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風の便り

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生涯学習通信

「風の便り」(第55号)

発行日:平成16年7月

発行者:「風の便り」編集委員会


1. 「経験則」を超える

2. 「保教育」概念の創造

3. 二つの後日談

4. 夏休み自然体験プログラムの創造

5. MESSAGE TO AND FROM

6. お知らせ&編集後記

お知らせ

第48回  生涯学習フォーラム「この指とまれ」
● 日時: 平成16年8月21日(土)15時-17時、のち「センター食堂にて夕食会」
● 場所: 福岡県立社会教育総合センター
● テーマ: 地域における子育て支援の方法
● 事例発表者: 交渉中
● 参加論文:地域における子育て支援の条件(仮題) (三浦清一郎)

フォーラム終了後センター食堂にて「夕食会」(会費600円)を企画しています。準備の関係上、事前参加申込みをお願い致します。(担当:朝比奈)092ー947ー3511まで


編集後記 歳月

   30年ぶりで幼かった娘がお世話になった知人にお目にかかった。実にひとつの時代が廻ったのである。この間、毎年いただく新茶の香りと賀状だけが細々と続いた。当方も年に2回元気の印にお礼の「風の便り」をお送りするようになった。途中、何度かお目にかかる機会が生まれそうであったが、関わっていた大学の混乱やその他でいつの間にか季節が何回も巡った。長い歳月を隔てて昔の知人にお目にかかるのはなんとなく気が重い。正直なところ、お目にかかったとしてもお顔を思い出せないのである。
   その方のお友達も止めておきなさい、と彼女に助言をしたそうである。歳月は季節を隔てた人間の間にどのような足跡を残すのか誰も知ることはできない。筆者には、逢わない方がいいよ、と助言したお友達の気持ちがよく分る。
   しかし、お目にかかったのである。30年ぶりの再会である。歳月がお互いをどのように変えたのか、それぞれに興味があったのであろう。時間のやりくりをし、連絡を取り合って努力をした。お目にかかった瞬間お顔を思い出し、お互いが同類であることを確認した。人生に向かい合う共通の匂いがするのである。この種の直観に頼ってしくじったこともあるが、大抵は間違いがない。人は出会いの瞬間から己の嗅覚が指し示す方向に行くしかないのである。再会の瞬間から「知人」は「友人」であった。お目にかかれて何よりでした、と万感の思いを込めて申し上げた。相手が同じような思いを感じて下さったか、否かは尋ねそびれた。
   ホテルのラウンジの巨大な窓の向こうには夏のもみじの緑が鮮やかに風に揺れている。その日の東京は39度の猛暑だとテレビが報じていた。風景が涼しげに見えるのは、当方が冷房の効いた室内でアフタヌーン・ティーを楽しんでいるからである。過ぎ去った日々のお互いの物語も実際には猛暑に喘いでいる木々と同じである。今は室内から眺める遠い風景に重なっている。ひとつひとつの物語は戦いであり、修羅場であった。私は2番目の娘を亡くしたこと、石をもって追われるごとくに大学を辞したことなどを語った。今は「敗者復活戦」の最中にあります、とも申し上げた。すでに70歳になられた友人も控えめに自分史の断片を語った。最後は「もやい墓」に入る準備も整いました、といって微笑した。お互いの距離といい、年齢といい、「アフタヌーン・ティー」は今生の別れである。再びお目にかかることはないであろう。素敵に年を取ることはなんとも難しいが、中にはそれがおできになる方もいらっしゃるのである。歳月から逃れることができないとすれば、すぐれた友人をモデルにしてがんばるしかあるまい。「風の便り」も水泳も、衰弱に向かって降下するわが肉体にむち打って活動に邁進するしかない。

  老人を歌った狂歌は言う。

  『くどくなる、気短になる、愚痴になる、心は僻む、身は古うなる』、である。

  高齢社会は一筋縄で行くはずはない。


『編集事務局連絡先』  
(代表) 三浦清一郎 E-mail:  kazenotayori@anotherway.jp

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