仕事の生産性をあげる要素

 仕事のはかどらない状態についてもう少し考えてみた。
 どんなにがんばってもはかどらない状態は、たいてい自分にとって未知の領域にチャレンジしている時か、やったことがあっても自分の力量を超えたことをやろうとしている時に起こる。自分のコンディションのよしあしと、タスク遂行に必要なスキルに対して自分のスキルレベルがどこまで対応しているか、それとその仕事の緊急度と、好きな仕事かどうか、といった変数のコンビネーションによって、その仕事のはかどり具合が定まってくる。
 タイムマネジメントの定番的な知識では、優先順位の決め方は「緊急度」と「重要度」の軸で考えて、緊急で重要なものから順に片付けなさい、といったことがよくあげられる。この軸はざっくりと仕事の優先順位を決めるのには役に立つが、この軸はタスク中心の考え方のため、仕事をする本人の状態や、計画的な能力開発を考慮する場合には余り適さない。緊急で重要な仕事であっても、それを高い質でやるには、知識・スキルのレベル、心身のコンディション、仕事へのモチベーションといった要素がかみ合っている必要がある。緊急で重要だからといってすぐ着手しても、調子がでなければ時間が浪費されがちで、50%の出来でとりあえずやっつけた、という結果に終わることもある。ちょっと遠回りになっても、不足している知識を補うために時間をとるとか、頭をリセットするために遊びに行くとか、長期戦になっても体力が持つようにエクササイズを継続的に行なうとか、そういったことを組み合わせていく方が結果的には正解だったりする。つまりは「急がば回れ」である。緊急度と重要度の軸にこういう要素まで含めて考えれば、機能しなくもないけど、それでも本人のコンディションは見落とされがちになる。
 いつも高モチベーションで、どんな性質の仕事もムラなくこなせるスーパービジネスマンみたいな人は、意識しなくてもそういう要素のバランスを取る時間の使い方をしていたりして、重要度と緊急度だけで仕事の進め方を決められるかもしれないが、私のようなモチベーションも能力も平凡な人間が生産性を維持しながら仕事を続けていくには、意識して自分が仕事がはかどる状態をもう少し細かくモニターしながら、いい状態に持っていくための工夫をしていく必要がある。