好きな仕事に掛ける時間

 帰国の日程も近づいてきた。木曜の早朝には出発だ。一つ目の仕事は学会のシンポジウムで発表するのでその準備もあるのだが、もう一つ今回の日本での別の仕事でeラーニングとシミュレーション教材開発についての論文を書いている。自分の専門分野の発表のスライド作成や論文を書く作業は、とても楽しくてストレスが少ない。楽しいのは、自分の興味のあることを仕事としているおかげであり、ストレスが少ないのは、自分の力量に合っていてしかも時間的にも追われていないおかげだろう。
 たとえ好きな仕事であっても、自分の納得行く形でやれなければ楽しくないし、自分の力量を大幅に越えていたり、時間が十分に掛けられなかったりして、満足のいくものができないのは非常にストレスを感じる。今のところはそうしたストレスなく、楽しく仕事ができているし、ワークスタイル的にも気に入っているので、実は今はとても恵まれている状態にあるのだなということをあらためて思う。
 最近、本や論文の執筆作業をしていて、当然書いている途中ではすごく苦労しているし、まだ力不足な点は意識しているものの、少なくとも自分で意味があると思えるアウトプットが出せている手ごたえがある。少し前はこの感覚はなかった。いつの間にかできるようになっていたのだが、それがいつなのかはわからない。知識のインプットや必要なスキルの修得がある時点で閾値に達したようだ。
 身につけた力で対応できて、しかもほどよいチャレンジがあるという仕事はとても楽しめる。しかしそれを楽しむには必要な時間を掛けられるという前提があってのことだ。組織で仕事をしているとなかなかそれが思うようにいかないし、必要な時間を掛けられるというのはある意味贅沢なことだ。だからこそ、自分の好きな仕事に必要な時間を掛けられるというのは尊重すべき条件の一つである。特に創造的な仕事を志向していく上では重要な要素となると思う。