スクール・オブ・ロック

 先日、夕食の後、テレビで映画「スクール・オブ・ロック」をやっていたので久しぶりに観た。ジャック・ブラックの演じるバンドマン崩れのさえない男(デューイ)が、肩書きを偽って代行教員になって小学校でクラスを受け持ち、子ども達をロックに洗脳しながらバンドを始めさせ、コンテストに参加する、という筋書きのコメディ映画である。
 作り手のロックへの愛情が注がれていて、クスッと笑えるマニアックな小ネタがたくさんちりばめていることもあり、ロックファンには評価が高い映画だが、「学校教育風刺もの」の映画としてもかなり興味深い点が多い。ロックの小ネタと同じように、教育学の小ネタがちりばめられている。実験的な教育を行なう主役の名前からして「デューイ」である。この手の学校ものではお約束の、お堅い校長や親たちとのやり取りにも、現代の学校教育の問題への風刺が効いていて、愉快である。メリル・ストリープ主演の「ミュージック・オブ・ハート」やジュリア・ロバーツの「モナリザ・スマイル」、それとロビン・ウィリアムスの「いまを生きる」と同様、学校教育や教師のあり方をテーマを扱いながら、感動の質では同等、笑いや風刺の鋭さが加味されて、これらを凌ぐ作品と言ってもよいと思う。
 学校教師や教育に関わる人たちにはぜひ観てもらって、何が語られているかをよく考えてほしい映画です。「いまを生きる」に感動した人は、この映画からも同質の感動を笑いと共に得られるし、ここに挙げた4作品を見比べてみるととても面白いでしょう。また、教育学や教職課程の授業を持っている方には、教材として利用するのにもってこいの映画です。