晩御飯に親子丼を作った。もう親子丼はたぶん100回以上作っていて、自分の作り方のパターンが決まっていたのだけど、味的に何かもう一つフックが足りず、伸び悩みを感じていた。
いつもは、始めからゆでるタイプの作り方でやっていたのを、今回は何気に先日作ったカレーの手順が頭に思い浮かんで、炒めから始めてみた。少し玉ねぎがこげたけれど、ほどよく茶色で、玉子のとろみ具合も最適で、色も香りも従来品をはるかに凌ぐクオリティの親子丼が出来上がった。味も見た目にたがわず、今までのものにはない深みが加わっていて、新境地に達したといえる一品が完成した。
物足りない状態から微調整を加えても、60%のものが65%になっても、90%になることはない。一回その慣れ親しんだやり方を壊して作り直すことで飛躍的なレベルアップができるのだなと、ささやかながら実感できた。
きちんと基礎を習っておけば、たぶんもっと早くにこのレベルに達していたのだと思うけど、自分でたどり着いたという手ごたえがあると、学んだ実感も強い。しかし所詮は自分史上で最高なだけであって、世の中に出れば、もっと旨い親子丼を作る人はたくさんいるわけで、親子丼界(?)でどこまで通用するかはわからない。まあ、通用したいわけでもなくて、自分が食って旨くて、周りの人が旨いと思ってくれればそれで十分なのだけど。
考えようによっては、こういう手ごたえから、さらにその道を深めたくなる人もいるだろうし、ほかの人がどんなモノを作っているのか関心を高めて、学習のアンテナが高まる人もいるだろう。なので、こういう「日常の中で感じる手ごたえ」というのは学習の観点から見て、あなどれない存在だと思う。