ひと区切り

 今週はとても寒く、昼間も氷点下から10度以下の日が続いて冬らしくなってきた。今月ずっとかかりきりだった実験用教材の開発も、実験に入ったので一区切りした。実験開始の前日にはもうエネルギーゼロ状態だったけど、できてない部分を仕上げないといけなかったので、さらに力を振り絞ってボロ雑巾状態になって何とか仕上げた。いつものことだが、ボロ雑巾状態までがんばってしまうと、その反動で翌日は使い物にならない。仕上げたと言っても、時間切れでゲーム要素を盛り込みきれなかったので、こんな感じのなんの新しさもない、一昔前のマルチメディア教材みたいになってしまった。ゲームとは呼べないので、インタラクティブアニメーション教材の研究と称することにした。ゲーム部分のアイデアはすっきり固まらず、作っていくうちに形になるだろうと高をくくっていたら、形にならないまま終わってしまった。最初にイメージが固まってなくても、走りながらアイデアが出てくるというのはよくあることだが、開発期間の短くて手が足りない時はそんなことに期待してはいけないということを思い知った。


 実験の方はまだ途中だが、結果はかなり芳しくない。そもそもこの研究の肝となるべき学習者の認知スタイルを見るためのテストツールが機能してない。みんなほぼ満点近く取ってしまっていて、グループ分けができない。200ドルも投入して買った市販のテストツールなのにこのやろう、どうしてくれようといった状況だ。後半で結果も違ってくるかもしれないが、なんだか期待薄な状況になってきた。そして肝心の教材の方も、出来が中途半端なので、ハイスコアどころではなく、テストの結果が期待をずいぶん下回っている。まあ結果が悪いなら悪いなりにまとめようもあるのだけど、かなりのエネルギーを投入していただけに徒労感もひとしおである。実験会場のコンピュータラボを出ると、すでに日も暮れていて、サンクスギビングの連休前の人もまばらになったキャンパスをとぼとぼと歩いて帰った。冬の寒さが身にしみた。
 なんかもう引退したい、とかわけのわからないことを思いながらうちに帰りつき、とりあえず美味いものを食おうと料理をして、酒飲みながら食べると、なんだか元気が沸いてくる。風呂に入って寝て起きると、さらに回復した。普段は感じないけども、飯を一口食べるごとに力がわいてくる感じがするのはよほど力が抜けていたのだなと思うと同時に、人間の回復力というのはすごいものだと他人事のように感心した。健康を保ちつつ日々精進していれば、何とかやっていけそうな気がした。