります。ご了承の上でご参加ください。

★登壇者プロフィール:
藤本 徹(ふじもととおる): 慶應義塾大学環境情報学部卒。民間企業等を経てペンシルバニア州立大学大学院博士課程修了。博士(Ph.D. in Instructional Systems)。2013年より現職。東京工芸大学芸術学部非常勤講師等を兼務。専門は教授システム学、ゲームの教育利用や社会的応用の研究、シリアス ゲーム開発者教育。著書に「シリアスゲーム」、訳書に「テレビゲーム教育論」、「デジタルゲーム学習」、「幸せな未来は「ゲーム」が創る」など。

為田 裕行(ためだ ひろゆき): 慶應義塾大学総合政策学部卒。大学卒業後、西日本の大手学習塾企業を経て、 フューチャーインスティテュートの設立に参画。 以後、幼稚園・小学校・中学校・高校・大学の教壇に立つと共に、 学校教員向けの研修プログラム設計、授業計画コンサルテーション、 教育テレビ番組や幼児向け教材、サービスなどの教育監修も行っている。学校、教育委員会、学習塾向けの教育ICT導入支援を手がける。

福山 佑樹(ふくやまゆうき):東京大学大学院学際情報学府修士課程、早稲田大学大学院人間科学研究科博士課程を経て、2014年より現職(博士:人間科学)。ゲームを利用した社会問題の学習手法など、ゲームと教育・学習の関係性について研究している。学内ではアクティブラーニング型授業の実践・普及を担当。分担執筆に「職場学習の探究」、「対人援助のためのグループワーク2」など。

i和designチーム:多摩市立愛和小学校 有志の先生方。

★主催: Ludix Lab(NPO法人Educe Technologies)
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参加申込、お問い合わせは下記の開催概要をご参照ください。
http://peatix.com/event/130377

年末押し迫っての開催ですので、もう年末休みに入られている方もいらっしゃるかもしれませんが、久々の公開研究会です。どうぞご参加ください。

ECGBL 2015の国際シリアスゲーム・教育ゲームコンペティションで「ジョブスタ」がノンデジタルゲーム部門最優秀賞を受賞

Facebookなどでは速報でお伝えしましたが、その後慌ただしく過ごしていてブログでご報告しそびれていましたので、改めて参加&受賞のご報告です。

先日、ノルウェーのスタインシャーで開催された第9回European Conference on Games Based Learning(ECGBL 2015)において、3rd International Serious Educational Games Competition(第3回国際シリアスゲーム・教育ゲームコンペティション)が行われました。

ECGBL 2015
http://academic-conferences.org/ecgbl/ecgbl2015/ecgbl15-home.htm

このゲームコンペにLudix Labで開発したキャリア教育カードゲーム「ジョブスタ」でエントリーしたところ、幸いにもノンデジタルゲーム部門最優秀賞を受賞しました。 福山佑樹さん、浅見智子さんとの共同開発したゲームです。論文発表の方も好反応で無事に終わりました。

Fujimoto, T., Fukuyama, Y., and Azami, S. (2015) Game-Based Learning for Youth Career Education Using a Card Game ‘JobStar’. Proceedings of The 9th European Conference on Games Based Learning. 203-209. Nord-Trondelag University College Steinkjer, Norway. [download]

「ジョブスタ」は今回、このコンペのために即席で英語版を制作して、英語での説明資料を準備して参加しました。日本語版は製品化して、法人向け研修パッケージとして販売しています。各種研修向けゲームを扱っておられる株式会社HEART QUAKEさんに販売をお願いしています。研修や授業で使ってみたい方はぜひご検討ください。

「未来の仕事」を創り出せ!「ジョブスタ」紹介ページ(HEART QUAKE社ウェブサイト)
http://heart-quake.com/jobsta.html

なお、来年のECGBLは、スコットランドのペイズリーにあるUniversity of the West of Scotlandで10月6~7日に開催されるとのことです。ゲームコンペは日本で開発されたシリアスゲームを海外でアピールする良い機会ですので、ぜひ来年に向けてエントリーをご検討ください。

ECGBL 2016
http://academic-conferences.org/ecgbl/ecgbl2016/ecgbl16-home.htm

 

日本教育工学会全国大会での活動予定

早いもので9月も下旬に入りました。今回の投稿からブログの見栄えが変わりましたが、ブログを改修しました。古いバージョンのMobableTypeをずっと使っているのが気になっていたので、夏休みに思い立ってWordpressに移行して、サーバの移転など少しずつ作業していてようやく運用開始して最初の投稿です。まだデフォルトそのままな感じで適当ですが、もう少し見栄えや使いやすさの改善を図りたいと思います。

