実験授業その1終了

 都内のある女子校で、いま進めている研究の実験授業の1回目を行った。
 無事に終了というところなのだが、課題と知見にあふれていて、まだ消化できてない。やっているのはオンラインゲームを使って歴史を学ぶ授業で、作った2種類の教材を使って実際の授業を行い、成果を評価するというもの。ゲーム会社さんに頼みこんで、教材をオンラインゲームに組み込んでもらい、それを生徒に試してもらった。
 実施時間の短いワンショットの研究で、教師経験の浅い自分が出張って教えないといけない状況で、実践研究というよりも、授業の場を間借りした実験。開発した教材の形成的評価としては意味のあるデータが集まっているものの、授業はたいへんな状況だった。いくつかの先行研究で書かれている混沌状態をそのまま再現した感じになった。生徒たちは楽しんでいたし使用したゲームに引き付けられてはいたが、それを学習とつなぐのは難しい。どの要素がプラスで、ゲームの要素を抜いてみるとどうなるかは、来週の実験からある程度見えてくると思う。
 実際の授業の場で研究をやる場合、いろんな要因の影響を受けるし、制約も大きい。研究に加えたかった要素を実際の環境に合わせて修正したり削ったりしなけれければならなくなるし、十分な実施時間も取れるとは限らない。今になってみれば、あの時こうしておけばとか、早いうちにこんな手を打っておけばとかいろいろと出てくる。
 オンラインゲームなので、一般プレイヤーもゲームの中にいる。徹夜明けで息抜き中の社会人がゲームの中で生徒たちと話し始めたりするような場面が見られるなど、ゲームの中で授業を行うことで、ゲーム世界にも影響がある。そういう社会的要素を取り入れた研究にしたかったが、諸事情で今回は見送らざるを得なかった。
 こういう実践を通して反省したり、自分で作ったものを試したりしながら改善するプロセスが、いまの自分にはもっと必要だなとつくづく思った。作って試す回転が鈍く、その分成長も鈍い。そういうことがわかっただけでも、シリアスゲームサミットをパスしてこちらを選んだ甲斐があった。人の話を聞くのはほどほどでいいし、誰か代わりがいることはほかの人に任せればいい。もっと自分で作ったものを試して、フィールドで自分の手を動かしてデータを集める時間を作らないといけない。
 実験はあともう1回。そのあともまだまだかかりそうだが、とにかく、集まったデータを一度論文にまとめてみたい。
 関係者の皆さま、多大なるご協力にたいへん感謝しております。