先月セガから出た「プロ野球チームをつくろう! 2」をプレイしだして3週間ほど経った。このゲームは、GMとなって球団経営をして日本一を目指すプロ野球経営シミュレーションゲーム。今週、工芸大の「シリアスゲーム論」の授業にゲストで来ていただく馬場保仁さんがこのゲームのプロデュースをされており、予習も兼ねてプレイしている。
ニンテンドーDS用なので、出張や外出にあちこち持ち出してはちょっとした空き時間にプレイしている。このちょっとした時間にプレイできる点がとてもよくて、ひと月でも一週間でも進めようと思って手が出てしまう。連勝してたりすると、つい熱くなってやめ時を逃してしまうのが悩みだったりすることもある。
ゲームのいちばん最初に球団と本拠地を選ぶのだが、当然ながら30年来応援しているヤクルトスワローズを迷わず選んだ。本拠地は、地元の大分県にしようかと思ったが、たしか以前のPS2版の時に地方だと集客が悪くて苦労した気がしたので、ここはリアルに東京を選択。監督とスカウトは設定そのままでとにかくプレイ開始。
プレイしはじめのところでは、うまくやってやろうにも何をやればいいのかがわからず、とりあえず適当なオーダーを組んで日程を進めるのだが、これが勝てない。苦し紛れに抑えの五十嵐を放出して阪神の鳥谷を取ってきてみたり、高額の外国人投手を雇ったりしてみるが、それでも連敗続き。初年度の楽天イーグルスの田尾監督のような苦悩を味わう。
試合では、観戦しながら采配に介入することもできるし、経営のみに徹して試合は飛ばすこともできる。采配といってもコツがわからず、ランナーが出たらエンドランを連発するくらいしか今はできないのだが、余計な介入をしてヘボ采配で負けると悔しいし、起用した投手がきっちり抑えて勝ったりするとやたらうれしくなる。試合もどんどん飛ばしながら見れるのでストレスなく楽しめる。さすがに毎試合見ていると時間がかかるので疲れたらどんどん日程を進めていって、1年目はまさに初年度の楽天のような負けっぷりで最下位に終わった。
2年目に入っても苦しい経営が続きながらも、徐々に何をやればいいのかがわかってきて、試行錯誤しつつ、当初わけもわからずに放漫経営で傾いた球団をなんとか維持。それでも負けが込んだのが響いて、2年連続の最下位に終わった。2年目の終りにナゾの高額融資で5億円借りて、それで経営を立て直そうとするも、返済期限の頃には資金を使い切っていて返済できず、あえなく破綻。セーブしたところからやり直し、高額年俸選手を大量解雇、安いスタッフに総入れ替え、金銭トレードで選手を切り売りしてようやく資金ショートを免れて球団経営を継続。シーズンオフに収支予想が出てきたのを参考に、資金のメドを立てられたのがよかった。
3年目はドラフトで手に入れた若手の活躍もあって、連勝できるチームになってきた。まだなんで連勝しているのかよくわからないうちに勝ち続けたり、そうかといえば負けだして連敗が続いたりする。この辺りから細かいデータにも目がいくようになってきて、資金の使い道も無駄が減ってきた。外国人選手は取らず、ひたすら若手の育成に注力。程よく育った選手を二人セットで放出して他チームの中堅選手を獲得して主軸を強化するなど、何となくコツらしきものが見えてきた。8連勝で最高4位まで上がるも、最後に失速して5位でシーズンを終えた。
4年目も相変わらず破たん気味の経営が影響して選手の補強がもうひとつ、Aクラス入りを目指して戦うも、5位と6位で一進一退。さすがに選手層の薄さが響いて、シーズン後半にケガ人続出が響いて連敗、最下位転落してそのままシーズンを終えてしまった。こういう状況でチームを任されて、数年でAクラスを狙えるチームを作っていく野村監督の偉さを思い知らされた。
そういう感じで5年目まで来たところなのだが、このゲームの出来には感心させられるところが多い。ものすごい情報量のゲームなのに、初心者でも比較的すんなりと入ってプレイできるように配慮されている。最初からうまくやろうとしすぎると疲れるので、とにかく負けても何でも続けてプレイするとよい感じだ。情報量に圧倒された状態から、だんだんとコツをつかんで物事が構造化して見えてくるまでの過程をハイスピードで経験できる。最初から同じ情報を提示されているのに、最初は意味がわからなかったものがだんだんとわかるようになってくるのが面白い。このゲームのプレイ過程は、学習の観点で見ても示唆に富んでいる。いつも思うのだが、このゲームのようによく作り込まれた優れたゲームをプレイすると、常に何か学習面の示唆が得られる。最近忙しくてゲームに触る時間が圧倒的に減っているのだが、それでもやはりゲームは続ける必要があるなと反省した。
この野球つく2をプレイしていると、いろいろと語りたくなって、まだいろいろと書きたいことが出てくる。それと最近すっかり冷めていたプロ野球への思い入れが復活しそうな感じになってきた。バッティングセンターとか行って身体動かしたくなってきたし、野球関連のものに気が向くきっかけを与えてくれた。
本作品で登場した新モード「野球つくJapanロード」は、他のプレイヤーと一緒に対戦プレイできるのだそうで、これをやるとさらに野球への関心が盛り上がりそうな感じだが、あいにくと一緒にプレイする仲間がいないのでまだ試していない。この対戦機能も合わせて、おそらくこのゲームの目指すところには、プレイする人の野球文化の盛り上げがあるのかなという印象を受けた。それがこのタイトルのテーマの「野球LOVE」の意図するところでもあったりするのだろうか。その辺りのことも今週の授業の時にプロデューサーの馬場さんに伺ってみたい。