シリアスゲームジャパンでもお知らせしたように、2月10日にシリアスゲームフォーラムを開催しました。
熱心な参加者の皆さんのおかげで議論が盛り上がり、僕にとっても気づきの多いよい学習機会となりました。
企業内研修や大学などで実際にシミュレーション教育を行っている方々や、ゲーム開発者、Eラーニング開発者でシリアスゲームの開発に関心のある方々とのディスカッションで、今後研究を進めていく必要のあるテーマが話題になりました。端的に言って、分析も設計も開発も導入も評価も、どの段階においても実践面では課題があって、思うようにいかない。インストラクショナルデザインや関連分野で提示されているスキルよりも、一段上の実用に耐える枠組や手法を確立して普及させる必要があるのだなというところです。
教育へのゲーム利用に限らず、これはテクノロジーを利用した教育の研究全般に言えることで、従来の「科学的」な教育研究アプローチだけでは無理だろうなという問題です。それは何十年もの教育工学分野の歴史が示していて、米国で10数年前から教育工学に対して研究方法論そのものに批判が集まるようになってきたのも、問題の根は同じです。もちろん役に立つ知識を生んできた研究もたくさんあるし、学習科学系の研究など、実践に耐える教育デザインの研究アプローチを確立しようとしている研究もあるので、まだこれからですが、この動きをもっと推し進めていく必要があるでしょう。研究者の立場にいる身として、そういう問題を認識させられる機会でもありました。
シリアスゲームの概論的なところは、以前から関心をお持ちの方々にはだいぶご理解いただいてきた感があるのですが、今後の展開としては、やはりこのように個別テーマに掘り下げてのディスカッションを行っていく必要があって、そのような場を提供していくことが大切だということをよく理解した次第です。
これまでは場所確保や運営面の人手などいろいろと問題があって、継続的な活動を行うのが難しかったのですが、スリーロック株式会社さんが運営面をお引受けくださったことで企画と内容の準備に集中することができました。関係者の皆さんにあらためてお礼申し上げます。