英仏滞在雑感

 ヨーロッパ出張から帰宅しました。仕事のことはまた別に書く機会があると思うので、ここでは引き続き個人的な雑感を簡単に。
 一番の感想は、アメリカだけ見てては見えないものがヨーロッパにはたくさんあって、もっとヨーロッパに目を向けた方が面白そうだし、よりよい判断をするための材料が得られそうだということ。それはシリアスゲームの話だけでなくて、生活のなかのちょっとした場面で経験する価値観や捉え方の違いにおいて、アメリカ的でない西洋文化の広がりがあって、アメリカはその一つのタイプに過ぎないということをこのわずかな滞在の間に考えさせられた。


 今回はフランスのリヨンに3泊、イギリスのコベントリーに2泊、機中2泊の忙しない日程で英仏のシリアスゲーム事情を取材してきた。英仏ともに今回初めての訪問。いつも学会やセミナーイベントなどであちこちに行くことはあっても、ホテルと会場とその周辺しか見ることができないのがやや残念。
 最初、パリの空港で乗り換えたが、入国審査はごく簡単なものだった。税関も係員が立っているだけで特に用がなければスルー。イギリスでも指紋取ったりなどはなく、簡単なものだった。他国からはイギリスから入るかフランスから入るかで記入するカードが違う。フランスの空港ではセキュリティチェックでノートパソコンを開かされて、ベルトも外させられたが、イギリスではそういうのがない代わりに靴を脱がされた。国や空港によってチェックのポイントが微妙に違う。基本EU内は国際線扱いでも入国審査はとても簡単らしい。日本もアメリカ並みに入国時に外国人の指紋を取るそうだが、こういうのを見てるとほんとにそれが必要なのかなという気はしてくる。
 国内線に乗り換えて、リヨン空港着。空港で両替しようとしてレートを見たら、対ユーロでドルがずいぶん安いのに驚いた。いつも円を軸にユーロとドルの差を見ていたせいで、ちゃんと理解できてなかったらしい。ユーロ開始の頃はたしか1ユーロ70円とかだったのでまだよかったが、今はその頃からすれば倍以上なので、売っているものが何でも高く見える。それはイギリスでも同じ。円は一時に比べて回復しているものの、ドル弱し。逆にイギリス人はアメリカ行って買い物するにはちょうどよいのでよかったと言っていた。うらやまし。
 空港バスで中心部のバスターミナルに着くと、薄曇の天気だったせいもあって、周辺の薄汚さが際立って見えた。駅前で地元の物産展のような催し物をやっていて、工芸品やワッフルや焼き栗などの出店が出ていて、その一帯は楽しげな雰囲気だったけども、少し通りを外れるとゴロツキのようなのがあちこちでビール飲んだりしながらうろうろしていて雰囲気がよくない。駅の歩道を歩いていたらひったくりのような男が、盗んだばかりと思しきバッグを抱えて一目散に駆けて行き、そのあとを若い女性が追いかけて行った。
 言葉も一般の人は英語が通じないし、そういう雰囲気のところにいると気疲れするので、あまりウロウロせずにホテルに移動した。移動中の車窓から見えるローヌ川沿いの風景は見事なもので、滞在したホテルとカンファレンス会場は前方は川が流れ、後方には公園があって、緑豊かで気持ちが良い。(ちなみにリヨンというのはこんな街だそうだ(Wikipedia)。銭形警部でおなじみのインターポールの本拠地があり、製菓ワールドカップなるものも開催されているらしい。)
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カンファレンス会場の前のローヌ川沿いの風景
 フランスでは想像以上に英語が通じなかった。タクシーの運転手も街の人もまったく英語がしゃべれない。ホテルでも、高いところであれば英語OKな人は普通にいるが、安いところだと外国客担当が一人だけいるような感じであとの人は全く通じなかった。カンファレンス会場では英語で問題なかったものの、普通のフランス人の発表者はフランス語で発表していたのと、一般のフランス人参加者のために、仏語同時通訳が入っていた。会場に設けられていた展示会コーナーで、フランスの会社のブースに行ってみたら誰も英語ができず、片言の英語で説明を受ける羽目になった。そんな感じだったので、イギリスに移動して、英語が普通に通じるのでホッとした。案外、英語しかできない外国人が日本国内を旅行するのと大して変わらないかも。
 長くなってきたので、イギリス編はまたの機会に。