さて、前の投稿でお知らせしましたように、明日9月21日から23日まで電気通信大学で開催される、日本教育工学会第31回全国大会の一般研究発表とSIGセッションで発表します。私の発表は初日午前の一つ目です。最近のCoursera、edXで提供されているMOOCの動向から、MOOCの特徴を活かした展開についての話題です。

MOOC配信による高等教育のグローバル展開の動向
○藤本 徹,荒 優,一色 裕里,山内 祐平 [東京大学]
http://www.jset.gr.jp/taikai31/program/program_session.php?tp=1a#a_1a-B102

それと今回は、SIG-05「ゲーム学習・オープンエデュケーション」の活動成果として、この分野の研究動向や研究リソースをまとめたSIGレポートを制作しました。一緒に編集をご担当いただいた北大の重田先生のチームの皆さんのご活躍で、見栄えの良い感じのデザインで仕上がりました。大会会場のSIG紹介ブースで無料配布します。目立つSIG紹介ポスターを用意していただいてますので、どうぞお越しください。

大会3日目 (9月23日)午後のSIGセッションでは、このレポートの内容をベースにした発表やディスカッションを行います。
http://www.jset.gr.jp/taikai31/program/program.php

SIGレポートの執筆者からの話題提供として、この分野の研究動向やこれまでに取り組まれた研究を紹介し、今後の研究課題や議論すべき点について検討します。
SIG未登録の方も気軽にご参加ください。

SIG-05: ゲーム学習・オープンエデュケーション
9月23日(水)14:10~16:40 会場:B102
コーディネーター: 藤本 徹(東京大学), 重田 勝介(北海道大学)

セッション構成(予定):
・趣旨説明
・ゲーム学習分野の動向:藤本 徹(東京大学)
・教科横断型学習・インフォーマル学習におけるゲーム学習研究事例:福山 佑樹(東京大学)
・オープンエデュケーション分野の動向:重田 勝介(北海道大学)
・MOOC事業におけるビジネスモデル要素:北村 士朗(熊本大学)
・「Open」にすることの意味:永嶋 知紘(北海道大学)
・グループディスカッション、全体総括

 

近々の研究発表・講演予定など

 毎日暑いですね。相変わらず目先の仕事に時間がとられて、なかなか先の予定など整理して考える時間を作れませんが、このまま原稿書きの宿題を片付ける夏休みに突入です。少しスローダウンしながら、あれこれ仕掛りの案件を片付けたいと思いますが、ひとまず近々の研究発表や講演の予定などお知らせします。
★「Minecraft x Education 2015」基調講演
まず、もう明日ですが、8月9日(日)に早稲田大学で開催されるMinecraft x Education 2015のカンファレンスで、午前の基調講演セッションで講演します。
Minecraft x Education 2015
http://www.mcedu.jp/
★「日本教育工学会第31回全国大会」研究発表
9月21-23日に電気通信大学で開催される日本教育工学会第31回全国大会の一般研究発表とSIGセッションで発表します。私が参加しているSIG「ゲーム学習・オープンエデュケーション」でこの分野の研究動向や研究リソースをまとめたSIGレポートを準備しています。大会会場で配布するとともに、SIGセッションではこのレポートの内容をベースにした発表やディスカッションを行います。
http://www.jset.gr.jp/taikai31/program/program.php
MOOC配信による高等教育のグローバル展開の動向
○藤本 徹,荒 優,一色 裕里,山内 祐平 [東京大学]
http://www.jset.gr.jp/taikai31/program/program_session.php?tp=1a#a_1a-B102
★ECGBL2015
ノルウェーのスタインシャーで開催される9th European Conference on Games Based Learningでカードゲーム「ジョブスタ」についての研究発表を行います。ゲームコンペにも出品して書類審査を通過したので、初日に審査プレゼンと公開デモがあります。ノルウェーに行くのは初めてで楽しみですが、発表もコンペもどうなることかヒヤヒヤです。
http://academic-conferences.org/ecgbl/ecgbl2015/ecgbl15-home.htm
Game-Based Learning for Youth Career Education Using a Card Game “JobStar”
Fujimoto Toru, Yuki Fukuyama, The University of Tokyo, Japan and Satoko Azami, Japan
 秋に予定されているこれらの学会発表や海外出張を終えた頃には、もう寒くなって年末が近づいているという状況で、慌ただしく1年が過ぎていきます。このほか準備中の出版予定や研究会なども頑張って前に進めて順次お知らせしたいと思います。

