「教育システムデザイン論・オンラインセミナー」開催のお知らせ

新学期の授業が始まりました。先日お知らせしました大学院授業「教育システムデザイン論」も開講しました。この授業の一環として企画したゲストセッションに、情報経営イノベーション専門職大学(iU)学長の中村伊知哉先生と、慶應義塾大学教授で超教育協会理事長の石戸奈々子先生に揃ってご登壇いただけるという貴重な機会となりましたので、オンラインセミナーとしてどなたでも参加できる形で開催いたします。これからの教育のあり方に関心のある方はどうぞご参加ください。

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「教育システムデザイン論オンラインセミナー」

開催趣旨:
東京大学 大学院情報学環の藤本研究室は、先進的な教育システムの研究と新しい教育システムデザインに取り組む人財の教育を行っています。
この度、今年度新規開講した大学院授業「教育システムデザイン論」のスピンオフ企画として、この分野の最前線で活躍されている方々を特別ゲストにお招きしてオンラインセミナーを開催します。

今回は、情報経営イノベーション専門職大学(iU:あいゆー)学長の中村伊知哉先生と、慶應義塾大学教授で超教育協会理事長の石戸奈々子先生に、iUのコンセプトデザインと超教育の取り組みについてご講演いただきます。貴重な機会ですので是非ご参加ください。

開催日時:2022年4月20日(水)16:50〜18:35
開催方法:Zoomによるオンライン開催
参加費:無料

内容:
ゲストセッション「iUのコンセプトデザインと超教育の取り組み」
ゲスト講師:
中村伊知哉氏(iU 学長)
石戸奈々子氏(慶應義塾大学教授/CANVAS代表、超教育協会理事長)

モデレータ:
藤本 徹(東京大学 准教授)

参加申込:
下記のWeb フォームからご登録ください(ご登録いただいた方へZoomURLをお送りします)。
https://forms.gle/ijj6UyfT9eQoQ9PF6

本セミナーに関する問い合わせ先:
東京大学 藤本徹研究室
ludix-contact@ludixlab.net

備考:
・ 本セミナーは、主催者の教育活動、広報活動のために撮影、録画を行いますので、同意の上でご参加ください。
・ 本セミナーの録画・録音はご遠慮ください(動画アーカイブや紹介記事を後日公開予定です)。
・ 録画には、Zoom参加者の名前などが含まれうることをご了承ください(公開されても問題ない表記にご変更ください)。

登壇者プロフィール:

中村 伊知哉(なかむら いちや)
iU 学長
1961年生まれ。京都大学経済学部卒、大阪大学博士課程単位取得退学。博士(政策・メディア)。
1984年、ロックバンド「少年ナイフ」のディレクターを経て郵政省入省。MITメディアラボ客員教授、スタンフォード日本センター研究所長、慶應義塾大学教授を経て、2020年4月よりiU(情報経営イノベーション専門職大学)学長。 
CiP協議会理事長、吉本興業HD社外取締役、京都大学特任教授、慶應義塾大学特別招聘教授、国際公共経済学会会長、日本eスポーツ連合特別顧問、理化学研究所コーディネーターなどを兼務。内閣官房、内閣府、総務省、文部科学省、経済産業省などの参与・委員を歴任。著書に『新版 超ヒマ社会をつくるーアフターコロナはネコの時代―』(ヨシモトブックス)、『コンテンツと国家戦略』(角川EPUB選書)など多数。
http://www.ichiya.org/

石戸奈々子(いしど ななこ)
慶應義塾大学教授/CANVAS代表
超教育協会理事長

東京大学工学部卒業後、マサチューセッツ工科大学メディアラボ客員研究員を経て、NPO法人CANVAS、株式会社デジタルえほん、
一般社団法人超教育協会等を設立、代表に就任。慶應義塾大学教授。
総務省情報通信審議会委員など省庁の委員やNHK中央放送番組審議会委員を歴任。デジタルサイネージコンソーシアム理事等を兼任。政策・メディア博士。
著書には「子どもの創造力スイッチ!」、「賢い子はスマホで何をしているのか」、「日本のオンライン教育最前線──アフターコロナの学びを考える」、「プログラミング教育ってなに?親が知りたい45のギモン」、「デジタル教育宣言」をはじめ、監修としても「マンガでなるほど!親子で学ぶ プログラミング教育」など多数。
これまでに開催したワークショップは3000回、約50万人の子どもたちが参加。実行委員長をつとめる子ども創作活動の博覧会「ワークショップコレクション」は、2日間で10万人を動員する。デジタルえほん作家&一児の母としても奮闘中。
https://creativekids.jp/

