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生涯学習通信

「風の便り」(第52号)

発行日:平成16年4月

発行者:「風の便り」編集委員会


1. 「学力」を巡る自問自答/学力の周辺

2. 地方政治の2大条件:「介護の社会化」による財政破綻と「養育の社会化」の欠如に伴う「少子化」の進行

3. 変化は「飛躍」する:「アンケート調査」の修正

4. 定年者の「地域帰還」歓迎オリエンテーション−新入生歓迎クラブ説明会のように!−

5. 第45回生涯学習フォーラム報告:「学力」とはなにか?「学力」向上の方法とはなにか?

6. お知らせ&編集後記

第45回生涯学習フォーラム報告「学力」とはなにか?「学力」向上の方法とはなにか?
 

   第45回フォーラムは「学力」問題を取り上げた。「学力」についてはすでに広範囲な国民が心配している。文部科学省の政策も紆余曲折している。生涯学習も、子育て支援も、「学力」を抜きに子どもの健全育成を論じることは出来ない。事例発表は福岡県芦屋町の中島幸男教育長にお願いした。芦屋町においては少なくとも教育行政主導で「学力」向上の努力を集中的に実施している。その効果も明らかである。論文参加は「『学力』についての自問自答ー学力の構造と学力向上の条件ー」(三浦清一郎)である。


1  「学力」向上フロンティア宣言                                  

 芦屋町は町内すべての学校に文部科学省の研究指定・委嘱を受け、併せて町教育委員会としても指定研究・委嘱を行った。目的は学習指導要領の趣旨の実現である。町は「学力向上フロンティア」の町になることを宣言した。
中島教育長は当面向上させるべき「学力」を「読み・書き・計算」の力に限定した。問題の分析は、学力の「支援」策は存在したが、「指導」が足りなかったのではないか、というところから出発した。そこで「4つの重点」と「10の提案」を行った。「重点」は努力の方向である。第一に「わかる授業」への工夫と改善、第二に「個別学習教材」の開発、第三に「家庭学習」の充実のための協力体制の確立、第四に「学力実態調査」の実施である。「10の提案」は小中学校における「具体的な手だて」である。


2  二年次を終了                                         

  2年間を終了して効果は明らかであった。中学校の新入生のテスト結果はすべての調査科目で平均点が上昇した。この間、継続的に学力調査を実施し、制度的には各学校に町が雇用した非常勤講師を配置した。全教職員の研修会も、学年別の小学校教員の研修会も実施した。当然、職能別の研修会も実施した。校長には毎学期2回の実践についての「プレゼンテーション」が課された。目標を大・中・小項目に分類した「教育改革推進プラン」も年度ごとに策定し、公表している。「プラン」の大前提は3つである。「知・徳・体のバランスのとれた児童生徒」、「多忙感を充実感に変える熱意と工夫のある教師」、「地域・保護者から信頼される学校づくり」である。
  これまでの学校改革論は「計画倒れ」が多い。「研究指定報告」は抽象的で具体的な成果を伴っていない。芦屋町はその傾向を逆転した。目標を具体的に設定し、結果がすべてを物語っている。教師も変わり、保護者の信頼も得られていることは想像に難くない。
  筆者が呼んでいただく講演会に「大人が変われば、子どもも変わる」という標語がたびたび登場する。芦屋町は「学校が変われば、子どもが変わる」ことを証明した。「学力」を支えているのは「子どもの総体」だからである。問題は「大人」も、「学校」もなかなか変われないことである。せめて子どもの指導方法だけでも変えることはできないか?筆者の論文はそこに焦点を当てて「学力」についての自問自答をした。要約は巻頭小論にまとめた通りである。■
 


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今月も数名の方から「風の便り」の申込みをいただきました。ありがとうございました。念のための確認ですが、「風の便り」は1月から12月のサイクルの1年更新です。途中から1年指定の申込みをいただいた方には事務上の煩雑さを避けるため、不躾でしたが、郵送料を送り返しております。あしからずご了承下さい。

    お礼が遅くなりました。過分の郵送料を有難うございました。

鳥取県大山町 入江 雅史様  福岡県宗像市 竹村 功様、  同 田原敏美様

福岡県飯塚市 高橋 浩一様  宗像市 古野ミワ子様(過分の郵送料を頂戴し、恐縮しております。御指示のありました4名の方々への発送は済ませました。)

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