Ludix Lab「シリアスゲーム開発ワークショップ」(2015年度前期)開催のお知らせ

 昨年度開催しましたLudix Lab「シリアスゲーム開発ワークショップ」を今期も開催しますのでお知らせします。
 今期のテーマは「地域振興・地方創生」です。地域振興に貢献するゲームの企画を立てて、参加者で企画をブラッシュアップし、プロトタイプ開発を進めます。 
 企画趣旨はいたってシンプルで、「何かシリアスゲームを作りたいのだけど、独りでは進められないので、誰かと一緒にやれたら」というニーズにお応えする場です。4か月ほどの間に2時間×5回のセッションを行えば、結構な活動ができて、プレイアブルなデモは十分に開発できます。
 たとえば、昨年度のプロジェクトで開発した、キャリア学習カードゲーム「ジョブスタ」は、3か月間で企画の概要を固めて、プレイアブルなカードゲームが完成し、昨年度のワークショップ最終回に行った「プレイテスト大会」に出展しました。その後下記のような研究発表や導入実績につながりました。

★学会発表:
藤本 徹, 福山 佑樹, 浅見 智子 (2015) キャリア学習カードゲーム「ジョブスタ」の開発と評価. 日本デジタルゲーム学会2014年次大会予稿集, 110-113.
★導入実績:
大学生協「就活応援ステーション」ワークショップ, 大学生協インターカレッジコープ, 2014年11月
ベネッセ未来EXPOワークショップ, 幕張メッセ, 2015年3月28日
★メディア掲載:
週刊キャンパスTV#55 就活ワークショップ「ジョブスタ」を取材!2015年1月

 まだアイデアがないのだけど、という方も最初はアイデアソンから入って企画を進めるという形で進められますし、既に企画を持ち込んだ方と一緒にチームを組んで開発に参加することもできます。
 今期は火曜に変更して、下記のような要領で、月1回ほどのペースで、18時30分~20時30分に開催予定です。皆さんどうぞご参加ください。

拙稿掲載のお知らせ「ゲームの今」「放送メディア研究12」「日本教育工学会論文誌」

 年度末につみあがっていた〆切群を何とか乗り切って新年度に入りました。まだ残っているものを片付けつつ、新年度の活動を始動しはじめたところです。
 昨年後半にかなり研究成果のアウトプットで時間を取っていましたが、今年に入りその結果が日の目を見る段階に入ってきました。ここ最近で下記3本の拙稿が掲載されましたのでご報告いたします。
 刊行順にご紹介しますと、まず、ソフトバンククリエイティブから刊行された「ゲームの今 ゲーム業界を見通す18のキーワード」(徳岡正肇 編著)に「シリアスゲーム・ゲーミフィケーション.」という原稿を寄稿しました。タイトル通り、シリアスゲームとゲーミフィケーションの周辺概念の整理、これらの違いや、近年の動向について解説しています。年明けに入稿して2月に刊行されるというかなりのハイペースだったのですが、ゲーム業界の旬のテーマを豪華著者陣が寄稿して充実した内容の一冊に仕上がっています。
 次に、NHK放送文化研究所が毎年発行している「放送メディア研究」に「ゲーム学習の新たな展開」という論文を寄稿しました。これはシリアスゲーム、ゲーミフィケーション含めゲーム学習についてこれまでの動向を概観して、ここ数年に見られる新しい展開について焦点を当てて解説したものです。
 もう一つ、日本教育工学会論文誌に採録された「ゲーム要素を取り入れた授業デザイン枠組の開発と実践」が掲載されました。これは東京工芸大学のゲーム学科で担当した「シリアスゲーム論」の2011~2013年の3年間の「クエスト授業」の実践成果を論文化したものです。
 今年度は論文に加えて、ゲーム作品も商品化の準備をしています。一人の手で回らないことが増えてきて、お知らせなどが遅れがちになっていますが、少しずつ立て直していきたいと思いますのでよろしくお願いします。

