早く片付けたかった原稿が片付いて、当面のメインの仕事にじっくりかかれるぞと思った土曜の午後、どうもノリが悪くてまるではかどらない。どうにもはかどらないので、ちょうどキャンパスで映画をやっていたのを観に行った。「ハウルの動く城」を見たあと、別の場所で「ナルニア国物語」をやっていたので二つ立て続けに観た。
「ハウル・・」の方は、宮崎アニメの型を踏襲したものを少し違ったモチーフとテーマを込めている、という感じで、大作の谷間の作品という印象だった。悪い意味ではなくて、型があるというのは産業的な作品には大切なことで、継続的にいいものを作っていくには不可欠なことだと思う。その型にはまり過ぎれば退屈だと批判されるし、違うことをやりすぎれば、聴衆は取り残された気分になる。この作品はそのバランス的には、やや型に頼った感があるかなという程度で、十分に新しさはあるし、満足感も得られたので、自分にとっては十分にいい作品だった。
「ナルニア国・・」の方は、なんと言うか、ロード・オブ・ザ・リングとハリーポッターをブレンドして、美味しいところを出そうとしたのに、ブレンドを間違えて、良くも悪くもディズニーの味付けで仕上がった、という感じの作品だった。敵役の女王が、テレビの特撮ものの敵ボスキャラのような安っぽさに仕上がっているのが実に微妙で、場内からも失笑を買っていた。ストーリーやコンセプトはよくて、金を掛けて特殊効果に凝ったとしても、演技や演出の細部を詰め切れないと、今一つキレの悪いこういう感じの作品になってしまうのだなと考えさせられた。動物やクリーチャーと子役たちは、個々にはなかなかよかったのだけど、ちょっと惜しい感じ。ディズニー作品の中での位置づけ的には相当にがんばっている方なのかもしれないが、原作が有名なのに加えて、同種のファンタジー物でロード・オブ・ザ・リングがあれだけすごかったので、それに引っ張られて聴衆の期待値が高くなったことも影響しているような気がする。とはいえ、ディズニー映画はいつも観たあとに悪い気はしない。それもプロダクションの型の一つであって、聴衆にとっては、元気になりたい時にはディズニー映画を選べばだいたい外さないという安心感がそのブランドに込められている。その範囲で考えれば、観る側の期待値とのバランスが悪かっただけで、この映画も悪い映画ではなく、十分楽しめた。
映画が終わり、他の部屋から音楽が聞こえるのでのぞいてみたらバンドコンテストをやっていたので、コーヒーをすすりながら観た。週末のキャンパスのイベントにはごくたまにしか顔を出さないのに、その時はなぜかたまたまこのバンドコンテストをやってる日だったりする。最初に見たのは2003年の春のはずなので、もう3年も経ったのかと不思議な気がした。そんな時間を過ごして、夜半過ぎに帰宅した。
結局そのままほとんど仕事にならなかった上、寝る前にこの日からちょうどサマータイムに入ったことに気づいて、一時間寝る時間損したーとかムカついて寝たのだが、翌日はなぜか朝から、今まで詰め切れなかったゲームデザイン案が大幅前進するし、他にも小ネタが浮かんだおかげで一つ仕事が片付いた。ただの休息ではなくて、違ったタイプのリフレッシュが必要なのをつくづく実感した。