藤本 徹(ふじもと とおる)
東京大学大学院情報学環 准教授。専門はゲーム学習論、教育工学。慶應義塾大学環境情報学部卒。ペンシルバニア州立大学大学院博士課程修了。著書に「シリアスゲーム」(東京電機大学出版局)、「ゲームと教育・学習」(共編著、ミネルヴァ書房)訳書に「テレビゲーム教育論」、「デジタルゲーム学習」(東京電機大学出版局)、 「幸せな未来は「ゲーム」が創る」(早川書房)など。

大学院授業「教育システムデザイン論」を新規開講します

個人ブログの方を更新するのはしばらくぶりになりました。早くも新年度ですね。
今年に入ってから、学内の諸業務や兼務先の仕事の引き継ぎに追われましたが、ようやくメドが立ってきて、大学業務の慢性過多状態が幾分解消できました。

その分、教育に少しエフォートを割いてもやっていけそうな見込みが立ってきましたので、今年度から新規に大学院の授業を1科目立ち上げました。以前から暖めていたコンセプトで、先進的な教育モデルを調査して、新たな教育システムデザインの構想に取り組む授業です。

今年度は、この授業の趣旨にご賛同くださった4名の先生方に、とても豪華なゲストセッションをお願いすることができました。まず、中村伊知哉先生(情報経営イノベーション専門職大学(iU)学長)と 石戸奈々子先生(慶應義塾大学教授/CANVAS代表、超教育協会理事長)に新設の情報経営イノベーション専門職大学(iU)と超教育の取り組みについてお話いただきます。

次に、この授業の指定文献の著者である吉見俊哉先生に大学論をテーマにお話しいただき、さらに情報学環・学際情報学府の設立時のコンセプトデザインについて(この4月から関西大学に移られた)水越伸先生にお話しいただきます。

主に教室での学びのデザインを扱うインストラクショナルデザイン(instructional systems design)の対象領域よりも広範な、学校レベル、社会レベルでの教育システムのデザイン(educational systems design)の導入となる授業として位置付けています。この授業を起点として、何年かかけて数科目開発していくと、面白いカリキュラムができそうで楽しみです。

「文化・人間情報学特論X:教育システムデザイン論」シラバス

文化・人間情報学特論X/Special Seminars in Cultural and Human Information Studies X
講義名:教育システムデザイン論/Educational Systems Design
開講所属/Course Offered by学際情報学府
曜限/水曜5限(16時50分~18時35分)
開講区分/S1S2
単位数/2.0
学年/M1/M2/D1/D2/D3/D4
他学部履修/可
主担当教員/藤本 徹
教室/福武ホール B2階・福武ラーニングスタジオ2

授業の概要:
「あなたがもし、今の東京大学が存在しない世界線に飛ばされたとしたら、その世界であなたは、どんな教育システムを創造するか?」これがこの授業の基本的な問いである。
どんな教育が求められる世界が待っているかは、飛ばされてみないとわからない。それに、数年前の私たちからすれば、伝染病や戦争で世界秩序が大きく揺るがされる状況に直面する今日は、あたかも別の世界線にいるような状況にも見える。その世界であなたは、自分の子どもの世代のための最良の教育システムの根本的なあり方を模索するかもしれないし、東大の代わりに世界ランキング上位を目指す大学を作ろうとするかもしれない。次世代の教育を担う立場になることが避けられない状況が来るとしたら、今からできる準備は何だろうか・・・。
この授業では、大学を中心とする日本の教育システムを取り巻く問題状況について学び、新たな教育のあり方を追求する先進的な事例を調査する。そして各自で設定した社会課題に対応した教育システムの代替案を構想することが、この授業の目標である。

キーワード:
大学教育/高等教育、教育システムデザイン、教授システムデザイン、ゲーム学習、教育方法、オンライン教育、組織デザイン
Higher education, educational systems design, instructional systems design, game-based learning, instructional methods, online education, organizational design

