2006年を振り返って

 今年も一年無事に過ごすことができました。新たに素晴らしい方々と出会うことができたこと、そして多くの方からさまざまな形でご支援をいただいたおかげで、今年もどうにか乗り切ることができました。心より感謝しております。

 冬の寒さもそれほど厳しくない、穏やかな大晦日の朝を迎えた。朝食のシリアルを食べつつ、今年どんなことがあったか振り返った。ブログを見返したりして、一つ一つの出来事を見直してみると、結構いろんなことをしている。ずいぶん前のことのように思えて、実はこれは今年のことだったのかと思うことも多い。歳を取るにつれて時間の経過が早いような気はするものの、1日24時間365日であることには変わらない。主観的には時間感覚が短く感じたとしても、日々何かを積み重ねていれば、一年という長さは結構いろいろなことができる長さだと思う。
 今年の年初には、このようなことを考えていて、目標として次の三つを掲げていた。
・博士課程の修了試験をパスする
・シリアスゲーム本出版
・博士論文研究を仕上げて、来年早々にディフェンスできるようにする
一つ目は、完全達成。これ以上ないくらいに出来過ぎなほどうまく行った。力をあわせて乗り切った同僚たちとは強い結束ができた。試験のコミッティになってくれた教官たちにはそのまま博士論文審査コミッティになってもらうことができ、これ以上望めないような強力な教授陣の力を借りることができることとなった。
二つ目は、9割方達成。年内出版とは行かなかったものの、すでに最終段階まできていて、2月にはリリースできる。それにあと二冊の翻訳書の出版も実現しそうなので文句はない。
三つ目は、よいテーマに出会えたものの、研究を仕上げるどころかまだ計画書も通していない段階で、未達成。秋頃までは計画通りに進めていたが、途中でかなり無理があることを認識して、全体スケジュールを半期延ばした。出版の方が無事に進んだのは、こちらを先送りにしたおかげでもある。
 年初に予想していたように、このほかにさまざまな案件をいただいて、一つずつ消化しているうちにボリュームだけはまずまずの量になった。いずれレジュメのアップデートのためにまとめなければいけないので、ついでに今年の成果を整理してみた。

<論文・報告書>
・藤本徹 (2006). シミュレーション・ゲーム型教材開発の考え方とその方法. 芝浦工業大学大学院「企業との対話による実理融合MOT教材開発」プロジェクトディスカッションペーパー
藤本徹(2006) 「シリアスゲームと次世代コンテンツ」、財団法人デジタルコンテンツ協会編「デジタルコンテンツの次世代基盤技術に関する調査研究」第四章
https://anotherway.jp/seriousgamesjapan/archives/Fujimoto-SeriousGames.pdf
<講演・発表>
・藤本徹 (2006). 海外におけるシリアスゲームの最先端: エンタテインメント・ゲームの可能性はどこにあるか. 日本シミュレーション&ゲーミング学会2006年度秋期大会記念シンポジウム. 2006年11月11日.
(資料とレポート)
https://anotherway.jp/seriousgamesjapan/archives/000795.html
・Fujimoto, T., Beppu, F. (2006). Games for Health in Japan, presented at Games for Health Conference 2006. 09/29/2006.
・藤本徹 (2006). シリアスゲーム:デジタルゲーム技術を利用した教育課題への取り組み. 熊本大学eラーニング連続セミナー. 2006年8月9日
(発表資料)https://anotherway.jp/seriousgamesjapan/archives/Kumamoto080906-Fujimoto.pdf
・藤本徹 (2006). シリアスゲーム:コンセプト、事例とその展開. 東京大学BEATセミナー. 2006年8月5日
(発表資料)https://anotherway.jp/seriousgamesjapan/archives/BeatSeminar080506-Fujimoto.pdf
(セミナーレポート)http://www.beatiii.jp/seminar/023.html
<ワークショップ、取材その他>
・Fujimoto, T & Almeida, L. (2006). Learning design through playing entertainment games, presented at Learning & Performance Systems Department Student Technology Advisory Committee workshop, April 14th.
The State Of Serious Games In Japan (Serious Games Source)
http://seriousgamessource.com/features/feature_041806_sg_japan.php
シリアスゲームジャパン藤本徹氏インタビューと今後の展望(株式会社シナジーWebサイト)
http://syg.co.jp/seriousgame/gfh4_1.html
GDC2006 シリアスゲームサミットレポート(RBB Today)
http://www.rbbtoday.com/column/seriousgames/20060404/

 こうしてみると、今年は研究者にとっては基本活動たる査読付の研究論文投稿や研究発表から遠ざかっていたのが明らかだ。これも修了試験の時に今年の分の学者的な勤勉さを使い果たしてしまったような感じで、モチベーションがあがらなかったのが大いに影響している。授業を取らなくてよくなった分の自由を謳歌しすぎたということもある。
 あと、このような発表や論文の形ではない個別ミーティング、勉強会、コンサルティング的な仕事が今年は目立って数が増えた。日本からの話はもとより、アメリカでも徐々にこの手の案件が出てきているのはうれしい。たいがいは英語力の低さがネックになってうまく行かないのが惜しいところだが、すべて思うように行くものでもないのでぜいたくは言えない。
 今になって思えば、もう少し勤勉にやれたのではないかと反省したくなってくる。おそらく日々の生産性向上のための工夫をすれば、消耗せずにもう少し成果をあげられる気がしている。自分の時間の使い方の中で、純粋に無駄に過ごしているなと思う時間はまだ結構あるので、改善の余地は大いにある。
 今年もよくテレビを見たし、ゲームもほどほどにやった。多少ながら英語力向上のおかげもあって、テレビからはいろいろと吸収できることが増えた。ゲームの研究をしているといいながら、ゲームの時間が十分に作れていないのがやや情けない。ゲームの方からはまだ吸収し切れていない感じなので、もっとゲームの時間を作っていろいろ試していこうと思う。
 こうして振り返っているうちに、日本は新年を迎えたようで、年賀メールが届き始めた。まだこちらは旧年中なので、新年のことはまた明日になってから考えようと思う。なんだかまだ十分に振り返りきれていない気もするが、先のことを考えるにも振り返りは必要なので、続きはまた新年のことを考えながら。
 今年も一年おつかれさまでした。