HOME

風の便り

フォーラム論文

編集長略歴

問い合わせ


生涯学習通信

「風の便り」(第54号)

発行日:平成16年6月

発行者:「風の便り」編集委員会


1. 「現代の寺子屋」−民間活力の活用と総合的「子育て支援」−

2. 失った口上、忘れた舞台

3. 子どもの復讐―なぜ人間の中の「悪」を教えないのか?

4. 教育行政の面従腹背

5. 分野横断型生涯学習プログラムの創造、MESSAGE TO AND FROM

6. お知らせ&編集後記

お知らせ

第47回生涯学習フォーラム「この指とまれ」
● 日時: 平成16年7月17日(土)15時-17時
● 場所: 福岡県立社会教育総合センター
● テーマ: 夏休み自然体験プログラム
● 事例発表者:福岡県穂波町 「少年不便の家」プログラムの思想と方法(仮)
● 参加論文:低学年を含む異年齢混合キャンプの指導と方法 (仮題)(報告書 三浦清一郎)
フォーラム終了後センター食堂にて「夕食会」(会費約600円)を企画しています。準備の関係上、事前参加申込みをお願い致します。(担当:朝比奈)092-947-3511まで


編集後記 挑戦者の誉れ

 人生の終わりが見えて来ると二つの思いの間で心が揺れる。「もう少し頑張ろうか」という挑戦者の意志と「この辺でよかろう」という「足るを知る」諦念の気分である。筆者はどちらも大事だと思ってどこかでバランスを取ろうとしている。生涯現役が可能だとは思わないが、やれるところまでやってみようか、という思いである。今回は挑戦者にお目にかかった。
 「出藍の誉れ」は持って生まれた才能の誉れである。「挑戦者の誉れ」は培った意思と精進の誉れである。熊本県阿蘇の研修会で阿蘇郡社会教育委員連絡協議会会長にお目にかかった。松本末男さん、80歳である。社会教育委員、公民館長の高齢化が目立つ昨今、筆者は失礼は承知の上で、年寄りは若い方々と交替して、公職は引くべきであると提案する。情報化の時代にコンピューターを習おうとしない委員さんは辞任すべきであるといい、男女共同参画の時代に家事ひとつ担当しない男性委員は社会教育で発言するな、とも言う。地方の生涯学習支援財政が逼迫した現在、社会教育委員はボランティアのひとつぐらい実践なさっては如何でしょうか、ともいい続けている。そうすると中には、社会教育委員もボランティアのようなもので・・・、などという恍けた年寄り委員がいて、呆れ返る。社会教育を停滞させているのは社会教育委員の不勉強と時代錯誤と老いである。行政職員を奮い立たせて生涯学習の方向など示せるはずはない。逆に、多くの行政職員は法律で決まっているので仕方なく、社会教育委員の「お守」をしているぐらいにしか思っていないのである。
 松本さんは違った。この30年、阿蘇キャンプ協会長をお務めのかたわら、阿蘇町の町営キャンプ場「坊中野営場」の責任者として無償のボランティアを続けている。「ボランティアただ論」に断固反対している筆者は「いくらなんでも30年間ただはないでしょう!」と申し上げたら、「金をもらったら当方の主張ができなくなる」、「これも作戦の内だ」とおっしゃる。キャンプ場を閉める冬の間もほとんど欠かさず野営場に出かけて異常の有無を見回るという。自分のためであれば趣味もスポーツも継続できる。人間の欲求に鑑みてできない事ではない。又、給料や手当をもらってやるのであれば、生活の基本だから継続はいわば当然である。辞めてもらいたい公民館長や社会教育委員が辞めないのは、肩書きと金が理由である。しかし、責任を伴う無償の社会奉仕の継続は簡単ではない。もちろん、健康だからできたのであり、活動を続けたから健康も維持することができたのである。「役に立つ事」は「必要とされる事」であり、必要とされれば勉強もせざるを得ない。松本会長のご提案で研修会は午後のディスカッショングループを組織化したという。物事は「10年為し難し、20年偉大なり、30年歴史となる」である。いろいろ理屈は言えようが30年間の継続はすさまじい。様々な条件をすべてクリアした上で、なおかつ強烈な意志を必要とする。まして、高齢期の活動である。松本さんの意気軒昂は挑戦者の誉れである。生涯現役などあり得ないと思っている筆者であるが、熟年の「生きる力」を鍛えて自分も見習いたい、と申し上げた。松本さんが発する気のエネルギーに感化されたのである。一隅を照らす、とはこのような事なのであろう。日本の叙勲制度にはこうした行為が対象になるか、否かは知らないが、高齢社会の新しい叙勲基準を作ってもいいだろう。
 ところで、筆者が提案した生涯学習の総合プロジェクト;「高齢者のボランティア指導を活用した子育て支援」事業の主旨と方法は御理解いただけたのであろうか?せっかく昼食を御一緒したのに、会長のチャレンジ・スピリットに聞き惚れて、肝心の研修会提案の反応をお尋ねすることを忘れた。
 「九州横断特急」には3人しか客が乗っていない。降りしきる雨に煙って外輪山も何も見えない梅雨の阿蘇、一の宮であった。
 


『編集事務局連絡先』  
(代表) 三浦清一郎 E-mail:  kazenotayori@anotherway.jp

*尚、誠に恐縮ですが、インターネット上にお寄せいただいたご感想、ご意見にはご返事を差し上げませんので御寛容にお許し下さい。  

←前ページ    次ページ→

Copyright (c) 2002, Seiichirou Miura ( kazenotayori@anotherway.jp )

本サイトへのリンクはご自由にどうぞ。論文等の転載についてはこちらからお問い合わせください。