授業日程:
1 (4/6)
オリエンテーション、システムとしての大学
2 (4/13)
教育を取り巻く社会課題のマッピング
3 (4/20)
ゲストセッション:「iUのコンセプトデザインと超教育の取り組み(仮)」
中村伊知哉先生(情報経営イノベーション専門職大学(iU)学長)& 石戸奈々子先生(慶應義塾大学教授/CANVAS代表、超教育協会理事長)によるゲスト講義、Q&A
4 (4/27)
グループプロジェクト活動(1)イシュー検討ワーク(1)
5 (5/11)
ゲストセッション:大学とは何か、そして何処へ向かうのか(仮)吉見俊哉先生(東京大学教授)によるゲスト講義、Q&A
6 (5/18)
ゲストセッション:情報学環・学際情報学府のコンセプトデザインと実装(仮)
水越伸先生(関西大学教授)によるゲスト講義、Q&A
7 (5/25)
グループプロジェクト活動(2)イシュー検討ワーク(2)
8 (6/1)
グループプロジェクト活動(3):テーマ決定、イシュー検討ワーク(3)
9 (6/8)
文献調査発表(1)各グループの発表、Q&A
10 (6/15)
文献調査発表(2)各グループの発表、Q&A
11 (6/22)
グループプロジェクト:リデザイン、プロジェクト進捗共有ワーク
12 (6/29)
事例調査発表(1)各グループの発表、Q&A
13 (7/6)
事例調査発表(2)各グループの発表、Q&A
14 (7/13)
グループプロジェクト活動(4)教育システム検討ワーク
15 (7/27)
グループプロジェクト最終発表、ラップアップ
(※文献調査・事例調査は、グループで選択した文献・事例で設定。ゲストセッションの開催日程、受講者数、授業進度により授業日程を調整。)

授業方法:
各回の授業は、論点理解のための講義とグループワークを組み合わせて進行する。文献調査発表、事例調査発表、構想プロジェクト発表とクラスディスカッションを行う。
授業中の活動内容やグループワークの体制の詳細は、受講者数に応じて調整する。
・ 文献調査:グループで指定図書の中から選択して、要点と論点を整理してクラス発表
・ 事例調査:グループで事例候補または任意選択した事例を選択して、当事者への取材を含む調査を行い、要点と論点を整理してクラス発表
・ プロジェクト:グループで任意に設定した社会課題に対応した教育システムの構想の要点と概要を準備してクラス発表

事例調査先候補例(設定テーマによりグループで選定):
・ Quest to Learn
・ Life is Tech ! (ライフイズテック)
・ N高等学校・S高等学校
・ ミネルバ大学
・ Coursera
・ 42 / 42Tokyo

評価方法:
各回のリアクションペーパー:50%
文献調査発表:10%
事例調査発表:15%
プロジェクト成果発表:25%

教科書、参考書、そのほかのリーディングリスト:
教科書:
吉見俊哉 (2021). 大学は何処へ 未来への設計 (岩波新書)

参考書:
吉見俊哉 (2011). 大学とは何か (岩波新書)
青木栄一 (2021). 文部科学省-揺らぐ日本の教育と学術 (中公新書)
苫野一徳 (2019). 「学校」をつくり直す (河出新書)
ピーター・センゲ (2014). 学習する学校. 英治出版
Schank, R. C. (2015). Make school meaningful–and fun! Bloomington, IN: Solution Tree Press.
Salen, K. T., Torres, R., Wolozin, L., Rufo-Tepper, R., & Shapiro, A. (2011). Quest to Learn: Developing the school for digital kids. Cambridge, MA: MIT Press. (open access)
https://www.researchgate.net/publication/273947121_Quest_to_Learn_Developing_the_School_for_Digital_Kids
他、テーマに応じて授業時に提示

履修のための条件(要求する事前準備):
前提条件はなく、大学を中心とする日本の教育システムの現状について、自分なりの問題意識をもって受講すること。
留学生や日本以外の教育システムの方が馴染みのある学生は、考えやすい国や地域の教育システムを軸にして、日本の教育システムに関連付けて考えても良い。