「シリアスゲーム」刊行8周年記念トークセッションを開催しました

 先週金曜日の2月20日に、Ludix Lab主催の「『シリアスゲーム』刊行8周年記念トークセッション」を開催しました。ちょうど2007年2月20日から8年目でのセッションで、予定よりも多くの参加者の方にご参加いただきとても盛況な会となりました。ご来場くださった皆さま、どうもありがとうございました。
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 セッションでは刊行当時の状況を振り返り、Ludix Labフェローから本書の各章の解説、最近のシリアスゲームのその後の展開についての話をしました。
・シリアスゲームを軸とした異分野連携による活動の進展が国内にも拡がってきたこと
・シリアスゲームの効果に関する研究が進展していること
・学校へのゲーミフィケーション導入の動きが進んできている
という点について、事例を紹介しながら解説しました。
 最後に
・小説、映画、マンガ、アニメなど、他のコンテンツ産業と同様に「良質なエンターテインメント」として社会のためになるゲーム
・学校が対応できてない、人々の学びや成長を支える、「教育や社会問題解決のためのツール」としてのゲーム
・本来の意味での「ゲーミフィケーション」による、「社会の仕組みや活動を支える要素」としてのゲーム
といった、3つの方向でさらにこの分野での研究や実践が進んで行って、わざわざ「シリアス」をつけなくても、ゲームの有用さや価値に対する社会の認識が変わっていく過程にあるし、まだ未開拓領域の多い、さらに追求していく意義の大きいテーマであるという話で結びました。
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 今回のセッションを終えて、これまでこのテーマでの研究や実践を10年ほど続けてきて、途中どうなることかと思うこともありましたが、振り返れば実はそれなりに道が出来ていたのだなという心境です。自分が続けなければ停滞して消えていくのではないかと危惧する厳しい時期もありましたが、この方向で進んでいきたい人のために自分の持ち場を守るような気持ちで続けてきたところもありました。
 今も決して成功しているわけではありませんが、自分が関わらなくてもあちこちでシリアスゲームのイベント(今日も「シリアスゲームジャム」が開催中です)やプロジェクト(3月のDiGRA Japan年次大会では10件以上のシリアスゲーム・ゲーミフィケーション関連の研究発表が行われます)が行われるようになりました。それに何よりも、Ludix Labのフェローたちをはじめ、一緒に活動できる仲間が増えてきたことが、ここまでの活動の大きな成果だなとあらためて考えさせられるセッションでした。
 今回も企画して準備してくださったLudix Labフェローの為田さん、高橋さん、池尻さん、福山さん、それに運営スタッフの皆さんもおつかれさまでした。これからも引き続きよろしくお願いします。
 今年度のLudix Labの活動はここまでで一区切りですが、来年度もまた違う形で研究会やワークショップなどを企画したいと思いますので、皆さんまたどうぞご参加ください。
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アシスタントスタッフ募集

 人材募集・お仕事依頼のお知らせです。藤本のゲーム学習研究やプロジェクトの業務をサポートしていただけるアルバイトスタッフを募集しています。
 大学生以上の方で、下記の条件に合う方でしたら、応募資格の制限は特にありません。実働週2日程度~で在宅でできる仕事をお探しの方、ぜひご応募ください(または、フリーランス・法人の方へ仕事を発注する形が取れる業務もありますので、お問い合わせください)。
勤務場所:
・基本的に在宅勤務(週1回、東京大学本郷キャンパスで打合せ、Skype等で代用可)
業務内容:
・ゲーム学習に関する調査事務、資料整理
・MOOCに関する調査事務、資料整理
・その他研究プロジェクト等の補助業務、事務局対応
条件:
・週1回東大本郷キャンパスに打ち合わせに出席できること
・週2~3日(実働週10~20時間程度)作業できること(分量は応相談)
・在宅業務のため、まめに連絡、報告ができること
・Excel, Word, PowerPointで基本的な操作、文書や表作成ができること
※以下のスキルをお持ちの方を優遇します。
・ブログ更新や基礎的なWebサイト制作ができる
・英語資料を読んで情報整理ができる
・簡単なビデオ撮影、映像編集ができる
募集人数:1~2名
報酬:
・月額5万円~(経験・スキルにより優遇)
・打合せの際の交通費支給
勤務開始時期: 採用後即開始を希望
選考方法: 書類審査のうえ、必要に応じて面接で選考します。
採否の通知: eメールにて個別にご連絡します。
締切日: 2月23日(月)到着分まで
(採用者が決まり次第締切りますので早めにご応募ください)
応募方法:
eメールで自己紹介、簡単な履歴書(書式自由、形式よりもどんな人か分かる書類)を添えて、
tfuji <at> anotherway.jp
宛にご連絡ください(お問い合わせもこちらへお願いします)。

「シリアスゲーム」刊行8周年記念トークセッション開催のお知らせ

 拙著「シリアスゲーム」刊行から8周年を記念して、2月20日に東大本郷キャンパスでトークセッションを開催しますのでお知らせします。SNSで先に告知しましたが、当ブログでも改めてのご案内です。
 あれからもう8年も経つのか、という気分ですが、この8年でこの分野も大きく変わりました。これまでどんな変化があったか、これからどう展開していくのか、といった話題を提供して、皆さんとディスカッションしたいと思います。
 自分一人ではとても企画しなかったのですが、Ludix Labフェローたちが背中を押してくれて、一歩踏み出しました。仲間がいることのありがたさで、仲間と一緒にやれるようになったというのも、この8年での変化と言えます。なんで10周年でなくて8周年でやるのか、という気もしますが、5年では早かったし、10年だとまた違う展開になっていそうなので、一度総括してみるのによいタイミングではないかという気がしています。
 そんなわけで、2007年の刊行の時期からシリアスゲームを追ってこられた方も、最近新たに興味を持たれた方も、様々な関心や問題意識を持ち寄って創発できる場にしたいと思いますので、どうぞご参加ください!