時間ができたらやろうと思ってそのままになっていることは結構ある。時間があるときに見ようと思って録りためていつまでも見ることのないビデオと同じで、そういう優先度の低いTodoタスクは、いつまでたっても消化されることはない。後から追加でもっと優先度の高いがいくらでも割り込んでくるからだ。
とはいえ、それらのタスクもやっておいた方がよいからそこにあるわけで、ずっと放置しておいてはまずいものもある。しばらく放置しておいた結果、どうでも良いと感じるものは消してしまえばよいのだが、やはりやった方がよいと思うものはいつまでもそこに残る。でも、目の前の重要タスクを差し置いてやるほどのものでもなかったりする。さて、どうしたものか。
そういう悩みを持つ人は案外多くて、そのような悩みに対応する方法を求めているからライフハックスのような考え方がもてはやされるのだろう。一つにはそういう仕事術のような中で言われているように、習慣のなかに織り込んだり、何らかの形でそれらを消化する時間を確保するようなシステマチックな方法がある。ダイエットと一緒で、怪しげな方法やツールに頼るよりも、行動自体を変えてしまうのが一番効果的だし、それはできるに越したことはないからやった方が良い。
それはそれで地道に身につけていくとして、もう一方で自分の気持ちの波というか、感情的な面を利用する方法もあると思う。たとえば、部屋が汚いなと思っていつつも片付かないままでいて、ある日ふとあまりの汚さに嫌気が差して勢いよく掃除を始めてしまうとか、何か大事なことが差し迫っている時に限って部屋の汚れが気になるとか、そういうこともあると思う。
そういうモチベーションは、普通は見過ごされているものの、この発作的なエネルギーは案外バカにはできないし、うまく利用すればかなりのことができる。杓子定規な計画的思考で抑え付けてしまうと、本来やるべきと頭で考えていてはかどってないことが進まないばかりか、それ以外のことも停滞してしまい、結果的に生産性は下がるし精神的にも不健康になる。
なので、「私のスケジュールはこうあるべき」、とあまり杓子定規に考えすぎず、自分の発作的なモチベーションを活かせるように、心の中に若干の余白かゆるさのようなものを持っておく方がかえって全体で見た生産性は高くなると思う。
ここで書いているブログなんて、半分はそういう発作的な情動や面白いネタを見つけたり、何かを思いついたりした勢いで書いている。それを「いやいや、今は大事な仕事があるからやめとこう」と無理に集中しようとしている時(あるいはそうせざるを得ない時)に必ずしも仕事がはかどるわけでもない。もちろん、常にバランスを気をつける必要があって、発作的なノリで仕事を進める良さを認める一方で、計画的なコントロールを行う意志が手綱を握っておかないと、ズルズルと大事な仕事が片付かなくなるのは間違いない。
何でこんなことを書いているかと言うと、これまですっかり放置していた自分のプロフィールのページを昨晩久しぶりにアップデートしたので告知しようと思っただけだったのだが、告知だけしてもつまらないので何か思いついたことを書こうと思っているうちに面白くなって少しだけ思考を掘り下げてみた結果だったりする。
プロフィールの更新は、掃除嫌いの掃除と一緒で、あまりに古くなっているのが気になる気持ちがピークに達した昨日のタイミングだからできたようなもの。計画的に考えれば、来週のプレゼンの準備を先にやれという話になるし、いろんなことが片付いてホッとしたとしても、その時には疲れてわざわざそんなことをやる気は起きないのが普通。そんなわけで、やってしまえば数時間で済むことでもいつまでたっても片付かない。それを昨日無理やり勢いで片付けたわけだが、日頃サボっていたせいで思ったより時間がかかった。でも、長いこと心に引っ掛かっていたことが片付いてすっきりした。
それに今こうして書いているブログに関して言えば、これは本来の計画からするとさらに余計なことなわけだ。でも、これも目の前の大事なことを進めるのが大変で、ストレスがたまっているから余計なことにかける熱意が高まっている結果だったりする。ブログというのはストレスのはけ口としては、飲んだり食べたりするよりもよほど身体によいのだが、かといって毎日書くことを自分に課したらそれもまたストレスになる。世の中、普通に毎日書けてしまうアルファーブロガーばかりではないし、僕のような一般ブロガーにはこれくらいのペースで十分で、その自分のペースを知ることが継続には案外大事な要素だったりする。
きりがないのでまとめると、進まない仕事を進める方法や仕事の生産性を高める方法は、本人の性質やベースとなるワークスタイルによって異なるので、一概に誰にでも効く方法はないと考えたほうが良い。デキる人の仕事術を学ぶのもよいが、もう一方で自分のモチベーションのフローを意識したり、モチベーションの発作や嫌なことから逃げたいという気持ちで他のタスクへのモチベーションが起きた時にそれを自覚できるようにすること。そしてその気持ちの流れを活かせるようにある程度の計画の柔軟性を保つのが長期的にはプラスになる。そのなかで自分に合った生産性向上の型を確立することが一番有効だと思う。
なんでも計画に沿ってポジティブに人生を生きられればそれに越したことはないけども、人間誰しも調子の良い時も悪い時もある。悪い時にも悪いなりに生産活動を継続するには、必ずしもポジティブでないモチベーションも利用していくと、あまりがんばり過ぎずもう少し楽に生きていけるのではないかな、と。