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生涯学習通信

「風の便り」(第93号)

発行日:平成19年9月

発行者:「風の便り」編集委員会


1. 試論 人間とは何か?-教育論の背景

2. 試論 人間とは何か?-教育論の背景 (続き)

3. 小学校教育の変革

4. 団塊の世代よ、あつまれ!!

5. MESSAGE TO AND FROM

6. お知らせ&編集後記

◆◆◆  第79回 生涯学習フォーラムin大山(鳥取)  ◆◆◆
平成19年10月8日(月)14:00−17:30
世話人:大山町教育委員会
於:大山青年の家
次第(案)
司会  大島まな (九州女子短期大学准教授)
1  主催者代表あいさつ
山田 晋 (大山町教育委員会)
2  参加者自己紹介
3  日程/プログラム紹介
4  事例発表:
(1) 「幼少年期の発達課題ミニマム」(各20分) 質疑(10分)
 大山町教育委員会 入江雅史
 大山西小学校教諭 佐藤康隆 (所子保育所で研修中)
(2) 「熟年者学び塾」−構想と展開発表各  (各20分) 質疑(5分)
 福岡県飯恷s教育委員会指導主事  山本健志
 九州共立大学      准教授  永渕美法
5  論文発表  幼少年のしつけ原理-「他者」を前提としたしつけ
 三浦清一郎    (50分) 質疑(10分)
6  夕食・交流会:大山ペンション「わくわく村」
 


■■■■■ 編集後記  しつけの原点  ■■■■■

  10/7(日)に実施する鳥取県大山町での第79回移動フォーラムに提出する幼児教育についての論文資料を読み進めている途中で、思い立って小さなパーティーを主催しました。数人のお客さまをお招きしたカジュアルで簡単な月見の宴です。
  お客様がお出でになった時に気になるのは飼い犬のカイザーです。彼は寝ても、覚めても、散歩の時も、執筆の時も、筆者の大の仲好しですが、めったに他所の人になつきません。時には、毛を逆立てて吠えまくるので、ほとほと困り果てます。その日も何とかおとなしくするようしつけようとしたのですが、最初の10分ぐらいはなかなかうまく行きません。そうした努力の途中で気がついたことがあります。
  今回参考にした育児書や幼児教育の参考書の大部分はしつけの目的を子ども自身の成長においています。例えば、「子どもの可能性を伸ばす」(*1)とか、「子どもの危機に立ち向かい、『子どもにとって最前の利益』を保障する」(*2)とか、「親とともに乗り越える問題行動」(*3)というようにしつけの第一目標を子ども自身のためとしているものが多いのです。
  しかし、カイザーのしつけは、原理的に本人(?)のためよりはお客様(他者)のためです。「お客様(他者)に迷惑をかけぬように」、「お客様と楽しく過ごせるように」しつけるのです。犬と子どもを一緒にすると、また、おしかりを受けるかもしれませんが、筆者が問うているのは原理の問題です。犬のしつけと子どものしつけとその目的原理に違いがあるでしょうか!?カイザーと同じく、子どものしつけも、第一義的には、「他者」のために行うものではなかったでしょうか?「他者に迷惑をかけない」ことが第一目標であれば、「やるべきこと」も、「やってはならないこと」も明確になります。家庭のしつけが社会を意識することになります。子どもに甘い、いい加減な妥協は許されない筈です。しつけが結果的に、本人の成長を助けることになることは疑いないとしても、日本の家庭教育(多くの保育所や幼稚園教育にも当てはまるだろうと思われますが・・)は肝心な目的の順位を勘違いしてこなかったでしょうか?
  しつけも教育も広く人間の「社会化」とよばれます。社会化は、ヒト科の動物を社会人にして行く過程と考えていいでしょう。社会化と言う以上、その機能は当然社会の存在を前提としています。それゆえ、「社会化」は、共同生活を前提とし、当人のためよりは、むしろ、他者のために行うのです。極論を恐れずに言えば、しつけも規範の教育も共同生活において他者に迷惑をかけないために行う予防措置の一つです。当人に引きつけていえば、社会において他者と気持ちよく暮らすための事前準備と言っていいでしょう。
  当然、カイザーのしつけは人間との共同生活を成り立たせるためのものです。大山フォーラムに提出する論文はこの視点から書いてみようと思い立った次第です。
* 1 毎日が楽しくなる子育てのルール、佐藤るり子、エックスナリッジ、2005、P9)
* 2 人間になれない子どもたち、清川輝基、えい出版社、「はじめに」
* 3 親とともに乗り越える問題行動、金子保、小学館、2002、タイトル


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(代表) 三浦清一郎 E-mail:  kazenotayori (@) anotherway.jp

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