今学期の様子

 まだそれほど寒くないものの、紅葉もすっかり落ちて、冬が近づいてきた感がある。シリアスゲームサミットから帰ってきてからは、ありったけの持ち時間を全て実験用のゲーム教材の開発に充てていたので、ブログ更新も滞りがちになっている。各学期の様子を毎学期始めに書いていたのだが、今学期はやらないままにもう後半戦の後半に差し掛かろうとしているので、少し時間をとって、今学期どんな授業を取っているかについて触れておきたい。


 今学期は4コマの授業を取りつつ、週二日統計ソフトの会社でインターンをやっている。アドバイザーを交代してもらって、私の新しいアドバイザーはDr. ブライアン・スミスとなった。彼はノースウェスタン大でロジャーシャンクのもとで学習科学を学び、3年前にMITのメディアラボからペンステートに赴任して来た若手準教授で、ペンステートのスクール・オブ・インフォメーションサイエンス・アンド・テクノロジー(IST)とインストラクショナルシステムズプログラムにジョイントで籍を置く黒人の教員だ。情報技術を使ったインフォーマルラーニングの研究をやっていて、最近彼のファンタジースポーツ研究でかなりいい額のグラントがついた。今学期は彼の研究実習と、インストラクショナルデザイン研究の授業を受けている。彼はあれこれ教え込もうとしないスタイルなので、今の自分のニーズに合っていてちょうどよい感じである。
 先学期取ったゲームデザインに続き、ISTのバーチャルワールドデザインの授業を取っている。この授業はゲームデザインのコースを教えていたMagyと、デジタルアートが専門のWarrenが二人でチームティーチング形式で教えている。この授業では、前半にアートとテクノロジーの分野からバーチャル世界のデザインについて基礎的なトレーニングを受けた後、後半にグループプロジェクトでUnrealエンジンを使って、画家エドワードホッパーの絵の世界をモチーフにしたバーチャル世界をデザインする課題に取り組んでいる。先学期に学んだUnrealのスキルのおかげで今学期はだいぶ楽に進行している。
 そして今学期一番重い授業は、インストラクショナルシステムズプログラムの最大の関所と言われているパイロットスタディ実習の授業である。うちのプログラムでも一番厳しくかつ最高の教師であるDr. バーバラ・グラボウスキが担当している。この授業では、実証系の研究デザインをして、実験教材を作って、実験して、データ分析をして、論文誌に投稿できるレベルの論文を書き上げることが課題である。3ヶ月あまりの間にそれらのことを全てやるのは至難の業で、毎年脱落者が出て、翌年受けなおしや、一年かけてやっと単位がもらえたというような話にこと欠かない。博士プログラムの必修科目なので、うちのドクターはみんな必ずこの授業で苦労して、鍛えられて社会に送り出されるようになっている。だいたいみんな修了試験の前の学期に受けるのにならって、私も4年目のコースワーク最後の学期に受けている。研究テーマは、心臓の構造を学ぶ教材の学習効果比較で、シミュレーションゲーム教材と従来型の教材でどちらが効果あって、学習者の認知スタイルがどう影響するかをみるのがその目的となっている。そのゲーム開発にここ数週間はかなりの労力を費やしている。来週後半は感謝祭の休日が入っているので、その前に実験に着手できるかで成否が分かれるところである。

今学期の様子」への1件のフィードバック

  1. お疲れ様です。魅力的な講義が多いですね。
    特に「心臓の構造を学ぶ教材の学習効果比較」課題
    非常に興味あります!
    ヘルスコミュニケーション教材の一ジャンルでもある
    と思うので。
    自分も感謝祭前に講義課題のキャンペーン設計の
    プレテストをやらねばらなず四苦八苦しています。
    ご成功をお祈りしております。
    また情報シェアしましょう。

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