前回のフランス編に続き、イギリス編。
運良く今回招いてくれたコベントリー大学の関係者たちと出発前に合流できたおかげで、リヨンからコベントリーへの移動は特に問題なくスムーズに行くことができた。
コベントリー(コヴェントリー)は、イングランド中西部、バーミンガムから30分ほどのところにある都市(詳しくはWikipediaを参照)。大学の建物が街の中心部に散在しており、キャンパスが街の中にある大学街。第二次大戦時のドイツによる爆撃によって破壊された大聖堂のすぐ向かいに大学経営陣のオフィスがある建物がある。商業地域にも隣接していて、バーも大学の建物の周辺あちこちにあって、大学が終わってから街に繰り出すにも便利そう。
宿泊したホテルは、コベントリー大学Serious Games Instituteのあるテクノロジーパークのすぐ隣にある簡素な感じのホテル。ホテルのロビーに入ってみると、ホテルの受付がそのままバーカウンターになっていて、ホテルの受付がバーのレジのようになっていた。ちょうど到着が夕方だったこともあり、ホテルに入ってまず目にするのは、カウンターでビールを片手に談笑する人々。バーの隙間を縫ってホテルの受付にたどり着く感じ。大して広くもないホテルロビーなのに、飲むスペースを最優先したレイアウトは、何だかさすがイギリスという感じ。
夜、ホテルでテレビを見ていて、イギリスのテレビはアメリカの人気番組のオリジナルをいくつか見かけた。アメリカンアイドルももとはイギリスで始まったものだし、クイズ番組やリアリティショーのフォーマットはイギリスやオランダで生み出されたものが多いそうだ。テレビといえば夕方のニュースで、京都大学のチンパンジーの瞬間記憶力実験のニュースが取り上げられていた。フランスでもやっていたし、このニュースはヨーロッパ方面でも関心を持たれていたようだ。
日本人からすると、ヨーロッパは遠いところなのであまり詳しいことは知らず、ステレオタイプな印象しか持ってないことが多いのではないかと思う。僕自身もそういう感じで、おそらく普通の日本人が持つ英仏への一般的なイメージしかなかった。フランスについてのイメージとして合っていたのは、食べ物が実際にうまかった。最安レベルのホテルに泊まっても、朝食のクロワッサンはうまかった。食べることが仕事より優先で、昼間から酒を飲んでいた。感じが悪いとか英語が嫌いとかいったネガティブな印象はあまり受けなかった。
一方でイギリスの方は、食べ物が不味いというのをよく聞くけどもそうでもなくて、食べたものはどれもうまかった。イギリス人は紅茶が基本だというイメージがあるが、みんなコーヒーを普通に飲んでいる。ただ、紅茶が普通に選択肢として提供されるのは、紅茶党としてはうれしかった。アメリカや日本でも(日本は緑茶もあるので洋式の場合)客に出すのはコーヒーが標準で、紅茶は申し訳程度に扱われているところがあるが、イギリスでもフランスでも、コーヒーと紅茶が対等に扱われているところがよかった。
今回はほんとに短い訪問だったので、土地の人の日常などに触れる機会はなかったが、もう少し長く滞在すればもっといろいろと見えてくるものも変わってくるのだろう。見えるものが変わってくれば、今まで見えていたものの捉え方にも影響を与える。今回は西洋的なものをアメリカ側からしか見てなかったのが、ヨーロッパの方からも見たことで少し広がりが出た気がする。
一人の人間の一生で見ることができるものなどわずかなものだ。旅をすることで、自分の知らない世界を目にすることで、自分が賢くなるというよりもむしろ、自分がいかに狭い世界にいて、その範囲でしか物を考えられてないことを再認識させられる。そういう機会は人生において結構大事なのだろうと思う。