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風の便り
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生涯学習通信
「風の便り」(第111号)
発行日:平成21年3月
発行者:「風の便り」編集委員会
1. 三つの「始末記」
2. 教師の指導力、子どもの吸収力 -桂川東小学校始末記-
3. 住民による住民のためのハンドブック-みやこ町の検証実験-
4. さようなら「豊津寺子屋」 -研究の原点-
5. MESSAGE TO AND FROM
6. お知らせ&編集後記
三つの「始末記」 単年度予算の日本の仕組みは多くの事業が年度末に決着を見ます。事業の「締め切り」は好むと好まざるに関わらず予算と人事に左右されます。 今回は筆者が関わって来た複数の事業が一度に終わりを迎えました。終わりは始まりですから、すべてが「これでおしまい」ということではないのですが、ひとまず第1幕を下ろして、第2幕の準備を始めるということです。筆者が第2幕に関われるものもあり、関われないものも出ます。関われないものについては振り向くことは止めにする習性を身に付けました。限りある身にとって常に未来は「前にしかない」からです。 「市民学習ネットワーク」事業の英語講座はクラスの入れ替えです。お名残惜しいのですが、4月にはどんな出発が待っているでしょうか?福岡県嘉穂郡桂川町の桂川東小学校は校長先生のご転勤で、「子どもの生きる力」の指導に一転幕を下ろさざるを得なくなりました。未だ2年計画の1年目が終わったばかりですが、世のならいですから仕方がありません。下関市の神田小学校も校長先生がご転勤になりました。こちらは思い通りの成果をあげられないままの終焉になりました。自閉症気味でどうしても気になる女のお子さんがひとり居るのですが、何もしてあげることができませんでした。「豊津寺子屋」の経験から、自分の殻に閉じこもりがちな子どもでも、他の子ども達を巻き込んだ集団指導の中で、「感化」や「同調」の力を借りれば立ち直らせることが出来るのに、と歯がゆいことです。基本的生活習慣すら身に付いていない未熟な子どもに対して、「個性とか創造性」など、「「個人」にこだわった現代の小学校の教育発想では集団指導は無理でしょう。母上の我が子への思いを知っているだけに、このまま関わりを断つことになるのは誠に心残りですが、彼女は彼女の運命を生きなければなりません。これもまた人の世のならいなのでしょう。 みやこ町の「男女共同参画ハンドブック」も単年度予算の宿命に追われて辛うじて完成しました。6年目に入る「豊津寺子屋」は、新しく合併した犀川町にも、勝山町にも拡大・普及するという願いはとうとう実現しませんでした。立ち上げ以来の筆者の任務は終わったと判断し、3月31日をもって7年間の顧問職を辞任し、心温まる送別会で送っていただきました。大学を辞して以来、豊津寺子屋は筆者の研究の原点でした。寂しさもひとしおですが、子どもの指導基準を落さないようがんばっていただけることを切に願っています。 北九州市の「若松未来ネット」事業のまちづくり実践は、今年の成功を踏まえて来年の継続が決まりました。山口研修にも何らかの形で関わって行くことが決まっています。春は人生の縮図のようですね。さまざまな別れとさまざまな出会いがないまぜになって出発です。 春を待ちきれない"Spring Fever"も、過去の思いを断ち切り難い春の憂いもすべて第2幕の「出発」のなかにあるのでしょう。郷愁の詩人与謝蕪村は歌っています「歩む 歩む もの思う春の行くへかな」。 以下は三つの「始末記」です。
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