先日、ペンステートの芝草学専攻の話を書いてみて、さて日本にもこの分野の学会はあるのだろうか?と不思議に思ったのでちょっと調べてみた。
すると、日本芝草学会というのがあった。学会という組織においては、その取り組みとして重要な分野ごとに「部会」や「分科会」なるものを作って活動するのが通例のようだが、この日本芝草学会には「ゴルフ場部会」、「校庭芝生部会」、「公園緑地部会」「グラウンドカバープランツ緑化部会」という4つの部会があるようだ。
日本大学生物資源科学部植物資源科学科で開講されている芝草学の授業ページを見てみると、日本の芝草学の現状は次のようなことだそうだ。
「アメリカでは主要な大学の農学部には芝生の研究室がありますが、日本では芝生に特化した研究室はありません。 独立した科目として芝生や芝草の講義がある大学もほとんどありません。」
「日本の大学には芝生に特化した研究室はありません。芝生に関心のある学生は各地の大学に1人、2人と散らばっています。」
「芝生・芝草という独立した専門領域はないといってよいでしょう。日本芝草学会には、芝生・芝草をキーワードに、造園、草地、作物、土壌、肥料、植物病理、昆虫、雑草、建築、社会学、教育学など様々な人が集まり、学際的に顔を合わせる場となっています。」
「企業からの参加者が多いのもこの学会の特徴です。種苗、芝生管理、芝生関係資材の生産や流通など様々な仕事を持つ人が集まっています。」
(ソース:芝草学(日本大学生物資源科学部植物資源科学科))
ということだそうだ。関連する農学系科目の中で一つの単元として扱われている学際的分野のようだ。
日本芝草学会は、年に2回大会を開催しているそうだ。たとえば2008年春季大会での各部会のテーマは次のようなものが掲げられている。
・ゴルフ場部会「グリーンのストレスを和らげる管理手法」
・公園緑地部会「公園緑地の芝生管理 現場からの報告II」
・グラウンドカバープランツ緑化部会「拡大するグラウンドカバープランツの緑化用途」
・校庭芝生部会「東京都の校庭芝生化を事例とした施策と技術の最新情報」
大会のシンポジウムは「芝草学の現状と将来」と題して、次のような発表が行われている。
・「芝草育種の現状と実際」
・「芝草の養分吸収と土壌」
・「低コスト芝生グラウンド造成の試み」
・「世界の芝草学 現状と将来」
実際聞いてみたら素人にはチンプンカンプンなことが多いと思うが、なんとなく単純に好奇心として参加してみたくなるような内容だ。研究発表は、農薬の開発、土壌改善、新しい手法の提案、ユーザーの意識調査など多岐にわたっている。実践研究的なものが多い感じだ。
なかなかよその分野の学会でどんなことをやっているかなど見る機会は多くないが、こうして見てみると妙に新鮮な感じがする。たまに全く異なる分野の学会がどういうことをやっているかを見てみると、自分の分野のことを少し違った目で見ることができるようになるという効果がある気もする。ネタに困るアカデミック系ブロガーには、「学会探訪ブログ」みたいないいブログネタにもなりそう。誰かやってくれたら、僕はきっと毎回楽しみにして見に行く。