HOME

風の便り

フォーラム論文

編集長略歴

問い合わせ


生涯学習通信

「風の便り」(第73号)

発行日:平成18年1月

発行者:「風の便り」編集委員会


1. 「生きる力」の構成要因と順序性

2. 安全のための「学校宣言」

3. 「生きていれば良いこともある」か!?

4. 第63回フォーラムレポート、「豊津寺子屋」有志指導者健康調査

5. MESSAGE TO AND FROM

6. お知らせ&編集後記

★★★ お知らせ  ★★★

* お知らせ1 −ご注意− 第65回生涯学習フォーラム

* 入試、合併、卒業式などの関係で3月の日程は第2土曜日に変更になっています。
日時: 平成18年3月11日(土)15時〜17時、
研究会終了後、センターレストラン「そよかぜ」にて夕食会を予定しています。どうぞご参加ください。
場所: 福岡県立社会教育総合センター
事例発表: 1 「福岡県穂波町教育行政の五年間ー実践の成果と評価の方法」
(福岡県穂波町教育委員会 森本精造教育長他)
       2  福岡県立社会教育総合センターの事業計画評価(交渉中)
論文発表:  2007年問題2: 熟年の危機と生涯学習(三浦清一郎)
* 会場その他準備の関係上、事前参加申込みをお願い致します(092-947-3511担当:恵良)。

* お知らせ2 2月は「移動フォーラム」です
* 第64回生涯学習移動フォーラムin山口
  日時: 平成18年2月25日(土)〜26日(日)
  場所: 山口県立生涯学習推進センター(山口県セミナーパーク)
  申込みはTEL:083-987-1730,FAX:083-987-1760まで
  詳しいホームページ  http://www.hito21.jp/

* 移動フォーラム
  時間: 2月26日(日)9:00〜10:00
  内容: インタビューダイアローグ「いま、少年教育プログラムに求められるものは何か?なぜか?」
  登壇者:  菊川律子(福岡県立社会教育総合センター所長)
        正平辰男(東和大学教授)
        岡田直美(山口県児童センター館長)
  コーディネーター: 三浦清一郎(生涯学習・社会教育研究者)

*大会には上記プログラムの他「コンサート:金子みすずの世界」、20件の実践事例の発表、記念講演:映画監督-佐々部 清、落語等盛り沢山です。ふるってお出かけ下さい。
 


◆◆◆◆◆  編集後記 見ごたえのある風景  ◆◆◆◆◆

  年末に引越しをしたことはすでに書いた。その時に見ごたえのある人間の風景を見た。人間に「風景」があると教わったのは、「空海の風景」などタイトルにまで風景を使用された司馬遼太郎さんの小説であるが、なるほどその通りであると実感した。

  我々は引越しに先立ち主だったものを捨てることが精一杯で、あとはすべて専門の業者さんにお任せすることにした。建設会社の紹介で「サカイ引越しセンター」がやってきた。テレビであの軽薄で騒がしいコマーシャルを見ていたのでいささか心配であったが、杞憂であった。久々に見ごたえのある働く若者の風景を見た。10日くらい経って本社から当日の評価票の記入依頼が届いた。伸びる組織は成すべきことを果している。筆者は最大の賛辞を書き送った。次の機会も必ず「お宅」にお願いします、と書いた。そういえば「霞翠小学校」でも、「豊津寺子屋」でも見ごたえのある人間の風景を散見した。人間の意志とエネルギーが基本であることは引越しも教育も変わりはない。

  「サカイ引越しセンター」の若者達は朝の8時に来て夜の11時まで休みなく働いたのである。途中でどこかの応援が必要になったのか主任格の一人があいさつをして現場を去った。残りは3人である。ほぼ30年にわたる荷物の蓄積は膨大である。さすがのプロも下見の見積もりの量を間違ったのではないだろうか!お昼が来ても三分の一も終ってはいない。進捗状況の遅れに気付いた若者達は昼も食わずに働き続けている。途中から事務・営業担当の女性が見回りに来たので、見兼ねて弁当ぐらい買って来てやりなさいと指示した。コンビニか、ほっかほか亭か、彼女は簡単な弁当を買って来た。お茶やジュースを出して労をねぎらったが、20分ぐらい休みを取っただけでまた働きに戻った。朝から観察していて並の働き方ではない。きびきびと踊るように動く。息荒く走るように運ぶ。全員がである。食べた弁当だけではどう考えても腹が持つわけはない。我々は呆れかつ感動した。妻がマクドナルドまで行け、というので筆者が使いに走った。チーズバーガーとフィレオフィッシュとフライドポテトを山ほど買い、コカ・コーラを引っさげて帰った。腹をすかして待っている子どものところへ帰るおやじのような気分であった。これも15分ほどで平らげて三人は再び仕事に戻った。こんどは文字どおり引越し荷物の箱を持って走り出した。営業担当の女性も見るに見兼ねてハイヒールのまま、トラックに乗り込み、荷物の受け渡しを始めた。午後9時頃に2人の応援が来た。どこかの仕事を終えたあとに違いない。そのまま仕事は夜の11時まで続いたのである。荷物の置き場を指示しているだけの我々でさえすでに体力の限界であった。御近所の迷惑も考慮しなければならない。思わず、あらためて別料金は払うから今日はもう帰りなさい、と言った。しかし黙々と働くことを止めない。最後は逆らわずに働く群像の風景に見とれた。顔の汗も拭わず、テレビ、冷蔵庫、本箱など主だったところのふき掃除までしてこれで良いでしょうか。残したところはないでしょうか、と年上株の若者が言った。妻は晩飯と晩酌に十分足りるだけの金をちり紙に包んでひとり一人の若者に渡した。引越し代の節約どころではなかったが、爽やかな、うれしい金を使った。若い世代をひとくくりで評価することは危うい。彼らを鍛えたプログラムに大いに興味がある。筆者も己の甘さに気付かされたが、空理空論の能書きに明け暮れる教育界も「サカイ引越しセンター」の現場に行き、若者の汗に交じって彼らの息づかいを聞くべきであろう。
 


『編集事務局連絡先』  
(代表) 三浦清一郎 E-mail:  kazenotayori@anotherway.jp

*尚、誠に恐縮ですが、インターネット上にお寄せいただいたご感想、ご意見にはご返事を差し上げませんので御寛容にお許し下さい。  

←前ページ    次ページ→

Copyright (c) 2002-, Seiichirou Miura ( kazenotayori@anotherway.jp )

本サイトへのリンクはご自由にどうぞ。論文等の転載についてはこちらからお問い合わせください。