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生涯学習通信

「風の便り」(第105号)

発行日:平成20年9月

発行者:「風の便り」編集委員会


1. つくられた「女性性」−男女共同参画ノート−

2. 人生80年時代の「死に方講座」

3. 教員研修会覚え書き−「他律」と「負荷」の教育論再考 -幼少年教育の革新-

4. 教員研修会覚え書き−「他律」と「負荷」の教育論再考 -幼少年教育の革新-(続き)

6. お知らせ&編集後記

人生80年時代の「死に方講座」
−自分らしく生き、自分らしく死ぬための準備プロセス−

 独身を通した一人暮らしの女性には「墓」を売ってくれないことがある、という記事を読みました。有名人の死に方の記事を集めたものも読みました。老後が長い高齢社会で自分らしく生き、自分らしく死ぬためには様々な準備が必要であることを改めて自覚しました。筆者が知らなかったように多くの方が知らないであろうと想像し、試しに公民館で講座をやってみようと思い立ちました。資料を準備しているうちに最終結論が出ました。自分らしく死ぬためには、自分らしく生きる準備手続きが必要だということです。決めなければならないことも色々あります。相談すべきこともいろいろあります。しかし、果たして、「安楽余生」を楽しんでいる方々に、「死に方講座」は受け入れられるでしょうか?以下はその概要です。

1 人生の秘事-現在の状況を自問自答で整理してみた結果です。みなさまはいかがでしょうか?

Q  「自分の死」について考えをお持ちですか?
A  もっています。
Q  他者に「自分の死」をどう伝えますか、伝えるとしてその準備をしていますか?
A  伝えたいが準備はしていません。
Q 「延命治療」を望みますか?意思表示の仕方は知っていますか?
A  望みません。意思表示の仕方は知りません。
Q  最後の看病はどなたですか?
A  運次第でしょうが、病院の看護師さんでしょう。
Q  どこで死にたいですか?思いどおりになりそうですか?
A  当然病院です。家族を煩わせたくはありません。仕事の途中の突然死が理想ですが、、、。
Q  自分の所有物の分配・相続は法律と家族に任せますか?
A  任せません。すでに自筆の遺書を書いて妻に渡していますが、果たして有効でしょうか?
Q  葬儀のやり方にご希望はありますか?
A  あります。すでに「風の便り」に書きましたが、再度書き残します。
Q  「納骨」、「散骨」など埋葬や墓に関する準備はできていますか?
A  準備はできています。
Q  死後に残したいメッセージはありますか?誰に、どんなメッセージを残しますか?
A  遺書以外のメッセージはありません。
Q  いくつぐらいで、どんな病気で死ぬと予想していますか?
A  神様次第ですね。一発の脳卒中がいいですが、そうは問屋が卸さないでしょうね!。死ぬまでは生き抜くつもりです。

2  準備項目

i 病気の告知の希望の有無
ii 「遺言書」または「遺言ノート」の書き方
iii 葬儀の形式、葬儀の種類、葬儀の経費-「地味葬」、「散骨・自然葬」、「オリジナル葬儀」
iv「尊厳死の宣言書」
v献体および臓器移植を希望する場合の手続き

3  死ぬまで自分らしく、幸せに生きるための10か条
−自分で決めて、他者のために生きる−

 調査の過程で、「自分らしく死ぬこと」だけでは「しあわせ」を保証しないということが分かりました。「自分の意志を通して生き、自分の意志を通して死ぬ」ことは「必要条件」に過ぎません。しあわせになるためにはもう一つの条件を組み合わせなければ、「十分条件」を満たすことは出来ないのです。必要にして十分な条件の理由を箇条書きにすると下記のようになるのではないでしょうか?

i自分らしく生きるとは「自分の意志」を通すことです
ii「自分の意志を通すこと」は「誰かの意志を曲げること」になるかもしれません
iii自分一人で生きているのであればそれでいいでしょうが、現実に、我々は自分一人では生きていません
iv「自分の意志を通しても」、他者に必要とされず、他者から愛されなければ、孤独は免れず、しあわせにはなれません
v「自分らしく生きること」が大事なのか、「幸せに生きること」が大事なのか、思案が必要です
vi「楽をして生きても」、「自分のためだけに生きても」それだけでは幸せにはなれないのです
vii「自分らしく生きること」も「しあわせに生きること」も両方が大事だと言うのであれば、「自分で決めて」、「他者のため」に生きるしかありません
viii他者のために生きるためには、他者を支援するに足る自分の「自立」が不可欠です
ixこれまでの人生を健康に生きて来たのなら、自立とは、最小限、頭も、身体も鍛え続けて、日常のことは自分でできる自律的暮らしです
x自立を維持する処方の結論は「読み、書き、体操、ボランティア」となります

 


 

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