JSET参加記: Day 3:教育工学分野のゲーム研究について(2)

 前回のエントリーの続きで、JSET最終日午後の課題研究セッションの話です。午後の課題研究セッションでは、午前に話したオンラインゲーム利用教育の研究を発展させて昨年から進めてきた、歴史探究学習における学習支援方法の研究について発表しました。
 こちらの発表も、この研究の趣旨として説明が必要なところと、面白いところとして押さえておきたいところなど、トピックを盛り込みすぎてしまったようで、どんなものを作ってどんな結果を得たかを説明する時間が足りずに終わりの方がアタフタとかけ足の説明になってしまったのが残念でした。
 後半の総合討論で補足する話ができたので、最後まで参加していただいた方には少しは納得がいったかもしれませんが、発表を聴いただけでは、この研究がなぜゲーム研究の枠内で扱われるのかすらわかりにくかったかもしれません。今回は説明のツボをやや外したかなと反省しました。
 コーディネーターの山田先生にうまく趣旨説明から発表後のリードまで進行していただいたおかげもあり、とてもよい議論ができました。セッション全体の様子については、山田先生がブログでうまくまとめて紹介されてますので、そちらもご参照ください(記事リンク)。


 授業に教材や活動としてゲームを取り入れることについての関心は高まっているのですが、ゲームにすることで何が良いのか、自身の教育の文脈に合わせた形で適切なものがあるのか、どうやって導入すれば効果があげられるのかなど、実施に向けた多くの疑問があります。総合討論ではそのような数々の疑問について議論できたのがよかったです。単にやってみた、よい面があった、というところから一歩進めてゲームの教育利用を広げていくためには、ゲームの良さについてもっと整理した議論ができるように、これから知識基盤整備を進めていく必要性を認識してます。

 今回のJSET参加は、知識面でも人的なネットワークの面でも得るところの多いとてもよい機会だったのですが、自分の力不足のせいで伝えたかったことをどこまで伝えられたかかなり心もとないところで、発表者としては反省するところも多かったです。両方の発表を聴いてくださった青山学院大の山根さんがブログで「藤本氏の学会報告からは,実験報告の先の実践をどうするかという問題意識を強く感じた」とコメントしてくださっているのを見て、伝えたかったこの部分の問題意識はかろうじて伝わったのかなと少し安堵しました。限られた時間で最も伝えるべきところをうまく伝えることは研究者として必須のスキルなので、さらに修行を積んで腕を磨きたいと思います。
 それと今回は、一緒に研究する仲間を増やすことが大事だと気付く機会でもありました。MMOでもソロプレイでは効率が悪かったり達成できないクエストがあったりしますが、研究者のキャリアもそれと同じで、パーティを組んでの協力プレイができる仲間がいないと出来ることの幅が狭まってしまうので、自分の強みを活かして他の研究者のプレイの質が上がるような在り方で自分のプレイの幅を広げていく必要性を改めて感じました。
 また当面しばらくは、引きこもって論文執筆を続行します。同時期に入った院生はだいたい卒業してて、「後から来たのに追い越され~♪」の状態になってきて結構焦っているんですが、なかなか片がつかずに力不足を感じる毎日です。普段から成績優秀な人はすんなり通過できるんだと思いますが、いつもギリギリで乗り切ってきた身としては、この最後の難関はごまかしが効かず、そう一筋縄ではいきません。まあ、息の続く限りもう少し頑張ってやっつけて、そのあと今回発表した研究もあらためて論文にまとめて発表したいと思います。