妻帰国

 先週まで外で立ち話をしていたら命に関わるような寒さだったのに、今週前半は窓を開けも暖かいくらいの初夏のような気候だった。例年は3月中旬くらいにこのような時期が来るのだが、今年はまだ1月上旬。週半ばからだいぶ落ち着いたものの、気温は高めで暖か。
 そんな気候の折、冬休みにこちらに訪ねてきていた妻が帰国。春一番のような強風のなか、ローカルのプロペラ機で飛び立って、ずいぶん揺れたそうだが無事に帰国。また少しの間単身赴任暮らしとなる。
 僕も研究のために来月帰国する。それまではひたすら自分で設定した研究課題に取り組む日々となる。参照できる情報や今までに経験のある作業はスイスイと進むが、調べても使える情報がないことや未経験のことはなかなか進まない。複雑に絡み合った課題を一つずつ解きほぐして個別にやっつけていく作業が続く。時に複雑なものにそのまま立ち往生して時間を浪費することも多々ある。結局のところ、自分の持っているスキルで料理できるサイズ以上のものは料理できないし、レシピが頭に入ってない料理はレシピ片手に作業することになるので時間がかかる。
 このプロセスは自分で試行錯誤することに意味があって、悩む前に正解を教えてくれるような環境で育つと誰も正解を知らない状況で粘って自分で答えを出す力がつかないと思う。かといって、手助け無しに放置していると途中で力尽きてしまうので、程よいタイミングで助け舟を出すことも必要になる。そういう機能としてアドバイザーであり、刺激を受けあう仲間がいる。また精神面での支えとしての家族なのだろう。
 最近ふと思うことだが、自分の力量が追いついてないチャレンジを続けるのはいい加減しんどくなってきたし、やめてもいいのだけど、ここを乗り越えるのと乗り越えずに迂回する人生というのはずいぶん違うような気がしている。いつもの自分は乗り越えずに迂回して、結果的にその壁の向こうにたどり着くような道を選ぶのだけど、ここはそのままこの壁を乗り越える道を意識して選んでいる。
 そういう選択ができるのは、稼ぎも悪いまま遠く離れて暮らすことを許容して支えてくれる妻のおかげだ。感謝。