「シリアスゲーム論」授業経過(第3~5回)

 前の2回分サボってしまったので、3回分まとめての授業日誌。連休前の第3回授業では、前半に「シリアスゲームの対象と領域」について解説をして、後半に「シリアスゲームの発想」と題してのミニワークショップを実施。学生たちに「学校」の意味を考えてもらい、ワークシートを埋めながらゲームの企画アイデアの頭出しをしてもらうという内容。
 どうもシリアスゲームというのは、一般的には「つまらなそうなゲーム」という印象を持たれるようで、学生たちの多くはつまらないのを覚悟してあまり期待せずに履修してくれたみたいなのだが、いろんな事例を知って、企画の練習をしていくにつれて、「遊ぶのも作るのも面白そう」という反応が返ってくるようになったのがうれしいところ。


 連休明けすぐの第4回は「シリアスゲームの事例研究(1)教育へのゲーム利用」と題して、Food ForceやHazmatなどの主要なシリアスゲーム作品のデモや映像を見てもらって解説をした。後半は、これから2か月ほどに渡って行われるグループプロジェクトのキックオフを行った。学生たちはこれからシリアスゲームの企画をまとめて、最後の授業で発表する。最初の約1か月間でシリアスゲームの企画を練ってもらって、もう1か月かけてその企画に磨きをかけてもらう。コンペに出せる企画、またはスポンサーがつくようなシリアスゲームの企画を練ることを目標に掲げている。みんなゼミや演習の授業で制作実習の課題がたくさんあって忙しいようなのだが、そのなかで時間や体力をどうやりくりして、この課題をどれほどのクオリティで仕上げてくれるかが見ものだ。
 今週の第5回目の授業では、引き続きシリアスゲームの事例を見てもらい、ゲームのテーマやタイプの幅の広さについて理解を深めてもらう趣旨で話をした。前の回に結構しっかり作りこまれたゲームを見せたので、今回はそれと対比してミニゲーム系の事例を中心に見てもらうことで、企画のアプローチに自由度があることをつかんでもらえればと考えた。後半は「シリアスゲーム企画練習ワークシート」を使って、グループプロジェクトの各グループで実際に企画を進めてもらった。まず各自でワークシートを埋めてもらい、それをもとにグループで話し合うという流れで作業してもらった。
 今回も含め基本的に毎回授業では、前半に講義で考え方を示して、後半で個人作業~グループで話し合い~個人で振り返る、という形式を取っている。これは講師がすべて説明するのを聞くだけでは身につかない説明スキルやコラボレーションスキルを訓練してもらうことを意図して行っている。シリアスゲームについて説明したいことや見せたい事例はたくさんあるので、知識提供とスキル訓練を並行してやるには時間が十分にはないのが運営上の課題だけども、構成を工夫しながらある程度の折り合いをつけて進めている。
 こういう作業をさせてみると、だいぶ慣れてきてどんどん書ける学生、考え込んでしまってうまく書けない学生それぞれいて、考えたことを説明するスキルにかなり幅がある。グループでも話が盛り上がるグループ、ペースがうまくつかめないグループと、反応が分かれてくる。自分の考えを説明スキルもグループコラボレーションのスキルも、社会に出る前に(もちろん出てからも)しっかり練習しておいた方がよいのは間違いないので、この授業ではとにかく短い時間でも数をこなしてもらうことを意図して行っている。
 まだ学生たちの反応を見ながらバランス調整をしつつ進めている感じで、ようやく慣れてきた頃にはもう最後の方という感じだろう。来年の方が始めから形ができた状態でやれるので効率はよいかもしれないが、今年はいちいち手作りで手間をかけているところがあるので、どちらにも一長一短あるんじゃないかと思う。教える側がよい経験をさせてもらっているので、学生たちにもこの授業でその分よい経験をしてもらいたい。