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風の便り

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生涯学習通信

「風の便り」(第60号)

発行日:平成16年12月

発行者:「風の便り」編集委員会


1. 『 論 よ り 証 拠 』 総括−壱岐市立霞翠小学校のパイロット事業

2. 『 論 よ り 証 拠 』 総括−壱岐市立霞翠小学校のパイロット事業 (続き)

3. 60号記念小論 『風をつくった男』 宰相小泉純一郎論

4. 60号記念小論 『風をつくった男』 宰相小泉純一郎論 (続き)

5. MESSAGE TO AND FROM

6. お知らせ&編集後記

お知らせ

第53回生涯学習フォーラム(新年夕食会)
 フォーラム実行委員会では第25回中国・四国・九州地区生涯学習実践研究交流会を期して記念出版を行うためその準備を開始します。そのため当分の間、各地の事例発表のお招きはお休みとし、代わりに、過去の「交流会」の発表の中から注目すべき事例を選び、その意義と内容・方法を実行委員の持ち回りによりそれぞれが小論文の形にまとめて発表する形式を取ります。

日時: 平成17年1月18日(土)15時−17時、 のち「新年夕食会」
場所: 福岡県立社会教育総合センター
テーマ及び事例取りまとめ者:
    1 朝比奈   素材未定(福岡県立社会教育総合センター)
    2 恵良   素材未定(福岡県立社会教育総合センター)
    3 三浦清一郎 「生涯学習における高齢者支援策(仮)」

フォーラム終了後センター食堂にて「新年夕食会」を企画しています。ふるってご参加下さい。準備の関係上、事前参加申込みをお願い致します。(担当:朝比奈)092ー947ー3511まで。


編集後記  平成の団欒

  わが宗像に筆者待望の"ごはん屋"が登場した。藤沢周平の市井ものや平岩弓枝の「御宿かわせみ」に登場する江戸の"一ぜんめし屋"の平成版であろうと想像している。店は台所がオープンで調理の状況がお客から見渡せる。酒は出さない。それゆえ、長々と喋る人々は来ない。純粋に(?)めしだけを食いに来る。それも「はれ」の日の食事ではない。普段着で来る普段の家庭の延長の食事である。
  差し向いに座るテーブル席と、衝立で仕切られたカウンター席が半々である。独り者の客は横に並んで飯を食う。おかずは当然家庭料理の一品もので構成している。客は自分の好みで自由に組み合わせる。卵焼きから始まって、焼き魚、煮魚、野菜の煮もの、揚げ物、ほんの数品の刺身、じゃこおろし、おひたし、納豆に生卵に、数種類の漬け物と酢の物、軽い麺類、ごはんも大・中・小の選択がある。味噌汁は「ふつう」と「ぶた汁」のふたつである。値段もかつての"一ぜんめし屋"がそうであったであろうように他の食い物屋にくらべれば格段に安い。われわれ夫婦は歳を取って小食になったせいもあるが、二人で1、000円に納まる時が多い。風の冷たい、黒雲の低くたれこめた夕暮れには、どちらからともなく言い出して"ごはん屋"ヘ行こう、ということになる。行ってみるとさまざまな「群れ」に出会う。昼時であれば独り者や勤人の「早飯屋」なのであろうが、夕暮れ時は家族や質素な恋人たちや孤独な老人が多い。家族の多くは子ども連れであり、年寄り連れである。「部活」のこと、「塾」のこと、「試験」のこと、「友だち」のことなどが聞こえてくる。冬枯れの"ごはん屋"の風景は、まさに「平成の団欒」を見る思いである。
  時代は家庭の機能の多くを「外部化」した。分業はますます細分化し、まだ家庭に残っている生活機能を探す方が難しいくらいである。現代の家族における委託の筆頭は教育であろう。次は衣食住か。繕い物も、家屋の修繕も、衣服のクリーニングも、家の掃除も、レクリエーションも、食事も、年寄りの介護も、幼少期の養育も外部化の対象になっていないものはない。ささやかな食卓を囲んで家族や恋人達が密やかな会話を楽しんでいるのを見ると、"ごはん屋"は団欒の風景をさえ「外部化」したのではないかと錯覚する。普段はそれぞれに忙しく、すれ違いに暮らしている家族や恋人がようやく"ごはん屋"で揃うのが平成の団欒である。一人暮らしなのであろうか、それとも家族が出払っているのか、たった一人で食事をしている高齢者や男性の勤め人は、電線に並んだ寒すずめのようにカウンター風の長いテーブルで、黙々と食べる。誰一人言葉は発しない。さんざめく団欒のかたわらにあっては、"孤食"も、孤立も、孤独も際立つ。"歳を取ってもああいう飯は食いたくないもんだ"、と思わず感想を述べたが、現代の老人は好むと好まざるに関わらず、いつかは"ごはん屋"で孤独な飯を食うようになるだろう。
  万々が一、妻に先立たれて生き残った場合には、せめて老いたガールフレンドを得て一緒に来られるよう、趣味の活動にも、ボランティアにも精を出さなければならない。"がんばれよ!"と妻に茶化された年の瀬、夕暮れの"ごはん屋"であった。


『編集事務局連絡先』  
(代表) 三浦清一郎 E-mail:  kazenotayori@anotherway.jp

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