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風の便り

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生涯学習通信

「風の便り」(第68号)

発行日:平成17年8月

発行者:「風の便り」編集委員会


1. 生涯学習立国の条件: フォーラムレポート

2. 生涯学習立国の条件: フォーラムレポート (続き)

3. 補筆「寺子屋通信」

4. ふたたび英語教育の徒労について −現代学校教育における方法論との前面衝突−

5. MESSAGE TO AND FROM

6. お知らせ&編集後記

★★★ お知らせ   第60回生涯学習フォーラム ★★★

◆ 9月のフォーラムはお休みです。ご注意下さい!!
   9月は福岡県立社会教育総合センターの主催事業『子育てネットワーク」事業が行なわれます。初日17日(土)はリレートークで8つの事例が発表されます。2日目18日(日)は5つの分科会に分かれて、様々な体験・情報交換を企画しています。ふるってご参加下さい。

◆ 10月は第60回生涯学習フォーラムです。
日時: 平成17年10月15日(土)15時-17時、のち「センターレストラン『そよかぜ』にて夕食会
場所: 福岡県立社会教育総合センター
事例発表:「田布施雑学大学」山口県田布施町、三瓶晴美さん(交渉中)
論文発表:「市民大学の論理と方法(仮)」、三浦清一郎

フォーラム終了後センターレストランにて「夕食会」を企画しています。ふるってご参加下さい。準備の関係上、   事前参加申込みをお願い致します。(担当:恵良)092ー947ー3511まで。


編集後記   「一億総白痴化」から「一億総生涯学習」へ  −ワイドショーの政治学習−

  テレビはかつて大宅壮一氏によって「一億総白痴化」のメディアと呼ばれた。大衆に迎合した番組を提供して視聴率を稼ぐことがコマーシャル収入に依存する民放の宿命だからである。いまでも確かに「白痴化」の傾向は変わらないが、今度の衆議院解散に基づく選挙戦報道は明らかに状況が異なる。「69号」の編集を始めた段階で選挙戦が始まった。NHKの討論番組から民放のワイドショーに至るまで、郵政改革か、年金か、首相の政治手法か、それとも総花的なマニフェストの実現か、と政治談義がかまびすしい。政治課題など見向きもしなかったワイドショーがこれほどの規模で政策や政治のあり方を論じる事はかつてなかったことであろう。小泉解散の最大の成果の一つがここにある。間違いなく首相の意志と決断が、国民の政治関心を沸騰させたのである。マスコミが「小泉劇場」と呼んだのは的を射ている。選挙に何百億円かの金がかかるそうであるが、国民の政治学習の成果を思えば安いものである。結果的に、小泉首相は誰よりも刺激的な教育者の役割を演じたのである。国民がこれほど広範囲に政治・政策に関する情報を浴びたことはなかったであろう。また、国民自身がこれほど身近に政治・政策を論じたことも前代未聞であろう。従来の政治教育や生涯学習プログラムを担当してきた公民館や学校が逆立ちしても、ワイドショーが繰り広げる生涯学習の威力にはかなわない。テレビの娯楽番組が一斉に真面目な政策課題を論じ始めた時、「一億総白痴化」のメディアは巨大な政治学習の生涯教育メディアに変貌するのである。
  この事はサッカーの国際試合のテレビ中継に似ている。スポーツの国際試合やそのテレビ中継が、若者の国旗や国家に関する政治学習を劇的に促進したことに通じている。サッカーの国際試合において国家を歌い、国旗を掲げて自国のチームの応援に熱狂するサポーターは、文部科学省の積年の課題を一気に解決したのである。彼らが熱狂して連呼する"ニッポン!ニッポン!!"の掛け声は、期せずして、世界が個別の国に分かれており、現代の人間は好むと好まざるとに関わらず、それぞれの国家に所属せざるを得ないという冷厳な事実を彼らに教えたのである。サッカーの国際試合やメジャーリーグに進出した日本のプロ野球選手の活躍を伝えるテレビの野球中継は、観客が直立して自国の国歌を斉唱し、国旗に敬意を表することが世界の常識であり、観客の礼儀であることを教えたのである。
  比べるまでもなく、文部科学省や地方の教育委員会が長年に亘って苦労してきた国旗や国歌についての教育的努力はサッカーや野球のテレビ中継や実際の国際試合の教育効果に全く歯が立たないのである。周知のように、教育委員会と教職員との板挟みになって、校長さんの自殺者まで出した学校における国家の斉唱や国旗の掲揚問題はいまだ遅々として前進しない。文部科学省はとうの昔に、若者の母国認識を促進する政策上のアプローチを変更すべきであった。
  現在の国旗・国歌の指導法では、教育現場において、生徒もその保護者も、教職員も対立構造に巻き込まざるを得ない。文科省は国旗・国歌をめぐる不毛なイデオロギー闘争を一時中断して、代わりに、それぞれのスポーツ連盟に教育補助金を交付してはどうか?その上で、テレビ中継が行なわれる大きな国際試合には必ず当代の人気歌手を登場させ、観客と一体となって、国旗の掲揚と国歌の斉唱を行なえばいいのである。サッカーをはじめ、スポーツの国際試合を放映するテレビは国家・国旗に関する巨大な生涯教育メディアである。
  今回の選挙戦報道が日本人の政治学習を数段促進したことは明らかであろう。郵政改革に付いての賛否は別として、ワイドショーを含むあらゆるテレビ番組が伝える各党の政策論争は、改めてマスメディアの生涯学習機能の巨大さを自覚させた出来事であった。
  本日、筆者のもとにもある候補者からアンケート調査を装った選挙運動のチラシが届いた。彼は今回の郵政改革法案を棄権した男である。「限られた条件・状況のもとで政治的判断を下すのが政治家の使命である。そこから逃げて棄権などする者は、議員を辞めてさっさと引っ込め!」と書いて返事を出した。優柔不断の卑怯者になにができるか!


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(代表) 三浦清一郎 E-mail:  kazenotayori@anotherway.jp

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