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風の便り

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生涯学習通信

「風の便り」(第111号)

発行日:平成21年3月

発行者:「風の便り」編集委員会


1. 三つの「始末記」 

2. 教師の指導力、子どもの吸収力 -桂川東小学校始末記-

3. 住民による住民のためのハンドブック-みやこ町の検証実験-

4. さようなら「豊津寺子屋」 -研究の原点-

5. MESSAGE TO AND FROM

6. お知らせ&編集後記

お知らせ  
第28回中・四国・九州地区生涯学習実践研究交流会
会場:福岡県立社会教育総合センター(〒811-2402福岡県篠栗町金出3350-2、JR九州篠栗線篠栗駅下車、-092-947-3511)
日時:前夜祭-2009年5月15日(金)19:00-
   事例発表-5月16日(土)10:15-17:00
   特別企画-5月17日(日)9;00-12:00
 


■■■■■ 編集後記: 市民による市民のための生涯学習システム ■■■■■

 第89回フォーラムin宗像には福岡県内外の各地からたくさんの方々にお出でいただきありがとうございました。当日は、老人性白内障の症状がひどく、目がかすんで気が散り、思うような発表ができなかったことが心残りでした。そこで翌日、もう一度「市民学習ネットワーク」の発表会場に戻りました。好きなハーモニカの演奏を聴き、改めて人々の活動を鑑賞しました。フォーラムでは、"公民館祭りや高齢者大学の発表とどこが異なるのか"、という感想が続きましたが、大いに異なります。何よりも「市民による市民のための生涯学習」であるところが違うのです。学習者は自前です。教える方々はプロではありません。したがって、行政に依存して学級を編成したり、講師料を払ってもらったりしていません。指導者は教える事をめしの種にしていません。年に1度の発表会ですら完全に自分たちで作り上げています。あらゆる官製発表会が行政の手を借りているのと違って、行政の手は全く借りていないのです。発表会場に2度戻ってあらためてそのことを再見聞しました。自分の書いたフォーラム原稿を再吟味し、基本的な分析が間違っていない事も再確認しました。"市民教授陣は学校とつなげば良いのに"という感想がありました。市民による指導システムを"子どもの基礎基本を鍛える事に連結出来ないのか"、という疑問もありました。あらためて教育行政の発想の貧困と無知と市民への侮りがあることに思いを致しました。教育行政や学校のように権力や免許状によって、職業的に分断された日本の教育の分業化が教育停滞の原因である事にも思いを新たにしました。学校教育の閉鎖性を見ても、女性支援を忘れた放課後子ども教室を見ても、"アンビシャス広場"のような子育て支援にすらならない遊びの支援策を見ても、それらの事業を仕切っている専門家こそが、時に、教育を駄目にしている元凶なのです。I.イリッチの「脱学校化論」は多くの点で的を射ていると思いました。停滞の元凶は固定化して制度疲労を起こしている現行の教育システムなのです。参加者の感想をお聞きして、通り一遍に発表会の表舞台をご覧いただいただけでは、まだまだ市民主導の生涯学習がもたらす実りを分かっていただけない事も痛感いたしました。延べ5万人の学習規模の巨大さも、市民交流の密度も濃さも、熟年の活動が元気の基になっている事も、宗像の文化風土が住宅都市の価値をあげている事も感想には出ませんでした。自分の発表が舌足らずで、参加者を説得出来ていない事も痛感いたしました。
我が身に宿題を課さなければなりません。今回の論文の各章をあらためて掘り下げ、市民による市民のための生涯学習システムの全貌を明らかにして、ご提案する事が次の自分の仕事である事を確信しました。
 


『編集事務局連絡先』  
(代表) 三浦清一郎 E-mail:  kazenotayori (@) anotherway.jp

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